撮影日記


2019年02月12日(水) 天気:晴

Nikon D5000には非Aiレンズを装着できる

ニコンの一眼レフカメラ用交換レンズは,絞りの情報を伝達する方法の違いによって,大きく3つに区分できる。
 もっとも初期のものは,絞りリングのF5.6の位置についた爪で,ボディにF値の情報を伝達する。
 つぎに,絞りリングの根元に設けられた切り欠きで,開放から何段階絞ったかの情報を伝達するようになった。
 そして,電気接点を通じて,絞りの情報を伝達するようにあらためられている。

ガチャガチャ(非Ai)レンズ
 絞りリングのF5.6の位置についた爪で,F値の情報を伝達する方式は,外光式露出計との連動に好都合であった。一方で,撮影レンズを通った光を測定するTTL測光には,不都合であった。このしくみを使うボディでは,TTL測光のためには,レンズ交換するたびに,レンズの開放F値を別途,ボディに与える必要があった。具体的には,絞りリングを開放から最小絞りへ1往復させることで,開放F値を設定できるようになっていた(この方法に対応していないボディもある)。この操作は,ニコンの「ガチャガチャ」とよばれることがある。

Aiレンズ
 「ガチャガチャ」は,レンズ交換の手間をわずらわしいものにする。そのため,ニコンの一眼レフカメラは,開放から何段階絞ったかを伝達する方法に改められた。これに対応したレンズは,「Aiレンズ」と称している。以前の「ガチャガチャ」が必要なレンズは,これに対して「非Aiレンズ」とよばれるようになった。

CPUレンズ
 一眼レフカメラがオートフォーカス化するときには,距離や絞り,焦点距離などのさまざまな情報が,電気信号としてレンズからボディへ伝達されるようになった。このようなレンズをニコンでは「CPUレンズ」と称している。

非Aiレンズ,Aiレンズ,CPUレンズは,それぞれの方式に対応したボディと組みあわせることで,すべての機能を滞りなく利用できる。ただし,互換性への配慮がまったくないわけではない。Aiレンズには非Aiレンズと同じF5.6の位置に爪が設けられているものも多く,CPUレンズでも絞りリングのあるものには,Ai方式と同様な切り欠きが設けられていた。またニコンは,非Aiレンズの絞りリングをAiレンズと同様のものに交換するサービスや,CPUレンズに非Aiレンズと同様な詰めを取りつけるサービスなどを提供していたことがあった。
 Aiレンズ用の連動ピンが設けられているボディには,そのピンと干渉するために,絞りリングに切り欠きのない非Aiレンズを装着することができない。非Aiレンズを装着するには,メーカーのサービスを利用してAiレンズと同等の絞りリングに交換する,絞りリングを自分で削る,あるいはボディ側の連動ピンを撤去するなど,なんらかの改造が必要である。先日以来,非Aiレンズを使っているのは,ボディ側を改造して対応した場合の実験である(2019年1月28日の日記を参照)。

ところで,最近のデジタル一眼レフカメラのうち,エントリーモデルと位置づけられるものは,古いレンズとの互換性があっさりと割愛されている。具体的には,露出計やAEはCPUレンズ装着時にしか動作しないこと,Aiレンズとの連動ピンを省いていることがある。

ところが,エントリーモデルのデジタル一眼レフカメラでも,初期のものと比較的最近のものとでは,少し相違点がある。

これは,2009年に発売された,Nikon D5000である。

こちらは,2004年に発売された,初期のエントリーモデルであるNikon D70である。

これらのレンズマウント部を,くらべてみよう。

Nikon D5000は,ピントリングを駆動させるモーターを内蔵していないオートフォーカス用レンズのピントリングを駆動させるボディ側のモーターも省されている。上側のNikon D5000のレンズマウント部には,そのためのリンク機構がないことが一見してわかる。

さて,この2つには共通して,手前に小さなピンが見えている。これは,絞りリングのあるタイプのCPUレンズを装着したときに,それが最小絞りになっているかどうかを検出するためのものである。上側のNikon D5000では,レンズ側の突起が回転してきたときに奥に押し込まれるようになっているのに対し,下側のNikon D70では,レンズ側の突起が回転してきたときに同じように横にずれるようになっている。
 この違いのために,Nikon D5000では非Aiレンズを装着できるのに対し,Nikon D70はここが干渉して非Aiレンズを装着することができない。

Kodak DCS 460と組みあわせて使うNikon F90Xに,Aiレンズ連動ピンを撤去するような無理な改造を施さなくても,非Aiレンズをデジタル一眼レフカメラに装着できるのである。
 このようにしてNikon D5000に非Aiレンズを装着しても,もちろん露出計は動作しない。単体露出計やカンで露出を決めてマニュアルモードで撮影し,撮影した画像のヒストグラムを参照しながら露出を追い込んでいくことになる。
 だが,しかし,Nikon D5000の撮像素子は,いわゆるAPS-Cサイズである。少しでも撮像素子の大きなKodan DCS 460で使いたいというのが,いまの心情である。


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