2019年08月21日(水) 天気:雨のち曇
帰ってきたデジタルカメラ
ずっと以前,職場の先輩に貸していたデジタルカメラが帰ってきた。たぶん,自主製作映画で使う小道具にするとかなんとかいう話だったようにも思うが,なにぶんにも古いことなので,私もすっかり忘れていたものである。貸していたものは,当時,もう使うのをやめていた,OLYMPUS C-960Zoomである。
初期のデジタルカメラは,フィルムカメラではありえないようなスタイルのものが目立っていた。たとえばCASIO QV-10はレンズがいちばん端にあって,回転することができた。RICOH DC-3は,ノート型パソコンのように,液晶モニタを開いて使うようになっていた。
このころのコンパクトデジタルカメラは撮像素子が小さく,そのぶんレンズも小さいために,これらのパーツを配置する自由度が高かったのだろう。
また,画質面ではまだフィルムと比較できるようなレベルに達していなかったので,ふつうに撮るだけではない付加価値を与えることも,意識されていたのかもしれない。
CASIO QV-10もRICOH DC-3も,どちらもそのような流れのなかで考え出された,「従来のカメラらしくない」デザインをまとっている。
しかし,OLYMPUSは違った。
「従来のカメラらしい」スタイルのデジタルカメラを,市場に送りこんできたのである。ズームレンズ固定型一眼レフカメラのOLYMPUS Lシリーズに似たスタイルの,OLYMPUS C-1400Lは,その代表である。また,コンパクトデジタルカメラは,当時,一定の評価を得ていたOLYMPUS μシリーズに似たスタイルをまとった。
OLYMPUS C-960Zoomは,そのようなカメラの1つである。
OLYMPUSが「従来のカメラらしい」デザインを採用することになる経緯は,よく知らないが,そこには2つの理由があると考えられる。
1つは,「撮りやすい形」という判断があった可能性だ。カメラを右手でもつと,ひとさし指のところにちょうど,シャッターレリーズボタンが位置する。左手でカメラをささえてやれば,ブレをおさえながら撮りやすい。カメラというものは長い間,そのような形であった。それは,その形がベストではないかもしれないが,多くの人に使いやすいと受け入れられ,慣れてきたことがある。それと同じようなユーザインタフェースを採用するのは,使いやすいデジタルカメラを実現する近道であると思われる。
もう1つは,当時のデジタルカメラには「電池の持続時間が短い」という問題点が指摘されていた。液晶モニタをファインダーとして使っていると,電池の消耗がさらに激しくなる。それを防ぐには,光学ファインダーを設けるのがよい。高額ファインダーを設けることになると,レンズの配置も制約されることになり,結局,従来のカメラに近いスタイルになってしまう,ということだろう。電池の問題だけではなく,当時の液晶モニタは反応がやや遅く,液晶モニタをファインダーとして使うのでは,動く被写体をとらえにくいという点を指摘する人もあった。
さて,OLYMPUS C-960Zoomは,いまでも使えるのだろうか?
これは,いわゆるメガピクセル機である。ズームレンズを内蔵し,オートフォーカスでピントもあう。それならば,パソコンの画面で表示する場合や,プリントしてもせいぜいL判程度であるならば,じゅうぶんに使い物になるはずだ。
電池を入れて,動作をたしかめる。撮影動作も,再生動作も,問題ない。
OLYMPUS C-1400Lには,内蔵された時計の日付を「2016年」までしか設定できない,という問題があった(2017念9月24日の日記を参照)。OLYMPUS C-960Zoomでは,どうだろうか。
「30」まで,つまり2030年まで設定できるようだ。あと10年少々,問題なく使えるということだ。ところで,何年から設定できるのだろう?
「80」から,つまり1980年から設定できた,ということだ。
だが,しかし。OLYMPUS C-960Zoomは,いつ発売された?あのCASIO QV-10ですら,1995年の発売である。「1980年」から設定できる必要など,どこにもないはずだ。もし,「50年間」しか設定できないというのであれば,はじまりを「80」ではなく「95」くらいにしておけば,2045年くらいまで使えるようにできたのではないか?と,少々,不思議に感じたものである。
ところで,RICOH DC-3の日付は,それにくらべれば現実的である。
はじまりは「97」,つまり1997年である。
そして,「49」,つまり2049年まで使えるようになっている。どうしたオリンパス,こういうところにもう少し,気を使ってもらえないものだろうか?とくに,C-1400Lが「すでに使えない」状態になっているのが,あまりに悲しいのである。
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