撮影日記


2024年06月11日(火) 天気:晴

夕日とNikon D2Hの魅力

デジタルカメラは発売されて以後,とにかく撮像素子の画素数が増えていった。コンパクトデジタルカメラともよばれる,レンズ固定式のデジタルカメラの場合,画素数はおおまかに,35万画素,80万画素,100万画素,140万画素,200万画素という具合に増えていった。100万画素をこえるとL判サイズ,600万画素をこえると四つ切サイズのプリントに耐えられるようになる。
 デジタル一眼レフカメラにも,600万画素より画素数の少ない撮像素子を用いた機種はいろいろあった。はじめて市販されたとされるKodak DCS 100は130万画素,その後に発売されたKodak DCS 200や,富士フイルムとニコンが共同開発したFUJIX DS-505(Nikon E)のシリーズでも,130万画素クラスの撮像素子が使われていた。そして,2003年に発売された400万画素の撮像素子を使ったNikon D2Hは,600万画素よりも画素数の少ないデジタル一眼レフカメラとしては,ほぼさいごの機種である(2005年に発売されたNikon D2Hsがさいごの600万画素より画素数の少ないデジタル一眼レフカメラであると考えられる)。

Nikon D2Hが発売されたころには,1000万画素をこえる画素数の画像を記録するデジタル一眼レフカメラがすでに発売されていた。コンパクトデジタルカメラで使われている撮像素子の画素数も,300万画素くらいのものが一般的になっていた。なかには400万画素や500万画素のものもあるが,「画質のためには画素数よりも階調が重要」として,「画素数が少ないほど1つ1つの画素が大きく,階調の面で有利である」という評価も見られるようになっっていた。
 また,画素数が少ないと,1つ1つの画像データが小さくて済む。一眼レフカメラの場合は,画素数の少ないモデルには連写性能を高めたようなものがあった。たとえば,1994年に発売の,600万画素の撮像素子を使っていたKodak DCS 460では,連写は2コマまでである。そのうえ2コマぶんのデータの書き込みには30秒から1分くらいかかるので,連写どころの話ではない。それに対して同じ時期に発売された,150万画素の撮像素子を使っていたKodak DCS 420では5コマまでの連写が可能であった。
 Nikon D2Hは,画素数の面では少しばかり見劣りするようなスペックであったが,毎秒8コマで40コマまでの連写が可能という大きな特徴をもっていた。

デジタルカメラの撮像素子としては,当初はCCDタイプのものが使われていた。その後,CMOSタイプのものが主流になってきた。それらに対してNikon D2Hでは,これらとは異なるしくみをもったLBCASTという名称の撮像素子が使われていた。このことに興味があって,CMOSタイプの撮像素子を使っているNikon D2Xと簡単な撮りくらべをしてみたが,とくに違いがわからなかった(2021年8月28日の日記を参照)。どんな撮像素子を使おうとも,適切な画像になるようにうまく調整されているはずだから,かなり厳密に比較しないと差が出るはずもない。それはじゅうぶんに予想できていても,なんとなく自分の目で確認してみたかっただけである。
 やはり,ある程度は使い込んでみないと特徴のようなものは見えてこないだろうと考えられるので,あらためてNikon D2Hを使ってみることにした。

まず,ふつうの被写体をふつうに撮っても,とくに大きな問題点や特徴などは見えてこない。モニタに表示させた画像を拡大していくとシャープさが足りないような気もするが,それは撮像素子ではなくレンズの問題であり,そもそも400万画素という画素数に大きな期待をしてはいけないのである。

Nikon D2H, AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G IF-ED

ここでは,左側のピンク色の花にピントをあわせて黄色の花を前ボケにする方法もあるが,手前にある黄色い花にピントをあわせるほうが,花のついていない枝が目立たなくなるのが都合よいと判断した。
 撮像素子とは関係しないが,Nikon D2Hのファインダーの見やすさはきわめて良好である。さすがは,ニコンの高級モデル,いわゆる「一桁機」である。これは「撮りやすさ」という面では,大きなアドバンテージになる要素である。ガラスに映った像と実際の像との位置関係をあわせるのも,コンパクトデジタルカメラの液晶モニタで見るよりはるかにやりやすい(2024年6月5日の日記を参照)。

Nikon D2H, AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G IF-ED

ここまで,カメラまかせでJPEG画像を出力させているが,ごく自然なあっさりした画像になっている。そこで,RAWデータとして記録したファイルを使い,ソフトウェアでいろいろと試行錯誤した。夕方のこってりした光線の雰囲気を出そうと思えば,少しばかりわざとらしくなってしまってでも,色を誇張するようにしたほうがおもしろい。ただ,こういう誇張は,FUJIやKodakのデジタルカメラのほうがおこないやすいと感じる。もしかするとそれは,単に,慣れの問題があるのかもしれないが。

Nikon D2H, AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G IF-ED

梅雨入りの時期は,年によって大きく異なる場合もあるが,広島では6月上旬であることが多い。一昨日は雨が降ったが,まだ梅雨入りという雰囲気ではなく,今日はよく晴れている。「さつき晴れ」という言葉は,「5月の晴れの日」を意味するが,本来は旧暦の5月をさす。ちょうどいまの時期なので,「今日は,さつき晴れだ」といってもよさそうであるが,実際には「梅雨の合間の晴れ」をさすべき言葉とのことである。まだ,梅雨入りしていないので,今日の晴れを「さつき晴れ」とよんではいけないのかもしれない。
 ともあれよく晴れていて,西日が強い。7月や8月の西日のような痛さは感じないが,するどく建物の窓に反射する。

Nikon D2H, AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G IF-ED

撮影時の露出やホワイトバランスをオートにしているとあっさりした色になってしまうので,これもRawTherapeeで調整している。
 また,西日を受けた被写体は,それ相応に赤みを帯びた画像になってほしいものである。

Nikon D2H, AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G IF-ED

オープンカフェの店頭につみあげられた柑橘類の実も,西日を受けて実際以上に赤味を帯びて見せてみたいものである。
 さらに西日の位置が低くなってくると,被写体をシルエットにしやすくなる。影になった部分が完全につぶれないようにすると,日光のあたっている部分が白飛びしてしまうが,この場合はそのようになったほうが,西日の強さが表現できるのだ,ということにしておこう。

Nikon D2H, AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G IF-ED

ところで,Nikon D2Hの特徴は,なによりもその連写性能である。カメラを構えたときの左側にある動作モードダイアルをCHにすると高速連続撮影モードになり,毎秒8コマで40コマまでの連写が可能になる。これを撮ったとき,きまぐれで動作モードダイアルをCHにしていた。気持ちよく連続撮影がおこなわれ,シルエットになっている人の足のさまざまな表情が写ってくれた。  また,Nikon D2Hは,それなりに重いカメラである。だから,いつも携帯しておこうという気になることは,まずありえない。しかし,望遠レンズを使い高速連続撮影をするときには,その重さによってカメラが安定するというメリットがある。三脚はカメラを固定するのが目的だから,財力と体力が許すかぎり大きく重いものを選ぶべきだと考えているが,カメラ本体も同じように考えてもいいかもしれない。しかしながら,小さく軽いカメラにもそれ相応の捨てがたい魅力がある。それは,決して無視することのできない,重要な事実である。


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