撮影日記


2019年05月12日(日) 天気:晴

古いデジタルカメラを使う理由

写真機は,無限に広がる空間の一部を切り取って記録する装置だから,フィルムや撮像素子は大きければ大きいほど好都合だと思っている。
 一方で,機械というものは,同じ性能で同じ機能をもつならば,小さいものほど優れていると思っている。もちろんこれは,独断と偏見に満ち満ちた,私個人の感想だ。
 いま,ライカ判サイズの撮像素子をもつデジタル一眼レフカメラには,じゅうぶんに満足している。それは,使い慣れてきたユーザインタフェースをもち,フィルムの時代から使い慣れてきた大きさであるという要素もじゅうぶんに影響しているとは思う。

ライカ判サイズの撮像素子をもつデジタル一眼レフカメラに満足している一方で,いわゆる「中判デジタルカメラ」というものにも,当然ながら興味がある。しかし,私が使い慣れてきた「中判」は,6×9判だ。現在,中判デジタルカメラとされる製品では,その大きさに,まるで達していない。だから,思い切った購入行動に出ることはできていない。だからといって,もし,私が使い慣れてきた6×9判に相当する大きさの中判デジタルカメラがあったとしても,とても手を出すことはできないだろう。予想されるその価格もさることながら,得られるデータ量は膨大なものになり,たぶんいま使っているパソコンにとっても私自身にとっても,圧倒的な能力不足の状態になることはじゅうぶんに予想できる。だから,6×9判に相当する中判デジタルカメラというものが,まったく現実的ではない望みであることは,わかっているつもりだ。

中判デジタルカメラにチャレンジしない理由は,いろいろと考え出せる。
 それでも,安価なものがあれば,お試しはしたいと思っている。
 さて,ずっと気になっていた機械の1つに,Kodak DCS 465という,中判カメラ用のデジタルバックがある。対応するカメラ本体もあわせて入手する必要がある(そして,そのカメラはまだ入手していない)ために,すこしばかり敷居が高いのであるが,ずっと気になっている存在であった。
 しかし,最近になってようやく,残念な事実を知った。
 撮像素子の大きさと画素数は,DCS 460と同じではないか!

そうだ,「中判デジタルカメラ」というものは,私にはまだ分不相応,背伸びするな,ということであろう。

それもふまえて,いま使っているライカ判サイズの撮像素子をもつデジタル一眼レフカメラ Kodak DCS Pro 14n には,じゅうぶんに満足している。撮像素子の画素数は,最近のエントリーモデルの機種よりも少ないものだが,もうずっと何年も,ワイド四つ切よりも大きなプリントをしていない。だから,画素数についていえば,1000万画素をこえていればさほど問題ではない。
 より新しい機種にくらべて性能面で明らかに劣ると思えることとして,高感度での撮影に弱いことがある。Kodak DSC Pro 14nは高感度に設定できないことに加えて,長時間露光に対応できない。そういう撮影は,まったくの苦手である。また,連写能力も弱い。これらは,被写体を選べば,さほど問題とはならない。しかも私が撮りたいものは,これらの性能をあまり要求しないものが多い。
 比較的最近の機種によくある機能で,ほんとうに「いいなあ」と思うものとして,撮像素子の自動掃除機能がある。もちろん,その機能による効果も完璧なものではないのだろう。それでも,掃除しても掃除しても,またゴミが…という Kodak DCS Pro 14nの現状は,あまりに悲しい(2019年3月9日の日記を参照)。

撮像素子に付着するゴミに苦労してまでこの古い機種を使う理由は,大きく3つある。

1つは,個人的に好みの色あいの画像を出力してくれるから。「撮像素子はCMOSよりもCCDがよい」とか,「特定のメーカーのCCDがとくによい」など,いろんな声も聞こえてくる。しかし,Kodak DCS Pro 14nの撮像素子は,CMOSセンサである。センサそのものの特性にも差があるとは思うが,大きく影響するのはそこではなく,たぶんカメラ内部に用意された画像処理ソフトウェアの特性である。
 2つめの理由としては,新品当時にあこがれたもののとても買えなかったものだったから,というものがある(2016年8月26日の日記を参照)。そんな機種をいま使えていることそのものにも,よろこびを感じることができる。
 3つめの理由としては,今となってはややマイナーな存在になってしまった,ちょっとは珍しい?機種を使っているというよろこびである。

ともあれこれらが,いま,私が気に入ってよく使っているデジタル一眼レフカメラである。
 それぞれ傾向は違うものの,個人的に好みの色あいの画像を出力してくれる,という点は,共通している。
 よりあたらしいデジタル一眼レフカメラは,当然ながら,きれいな画像を出力してくれる。暗いところでの撮影にも強いし,連写能力も高い。それでも,個性の強い(しかもそれが好みにあっている)画像を出力してくれるデジタル一眼レフカメラは,それで撮影することそのものが,とても楽しいことなのである。
 数値であらわされるスペックが物足りなく感じることがあるかもしれないが,一般的な用途においては,すでにじゅうぶんなレベルに達している。
 デジタル一眼レフカメラは,このころすでに完成の域に達しており,そこからさらに高みを目指して進化を続けている状態にある,ということができる。


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