撮影日記


2025年11月29日(土) 天気:晴

低地の紅葉は月末が見ごろ

以前は11月になると,紅葉の名所とされるところを訪れることが多かった。マミヤプレスとエクタクロームをよく使っていたころには,ほぼ毎年かかさずに紅葉の写真を撮りに訪れていたものである。とくに,三段峡や常清滝には,紅葉の時期にかぎらず,厳冬期以外はひんぱんに訪れていたものである。今年もせめて紅葉の時期くらいはそれらを訪れようと思ってはいたのだが,11月第2土曜日の「人形供養」(2025年11月8日の日記を参照)を優先したために,どうにも訪れる時間を確保できなかった。最近は「クマ出没」のニュースが多いことも,紅葉を撮りに行くことに積極的になれなかったことに影響している。そもそも西中国山地は,いつクマに出会ってもおかしくはない地域なのであるから,用心するにこしたことはない。

だから,紅葉は身近なところで楽しむことにする。広島市内の低地では,おおむね11月の最終週から12月の第1週にかけてのころが,紅葉の見ごろとなる。例年,発色が気に入っているKodak DCS Pro 14nを使うことが多いが,今日はNikon D300を使うことにした。なにせ,確実に,無難に写るカメラである。連写性能もじゅうぶんである。だからこれまでもっぱら家庭内の記録に使うことが多く,撮った画像を振り返って見たときに,趣味の風景撮影などにあまり使っていないことに気がついたためである。レンズは無難に,標準ズームレンズであるAF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm F3.5-4.5G IF-EDを使う。これは,Nikon D70のレンズセットに含まれていたレンズである(2004年12月30日の日記を参照)。ニコンから発売されるキットレンズは全体に,シャープな写りに驚くことが多いと感じているが,このレンズはそれらに比較するとやや甘めに写るように感じていて,そこが1つの特徴だと思っている。

午後の低くなった光線が,紅葉した葉を背後から照らしてくれている。このように透過光として見たときの紅葉は,じつに美しい。逆光になるためにほぼシルエットになる幹や枝との明暗差が大きくなるように撮りたいものである。毎年,同じような光景をどこかで見かけているわけだが,見飽きないものである。

Nikon D300, AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm F3.5-4.5G IF-ED

このレンズの描写には,長所であろうと短所であろうとわかりやすい特徴があるわけではない。カバーする焦点距離の範囲はライカ判での28mmから105mmくらいに相当する。一般的にこれくらいの焦点距離をカバーしていれば,まず困ることはない。ただ,ズームレンズがカバーする焦点距離は,広ければ広いほど,なにかと便利である。ライカ判サイズのカメラを使うときには,これより少しだけ広い範囲をカバーしている,AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDをつけておけば,それこそまず困ることはない。
 ライカ判サイズのカメラで使うとき,短焦点側が24mmであるか28mmであるかの差は大きい。それでは,28mmでは物足りないかというとそんなことはなく,まず困ることはないのである。じゅうぶんにカバーされた広角域を利用して,長く伸びた影と透過光に輝く紅葉とを対比させてみるのもおもしろい。

Nikon D300, AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm F3.5-4.5G IF-ED

穏やかな日であり,散歩をする人も多い。人が途切れた瞬間を待って撮るようにした。
 よい具合に日光があたっている状態なので,この木だけでもじゅうぶんに楽しめるのだが,せっかくだからほかの木も眺めてみよう。イチョウの葉の濃い黄色も,この時期にしか楽しめないものである。濃い青空と,常緑樹の緑の葉とを,いい具合に対比させることができた。

Nikon D300, AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm F3.5-4.5G IF-ED

ここでは画面に変化をつけるために,あえて街灯を写りこませてみた。イチョウは全体がほどよく色づくと,猛烈な勢いで落葉をはじめる。そのようすも美しいものであるが,カメラを構えていると,あまり落葉をしてくれない。そのため,うまい具合に写しとめることは,まだできていない。また,落葉後にあたり一面が黄色のじゅうたんを敷き詰めたようになる光景も,美しいものである。
 ナンキンハゼは,また,てっぺんのほうしか紅葉しておらず,赤から黄,そして緑への変化を楽しめる状態である。1本で3色を楽しめるのも,濃い青空を背景にするとひときわである。

Nikon D300, AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm F3.5-4.5G IF-ED

このレンズは安心して使えるレンズであるだけに,使っていてつまらない面もある。だがしかし,ときどきその安心さを求めて,無性に使いたくなるのであった。

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