撮影日記


2022年12月31日(土) 天気:晴

2022年に入手したカメラ

今日は,例年のように1年のさいごとして,今年のあいだに入手したおもなカメラやレンズ,撮影用品などについてふりかえることにする。入手したアイテムの数はさほど多くはないが,いろいろと楽しめるものを入手することができた。

●関式サロン露出計

昨年10月,はじめて「関式サロン露出計」を入手した。それまで存在は知っていたものの,情報が少なく,あまり関心をもつこともなかった。しかし,そのとき入手したものが2種類あり,そのうち1つは日本国内で昭和20年代にごく短期間だけ実施されていた「サマータイム」の痕跡が残るものであった。そこから,「関式サロン露出計」はどれだけのモデルが存在するのか,それぞれの発売時期はいつごろなのかを調べるようになった。そのために今年も,未入手のモデルがあれば入手するようにしてきたのである。また,国立国会図書館デジタルコレクションで古い雑誌や書籍を参照した結果として,「関式サロン露出計」のモデルや発売時期などについてはつぎのようにまとめられる(2022年6月3日の日記に掲載した表を改訂)。

「関式サロン露出計」のモデルと発売時期およびその根拠
モデル発売時期発売時期の根拠など
丸形・初期型  1938年10月下旬 「カメラ」1938年11月号から広告掲載あり(参照)。
取扱説明書の初版は「昭和十三年十月二十日発行」を確認。
丸型・新型   1940年03月ころ 「カメラ」1940年3月号の広告で「待望の新型」(参照)。
丸型・戦後型  1948年04月ころ サマータイム開始時期(1948年5月1日)からの推定。
「夏時刻法」の成立は,1948年4月28日(参照)。
MODEL U-A  1950年10月ころ 「別冊CAMERA」(1950年10月15日発行)で「新発売」。
「アサヒカメラ」1950年8月号の広告は旧モデル(参照)。
MODEL U-B@
サマータイム対応
1951年09月ころ MODEL U-A「昭和26年4月5日 改訂二十三版」を入手。MODEL U-B「昭和26年9月5日 改訂23版」を確認(参照),「昭和27年2月5日 改訂24版」を入手(参照)。
MODEL U-BA
ASA/DIN
1952年04月ころ サマータイムは,1952年4月11日で廃止。
「昭和28年2月5日 改訂31版」の説明書を借用(参照)。
MODEL U-BB
ASA/WESTON
1953年05月ころ 「昭和28年5月5日 改訂34版」の説明書を入手(参照)。
MODEL V-A  1954年04月ころ 「昭和29年4月15日 改訂40版」の説明書を借用,「昭和29年6月15日 改訂42版」の説明書を入手(参照)。
MODEL W-A  1956年04月ころ 「写真工業」1956年5月号「ニュースフラッシュ」掲載。(*1)
MODEL W-B  1959年03月ころ 「写真工業」1959年4月号「NEWS FLASH」掲載。(*2)

●メディカルニッコール

メディカルニッコールは,鏡胴の先端部にリングフラッシュを内蔵した,接写に特化した特殊なレンズである。おもな用途として,医療の現場での記録が想定されており,被写体からじゅうぶんに離れて等倍前後の撮影をするようになっている。内蔵のフラッシュを使用するために,専用の電源ユニットが必要であり,撮影倍率を変更するための専用のアタッチメントレンズが用意されている。安価に売られている場合は,これらが欠品しているものもあるようなので,入手のときには気をつけたい。
 メディカルニッコールには,旧型の200mm F5.6のもの(2022年7月19日の日記を参照)と,新型の120mm F4のもの(2022年7月20日の日記を参照)とがある。専用のアタッチメントレンズを使うことで,旧型の場合は3倍まで,新型の場合は2倍までの撮影が可能になっている。旧型と新型の両方がインターネットオークションに出品されていたときに,どちらか一方だけでも入手できればと思い,両方に入札していたところ,たまたまどちらも安価に落札できてしまったものである。思っていたより安価に,いちどに両方とも入手できたのは,たいへんありがたい。旧型のほうは,電源ユニットとの接続ケーブルが欠品していたが,これは自作でまかなえた(2022年7月28日の日記を参照)。

●マミヤUシルバーと「おくのてクン」

マミヤUは,曲面を意識した独特の非常にユニークなデザインをもったカメラである。電源には単4乾電池2本を使用し,単3乾電池2本を使用する当時のほかのコンパクトカメラにくらべても,かなり小型にしあがっている。
 マミヤUには,カラーバリエーションとして,ブラックモデルとシルバーモデルとが用意されていた。ブラックモデルは以前に入手していたので,シルバーモデルの状態のよいものをずっとさがしていた。シャッターレリーズボタンの黄色いゴムこそ劣化して失われていたが,元箱や説明書などがそろっており,動作も問題のないものを入手することができたのである(2022年5月1日の日記を参照)。
 また,ユニークな形のテーブル三脚兼カメラケースである「おくのてクン」もセットになっていた。以前に入手していたが,それとは色違いのモデルである。また,「おくのてクン」そのものの元箱と説明書もセットになっていた。本体だけでなく「紙もの」が一式セットになっていたわけで,よいものを入手できたと思っている。

●SONY αNEX-C3用レンズ

いわゆる「ミラーレス」カメラは,マウントアダプタを利用して,さまざまレンズを楽しむのに都合がよい。とくに,デジタル一眼レフカメラが発売されなかったブランドのレンズをこれからも楽しむためには,いわゆる「ミラーレス」カメラとマウントアダプタを組み合わせるのが,もっとも有効な方法であると考えられる。
 マミヤZE用のレンズは,カメラボディに装着しないかぎり,絞りリングを動かしても実際に絞りを変えることができない。マウント部にあるレバーを,なんらかの方法で動かす必要がある。そのため,そのようなしくみをもつキヤノンFDレンズ用のマウントアダプタを利用して,なんとか使えるようにしていたが,やはり使いよいものではなく,結局は活用できずにいた。だから,マミヤZE用のレンズをソニーEマウントのカメラで使えるマウントアダプタを見つけたときには,迷わず注文をしたのである(2022年9月21日の日記を参照)。

●FUJIX DS-220とFUJIX DS-220A

年末になって入手したデジタルカメラ,FUJIX DS-220とDS-220Aは,まだ確認したいことがあるので,もうしばらくは楽しめそうである。

今年も,いろいろなカメラやレンズ,写真用品などを,あらたに知ることができた。
 また,「OKUHARA CAMERA」「OSAKA」の銘板がついた組立暗箱はよく見かける。いつごろ,大阪のどこにあったメーカーなのかわかっていなかったが,古い電話帳で見つけた「奥原写真機製作所」がその正体ではないかと考えられるようになった(2022年3月26日の日記を参照)。さらに,古い住宅地図(2022年9月29日の日記を参照)や「大阪府工場名鑑」(2022年3月29日の日記を参照)などの資料を通じて,その所在地や活動期間がかなり絞りこめるようになった(2022年9月24日の日記を参照)。「奥原写真機製作所」についても,確認したいことはまだある。

今年も,いろいろなカメラや写真用品,あるいは今は存在しないメーカーについて知ることができて,楽しむことができた。来年はどんなことを知ることができるだろうか。

*1 「写真工業」1956年5月号 ニュースフラッシュ (国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/pid/3341900/1/12
※国立国会図書館内限定送信。インターネット経由では「目次」で見出しを参照できるのみ。

*2 「写真工業」1959年4月号 NEWS FLASH (国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/pid/3341937/1/58
※国立国会図書館内限定送信。インターネット経由では「目次」で見出しを参照できるのみ。「WB」となるところが「NB」になっているのは,OCRの読み込みエラーと思われる。




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