2015年08月28日(金) 天気:晴
「おもちゃ」だと軽視できない? 楽しめそうな Diana+ (ダイアナプラス)
「ブックオフ広島大手町店」では,一時期,「カメラ」というものがほとんど扱われなくなっていた。しかし最近おこなわれた売り場リニューアルの後,売り場の雰囲気が「ハードオフ」のようになり,「カメラ」というものの扱いも復活していた。おかげで先日は,58mm F1.2レンズ付きのキヤノンフレックスRMを780円で救出することができた(2015年8月4日の日記を参照)。
そんなに頻繁にはないものとは思うものの,一度でも「よい出会い」を体験してしまうと,その近くへ出かける用があるとついでに立ち寄ってみたくなるものである。「ブックオフ広島大手町店」は,そんな期待を裏切らないようだ。まず鍵のかかるショーケースのなかに,980円のNikon F50Dを見つけた。「電源が入ることは確認しました」という説明がつけられている。Nikon F50Dはジャンクコーナーで1000円程度で見つかることが多いのだが,カメラ店のジャンクコーナーの商品は,基本的に「故障品」である。電池がないとうんともすんとも動作しないカメラなので,たとえ「電源が入ること」だけでも確認されていることは,とてもありがたい。もっともNikon F50Dは最近,ようやく救出できたところである。もしまだ救出していなかったなら,ここで救出していたことだろう(2015年2月18日の日記を参照)。
Nikon F50Dのうしろには,1480円でペトリの一眼レフカメラが控えていた。ペトリの一眼レフカメラは未入手なので,これはぜひ救出しておきたい。ほかに魅力的なものがなければこれを救出することに決めて,さらに売り場を眺めることにした。
鍵のかかるショーケースを眺めた後は,青いコンテナボックスの探索である。この青いコンテナボックスこそが,売り場の雰囲気を「ブックオフ」ではなく「ハードオフ」につくりかえているように感じられる。残念ながら,青いコンテナボックスの中からは,カメラ関係でめぼしいものを見つけ出すことはできなかった。さきほどのペトリの一眼レフカメラを確認すべく,鍵のかかるショーケースのほうへ足を戻そうとしたとき,青いコンテナボックスの横に隠れていたこんな箱に目がとまった。
手に取ってわかったその正体は,Lomography(ロモグラフィ)の「Diana+」(ダイアナプラス)である。
1960年代に香港のメーカーから,「Diana」という名前の簡便なカメラが発売された。とにかく低価格だったようで,トイカメラとしてよく売れたそうである。
「Diana+」は,Lomographyによって2007年に発売されたトイカメラである(*1)。Lomographyの「Diana+」は,オリジナルの「Diana」を忠実に再現したうえに機能の拡張をおこなっているとのことだ。オリジナルの「Diana」と同じスタイルをしているが,さらに本来はなかった2つの機能が拡張されている。拡張された機能の1つは,絞りに「ピンホールモード」が設けられた点である。「Diana+」のシャッター速度はB(バルブ)と1/60秒だけであり,お天気マークによって絞りを3段階に変えることで露出調整をおこなうようになっている。その絞りに,さらに小口径の「ピンホール」が4段階目として追加されている。もう1つは,レンズ交換が可能になっていることで,Lomographyから何種類かの交換レンズが発売されている(*2)。「Diana」は,あくまでも低品質のトイカメラであった。Lomographyは「Diana」を忠実に再現したということは,「Diana+」もあくまで低品質のトイカメラであるとみなすべきだろう。もっとも,レンズの描写の欠点やカメラの不具合等による写りへの悪影響などを含めて「味わう」「楽しむ」のが,Lomography的な遊び方と考えればよいのだ。
そうは言っても,あまりきちんと写らなそうなカメラを買うのも,ちょっとした勇気が必要なことである。しかし,この「Diana+」につけられた価格は980円であり,さきほどのペトリよりもずっと安価である。元箱をはじめとして,付属品がそろっているようなのも魅力的だ。さらに最近,SPINNER 360°で楽しんだ(2015年6月24日の日記を参照)記憶が強烈に残っているので,Lomographyに対する印象があまり悪くないという事情もある。セルフコッキングではなく巻き上げとシャッターチャージとが連動していないから,多重露出も思いのままだし,レンズ交換機能やピンホールモードなど,いろいろな仕掛けが満載である。レンズにフィルタのネジが切られていないのがちょっと惜しいところだが,いろいろな遊びが楽しめそうである点は,実際に使ってみるのが楽しみだ。
さて,実際に「Diana+」を手にしてみると,想像していたよりもしっかりしたボディであると感じることだろう。もちろん,所詮はおもちゃであるのだが,おもちゃとしてしっかりつくられている,そういう印象を受けたのである。付属品として,キャップやストラップもあり,取扱説明書もあった。さらに,「写真集」もちゃんと残っている。
付属の「写真集」に載せられている作品は,いかにもLomography的な世界のもので,人によって好きか嫌いかはっきりわかれることだろう。そういう写真の中身は別として,表紙にも本文にもかなり厚い紙が使われており,本として悪くないものになっていると感じる。また,単に写真を並べているだけでなく,オリジナルの「Diana」というカメラについて書かれていたり,「Diana」に似たカメラのコレクションが紹介されていたりするなど,内容もそこそこ楽しめそうである。残念なのは,本文が英語なので,読むのにちょっと時間がかかることか(笑)。
ともあれ今回は,ペトリの一眼レフカメラよりも,元箱・付属品付きの「Diana+」のほうを選んで救出してしまったのであった。救出にかかった費用は780円。今回も200円引きクーポンが役に立った。なお,値札には価格のほか,商品の状況についてのメモもあったのだが,そこには「電源が入ることは確認できました」とあった。「Diana+」に電池は不要なのだが,いったいどこをどう確認したというのだろか?そう考えると,さいしょに見かけたNikon F50Dの「電源が入ることは確認しました」も,ほんとうに確認したのかどうか,ちょっと気になるのである。
*1 Diana+ / Diana F+ Camera / Specifications (Lomography)
→http://microsites.lomography.jp/dianajp/specifications/
*2 Diana+ / Diana F+ Camera / Diana Lenses (Lomography)
→http://microsites.lomography.jp/dianajp/diana-lenses/
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