撮影日記


2020年09月23日(水) 天気:くもり

同じOkuharaでもどこかが違う

 「OKUHARA CAMERA MFG CO. LTD」という銘板のついた組立暗箱は,インターネットオークションや中古カメラ店などでよく見かける。銘板には「OSAKA JAPAN」とも書いてあるので,大阪に存在した製作所であることはわかるのだが,大阪のどこにあったのか,活動期間はいつごろからいつごろだったのかなど,手がかりが見あたらない製作所である。製品がかなり流通しているように見えるにもかかわらず,その実態が伝わっていないのは,不思議なものである。少なくとも製品そのものは,けっして珍しいもの,いわゆるレアものではない。もちろん,大量に生産され安価に流通した近年のカメラにくらべれば,簡単には入手できないわけだから,レアものといえばレアものなのかもしれない。それでも,Okuharaの製品に対してレアものという表現を使うことは,少しでも高く売るための方便みたいなものに聞こえてしまうものである。

 インターネットオークションで,ガラクタ(にしか思えないもの)一式を落札した。
 そのなかに含まれていたものの1つに,Okuharaの銘板がついた,組立暗箱用のバックアダプタがあった。

 八つ切サイズの組立暗箱で,カビネサイズの撮り枠を使うための,バックアダプタである。

じつは,同じようなものをすでに入手していた。
 どちらも,手元にあるM.S.K.の八つ切サイズの組立暗箱に,問題なく装着できた。そして,撮り枠も問題なく,共用することができた。こう書くと,「同じサイズのバックアダプタや撮り枠なのだから,共用できて当然だろう?」と思われるかもしれない。しかし実際には,無銘のもの,ブランドのあるものなど,いろいろある組立暗箱は,規格が完全には統一されていないようなのである。撮影に使う乾板やフィルム(およびシース=乾板用撮り枠でフィルムを使うための内枠)は規格にもとづいてつくられているようなので,どの撮り枠でも内側の大きさには変わりなく,問題なくシース等を装填できる。しかし撮り枠の外側は,ブランド等によって微妙に異なっており,うまく共用できないケースが実在する(2020年7月4日の日記を参照)。

よく見ると,Okuharaの銘板がついた2つのバックアダプタは,まったく同じものではない。

左側がこのたびあらたに入手したもの,右側が以前からもっていたものである。右側のものには段差があり,丸みを帯びている。

 

細かい板材を組みあわせてつくられているが,1つ1つの板材の大きさが微妙に異なっている。

使っている金具のデザインも,異なっている。

どちらが古いのか新しいのか,これだけでは判断できない。右側のものには,組みあわせを管理するためのものと思われるナンバリングが施されている。また,先の画像でもわかるように丸みを帯びた部分があるなど,管理や製作には,やや,手間がかけられているように思われる。

ともあれ,同じ銘板をつけた製品くらいは規格が統一されていて,互換性が確保されているように思われたことに,少し安堵したのであった。


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