撮影日記


2024年06月05日(水) 天気:晴

楽しい10倍ズーム

あくまでも個人の感想であるが,私のイメージとしてPanasonicというブランドは,カメラのブランドではない。ラジオや冷蔵庫などのブランドである。とはいえ,Nationalの時代から,閃光電球やエレクトロフラッシュなどを製造していたウエスト電気と関係をもち,「ラジカメ」(2005年8月27日の日記を参照)をはじめとしていくつものポケットカメラやコンパクトカメラを発売してきている,カメラとの関連もかなり濃いブランドであることはたしかである。
 そののちPanasonicからは,フォーサーズシステムに対応するカメラやレンズも発売された。そしていまでは,カメラのブランドの1つとして認知されているものと思われる。マイクロフォーサーズ規格の「いわゆるミラーレス」カメラを購入した人に,実物をさわらさせていただいたことがあった。なるほど,よく考えられている。液晶モニタをファインダーにできるならカメラが一眼レフ式である必要はないから,デジタルカメラがこういう方向に進むのは当然だ,と思ったものである。そういう面では高く評価したいのだが,どうにもPanasonicが好んで使う「ミラーレス一眼カメラ」という語にだけは,よい印象をもつことができない(Nikon,Canon,FUJIFILM,SONYなどは「ミラーレスカメラ」という表現を使う)。
 コンパクトデジタルカメラとよばれる,レンズ固定式のデジタルカメラでもさかんに宣伝がおこなわれ,それなりに話題になっていた。いつしか,Panasonicのデジタルカメラが何台か手元に集まっていた。しかし,そこに強い魅力を感じるものがなく,動作確認をした程度で長いあいだ放置していた。

最近,手元にあるコンパクトデジタルカメラを順次,見直すようにしている。いくつかあるPanasonicのコンパクトデジタルカメラのうち,2007年に発売されたLUMIX DMC-TZ3という機種だけは,それにあうバッテリーパックが未入手で動作確認ができていない。ACアダプタの端子らしきものもあるが一般的な形状でなく,そこを利用することもできない。

もともとジャンク品として売られていたものだから,もしかすると故障しているのかもしれない。そうするとわざわざバッテリーを購入しても,無駄な出費になってしまうかもしれない。しかし,「LEICA」という銘のついた「10倍ズーム」というところが気になってしかたがない。無駄になるかもしれないというのを覚悟のうえで,これに使えるバッテリーパックを購入することにした。

幸いにも,カメラは動作した。実際に撮影に使うにあたっての,重大なトラブルもなさそうである。

Panasonic DMC-TZ3

Panasonic DMC-TZ3

とくに設定をいじっていない状態で撮ったものである。まず,さすがは撮像素子が600万画素をこえる(撮像素子の有効画素数は720万画素とのこと)機種である。レンズも,それ相応のきちんとした描写を示しているように見える。細かいところまで,よく写っている。全体として,とくに赤をべっとりと塗りたくった絵のようになっているのが,このカメラの描写の特徴になるのだろうか。先日のNikon Coolpix 800(2024年6月2日の日記を参照)の描写のほうが,(あっさりしすぎているとはいえ)個人的には好ましく感じる。こうして見るとNikon Coolpix 800は,撮像素子の画素数が200万画素級でありながらよくがんばっている。

さて,このようなコンパクトな10倍ズームレンズは,どれくらい楽しめるだろうか。広角側はライカ判で28mmレンズを使用したときと同等の範囲が写ることになっているようなので,Panasonic LUMIX DMC-TZ3に搭載されたレンズはライカ判カメラでいうところの28mm〜280mmのズームレンズに相当することになる。これは,一般的に必要になる焦点距離域をほぼカバーしていると言ってよい。28mm相当のレンズでは,じゅうぶんに広い範囲を写しこめる。その10倍である280mm相当のレンズであれば,望遠レンズによる効果はじゅうぶんに得られる。280mmレンズ相当というのは,いかに手振れ補正機能が内蔵されているとはいえ,保持しにくいコンパクトデジタルカメラで手持ちでお気軽に撮れる焦点距離としては,もっとも長いものであると考えてもよい。

Panasonic DMC-TZ3 (ライカ判の28mm相当)

Panasonic DMC-TZ3 (ライカ判の280mm相当)

この時期は日没が遅くなるので,夕方にも写真を撮る時間がじゅうぶんにある。「逆光は勝利」という表現が,かつて流行していたことがあった。夕方の低い光線は,被写体をシルエットや透過光に変えたり,反射光が突然,魅力的な形状を描いたりするてくれる。

Panasonic DMC-TZ3

しかし,日光の位置や明るさによっては,液晶モニタがとても見にくくなる場合がある。EVF(電子ビューファインダー)でなくてもいい,光学ファインダーあるいは液晶モニタのチルト機構などがほしいところだ。撮影者が日陰の位置にあり,目の高さにカメラを構えられる場合ばかりではないのである。

Panasonic DMC-TZ3

観光地での定番スポットのような場所では,おおむねライカ判で100mm前後の焦点距離のレンズを使うと,無難にまとまる。

Panasonic DMC-TZ3

一方で広く写しこもうとすると28mmより短いレンズを使いたくなるが,あまり短いと被写体が小さくなりすぎるから,28mmくらいにとどめるのが無難である。ここでは建物のガラスの反射像と実像とが並ぶようにして撮ってみた。

Panasonic DMC-TZ3

また,夕方の逆光を利用して撮ると絵になりやすいと感じるが,すなおに順光でその反射をストレートに画面取り入れてみるのもおもしろい。

Panasonic DMC-TZ3

こういういろいろな撮り方を楽しめるのは,お手軽に持ち運べて気軽に使うことができ,それでいてそこそこしっかり写ってくれる10倍ズームレンズのおかげである。

Panasonic DMC-TZ3

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