撮影日記


2017年03月26日(日) 天気:晴のち小雨

春の息吹をハナモモに見る
ニコンFマウントボディとヤシコンレンズを結ぶもの

昨年よりおよそ1週間遅れたが(2017年3月20日の日記を参照),今年もハナモモが満開になった。新芽と開花した花びらを半逆光で透かして写せば,明るい雰囲気が出る。そこで背景に開花した花が来るようにすれば,それが大きくボケて広い範囲をピンク色で覆ってくれる。さらに水滴のついたつぼみも配置すれば,春の息吹を表現できたことになるのではないだろうか。

Kodak DCS Pro 14n, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

ただ,これでは絵として素直すぎる。あまりに平凡である。生命感はあるかもしれないが,春らしい華やかさが足りない。画面を派手にするには,水滴が必要だ。
 たっぷりと水をかけ,花の中央に注目してみよう。

Kodak DCS Pro 14n, Pancolar 50mm F2, bellows

ごくわずかな風でも花が動き,この程度の接写でもピントをあわせるのは容易ではない。いちおう,雌蕊にピントをあわせようとしたものである。花の中心から飛び出してくる,勢いのようなものが,表現できたのではないだろうか。大きく広がったボケは,もとが点光源のようなものではなく,いびつな形をした水滴であるため,いろいろな形をしていておもしろい。

Kodak DCS Pro 14n, Pancolar 50mm F2, bellows

こちらは,雄蕊の影に着目して撮ったものである。もう少し写る範囲を狭くできれば,すっきりした画面になったと思うが,このレンズではこれでせいいっぱい。

Kodak DCS Pro 14n, Pancolar 50mm F2, bellows

つぼみにも,注目してみた。先についた水滴と,周囲を囲む円形のボケで,これから花が咲くという夢を見られないものかと考えた。

Kodak DCS Pro 14n, Tessar T* 45mm F2.8

同じく,夢がふくらむ瞬間をあらわしたいと考えて撮ったものである。つぼみの先についた水滴と,周囲を囲む円形のボケの組みあわせで,明るい未来,希望を描くと考えたものである。

Kodak DCS Pro 14n, Tessar T* 45mm F2.8

つぼみを撮ったものであるが,この場面は,夢がふくらむという希望ではない。枝がちょうど,夢の世界と現実の世界の境界線に見えたものである。枝の左側が現実の世界であるのに対し,右側はよくわからない世界で,不安感を描こうと考えた。ただ,そのわりには画面が明るすぎる(笑)。

Kodak DCS Pro 14n, Tessar T* 45mm F2.8

つぼみはこのくらいにして,開いた花を撮るようにした。

Kodak DCS Pro 14n, Tessar T* 45mm F2.8

花を上向きにして撮れば力強さが見えてくるものと思うが,逆に下向きに撮れば重圧に押しつぶされているようにも見える。このように,視点を変えて見るのは,おもしろい。

一般的なマイクロレンズを使うと,撮影倍率はせいぜい等倍(フィルムや撮像素子に,実物と同じ大きさの像を結ぶ)である。広角レンズを逆向きに取りつけたり(2016年7月11日の日記を参照),ベローズなどを使って極端にレンズをフィルムや撮像素子から遠ざけたりして撮ることで,フィルムや撮像素子に実物よりも大きな像が結ばれる拡大撮影が可能になる。レンズを逆向きに取りつける場合は,フィルタ径が問題になるのであって,レンズのマウントはなんでもかまわない。ベローズを使うときは,絞りなどの連動を放棄せざるを得ないので,マウントを交換するなどの改造がおこないやすい。上の2枚目から4枚目は,簡単な改造を施したベローズ(2016年11月12日の日記を参照)に,Exakta用のPancolar 50mm F2を取りつけて撮ったものである。
 また,接写が前提であれば,フランジバック(レンズマウント面とフィルムや撮像素子までの距離)をあわせるなど,長さを気にする必要もない。ニコンFマウントの一眼レフカメラのシステムでは,ほかのマウントのシステムにくらべてフランジバックが長いので,マウントアダプタを作成しても接写専用になってしまう。どうしても無限遠にピントをあわせるようにしたいなら,補正レンズが必要になり,装着するレンズの本来の写りを完全には楽しめない。だから,定評のあるヤシカ/京セラが発売したCONTAX用レンズをマウントアダプタを利用してニコンFマウントのカメラで使うときは,5枚目から8枚目のように接写で使うことになる。
 撮影したものを見くらべると,PancolarにくらべてTessarの描写は,がちがちの硬質なものになっている。これには,Pancolarを極端な接写で使った影響があるのかもしれないが。

なお,ここで使用したカメラ本体は,いずれもKodak DCS Pro 14nである。ニコンFマウントのディジタル一眼レフカメラであるKodak DCS Pro 14nに,そのままでは,ヤシカ/コンタックスマウントのTessar T* 45mm F2.8を取りつけることはできない。マウントアダプタが必要であるが,ここで使用したマウントアダプタは,じつはニコンFマウント用のものではない。ここで使用したのは,SONY αNEX-C3でヤシカ/京セラが発売したCONTAX用レンズを使うために購入したマウントアダプタである(2017年3月11日の日記を参照)。
 このマウントアダプタを何気なくニコンFマウントのカメラボディにはめてみたら,たまたまうまくはまったのである。

たまたまではあるが,ソニーEマウント(SONY αNEX)用のマウントアダプタは,ニコンFマウントのカメラボディに装着できるようだ。ただし,同時に購入した3つのマウントアダプタのうち,ヤシカ/京セラのCONTAX用レンズのものとCマウントのものは,ニコンFマウントのカメラボディにスムースに装着でき,マウントのロックもうまくかかったが,M42マウントのものはマウントアダプタの爪がやや厚いためか,スムースには装着できなかった。
 ソニーEマウントのマウントアダプタを,ニコンFマウントのカメラボディに装着できるのは,「たまたま」そうであったというだけのことで,このような使い方が想定されていたとは思えない。同じようなことを試してみたい人は,あくまでも自己責任でおこなうこと。この点は,ご了承いただきたい。


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