撮影日記


2015年06月22日(月) 天気:曇

F4降臨

本日,私のもとにはじめて,Nikon F4様が降臨めされた。

昨年は仕事の関係で,ほぼ毎月1〜2回は大阪へでかけていた。その一連の大きな仕事が一段落したら,中古のNikon F100を買おうと考えていた。
 Nikon F100を買おうと考えたのは,Nikon F80に不満を感じたからである。
 昨年3月,消費税アップ前の駆け込み需要的にAF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDを購入(2014年3月31日の日記を参照)して以降,Nikon F80との組み合わせで撮ることが多くなっていた。この組み合わせは,なによりも撮影が楽である。AFとAEにまかせてカシャカシャカシャと撮ってしまえるので,動く被写体を撮るには実に好都合である。しかも,コンパクトで軽い。Nikon F80とAF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDとの組みあわせは,これさえあればだいたいのものが簡単に撮れるという意味で,私にとって最強の「横着セット」になっていた。
 さらに,手元には使えるNikon F80が2台ある(2013年12月26日の日記を参照)ので,種類の違うフィルムの併用もおこないやすい。Nikon F80は私にとって,さまざまな意味で運用しやすいカメラになっていたのである。

Nikon F80, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

そんな,Nikon F80にも,不満はあった。
 もっとも大きな不満は,マニュアルフォーカスのニッコールレンズで露出計が連動しないことである。たとえば,Reflex-NIKKOR 500mm F8や「おもしろレンズ工房」のレンズを使いたいようなときに,不便を感じる。
 マニュアルフォーカスのレンズでもAiレンズなら露出計が連動しないだけだが,Ai以前のレンズだと連動レバーの関係から取りつけそのものができない場合もある。たとえば,PC-NIKKOR 35mm F3.5を使いたくなるときがあるのだが,これはAi以前のレンズなのでF80に取りつけることすらできない。
 これについては,あたらしいレンズを買えば解決する問題ではある。
 もう1つの大きな不満として,電源が単3乾電池ではないというものがある。Nikon F80で使えるリチウム電池型の充電式電池を使うことで電池に対する不満は軽減できるようになってはいるので(2015年3月15日の日記を参照),小さく軽いカメラを使いたいという要素が優先される場合にはそれを使えばよい。そうは言っても,電池の買い置きの都合や単価などを考えれば,単3乾電池を使えるほうが都合がよい。

そこで,Nikon F80にかわる機種を考えることにした。
 動く被写体を楽に撮影しようと思えば,オートフォーカス機を選ぶことになる。手元にあったオートフォーカス機でAiレンズが使えるものには,F-501AF,F-601,F-801,F70,F90Xがあった。しかし,Nikon F-501AF,F-601,F-801はAF-Sレンズ(フォーカスリングを駆動するモーターがレンズに内蔵されているタイプのレンズ)でオートフォーカス撮影ができないので,AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDを活かすことができない。Nikon F70は,その特殊なユーザインタフェースに慣れていないし,電源が単3乾電池ではない。すると,残るはNikon F90Xということになる。

Nikon F90X, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

Nikon F90Xは,AF-Sレンズでもオートフォーカス撮影ができるし,当時の上級モデルだからかファインダーも見やすくオートフォーカスの動作も速く感じる。一方で,絞りリングのないAF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDでは,シャッター速度優先AEかプログラムAEモードしか使えない。また,レンズに内蔵されたVR(手ブレ補正)機構ははたらかない。そう考えると,「Nikon F100がほしい」と欲が出てくるのである。

「カメラのキタムラ」は,かつて独自のポイントカードを発行していたが,その後「Tポイント」に加盟した。その運用等にいろいろと批判が見られることもある「Tポイント」だが,気がつくと4ケタ後半のポイントがたまっている。「カメラのキタムラ」の「ネット中古」を参照すると,傷などを気にしなければNikon F100の中古品は9,800円くらいから買えることがわかる。たまっているTポイントで,購入に必要な金額の半分くらいはまかなえる。そうだ,仕事が一段落したら「カメラのキタムラ」で中古のNikon F100を購入しよう。Nikon F100ならば,PC-NIKKOR 35mm F3.5は使えないが,Reflex-NIKKOR 500mm F8や「おもしろレンズ工房」のレンズは使えるし,AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDの機能がフルに使える。

カメラのキタムラ Tカード

Nikon F100の状態や価格などの関係を確認しようと眺めていると,Nikon F100の購入に必要最低な金額があれば,Nikon F4もじゅうぶんに購入できそうであることに気がついた。
 いまさらと言えばいまさらであるが,Nikon F4が安くなっている。いろいろ好き嫌いはあるだろうが,ニコンFヒトケタ機である。ニコンのフラッグシップモデルが,10,000円そこそこで買えるのだ。Nikon F4では,AF-Sレンズでオートフォーカス撮影ができる。Aiレンズでも,露出計が連動する。しかも,Aiレンズでもマルチパターン測光(多分割評価測光)ができるという。さらに,Ai連動ピンが可倒式なので,絞り込み測光になるが非Aiレンズを使っての撮影も可能だ。VR機構が使えないことやAF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDのように絞りリングのないレンズではシャッター速度優先AEかプログラムAEで使うことになるなどの制約もあるが,Nikon F4は使えるレンズという面に注目したときにはもっとも互換性の高いボディなのである。さらに言えば,活用できる機会はまずないと思うが,Nikon F3AF用のAFニッコールレンズも,オートフォーカスで使用可能である。
 しかも電源は,単3乾電池が使える。
 比較的あたらしいオートフォーカス機構をもちVR機構も利用できるNikon F100を購入するか,オートフォーカス機構は少し古いが非Aiレンズも使えるフラッグシップモデルのNikon F4を購入するか,中古価格の最安値は,どちらも10,000円くらいである。

仕事に一段落がついてあらためて検討をしたが,Nikon F100かNikon F4か,その迷いはさらに深刻になっていた。しかしあることがきっかけで,その迷いは一気に打ち消された。
 その迷いを打ち消してくれたのは,Nikon F-501AFの非Ai改造をおこなったことである(2015年3月18日の日記を参照)。
 非Aiレンズに対応するように改造したNikon F-501AFが,改造前の想像以上に実用的なのである。露出モードとしては,プログラムAEと絞り優先AEに限定されるが,非Aiレンズを開放測光のように(実際には瞬間絞り込み測光になっている)使えるのである。これは,Nikon F4でもできないことだ。とくに,非AiレンズでプログラムAEが使える仕様になっているカメラボディは,ニコンから発売されていない。このことによって,Nikon F4を「急いで購入する必要はない」と判断するに至り,あわせてNikon F100についてもしばらくは購入を考えないことにしたのである。

Nikon F-501非Ai改, NIKKOR-S AUTO 5.8cm F1.4

状況がふたたび動いたのは,先週末のこと。
 「カメラのキタムラ」の「ネット中古」で,8000円台のNikon F4を見つけてしまったのである。ここまで安価だと,たまっていたTポイントで支払いの2/3以上をまかなえる。
 しかも,よく見かける「F4」(単3乾電池4本用バッテリーパックMB-20付き)や「F4S」(縦位置レリーズボタンもついた単3乾電池6本用バッテリーパックMB-21付き)ではなく,比較的見かけることの少ない「F4E」である。「F4E」は,縦位置レリーズボタンもついた単3乾電池6本用バッテリーパックMB-23付きのモデルで,専用のNi-Cdパックを使えるようにもなっている。「F4S」と「F4E」にはスペックの差はないのだが,見た目は異なっている。
 ほんの少しだけ迷ったが,私はそのNikon F4Eを予約注文した。そして今日,受け取ってきた。

Nikon F4E body (F4 + MB-23)

ずっしりと重いカメラである。もともと決して軽くないNikon F4だが,6本の単3乾電池が入った状態のNikon F4Eはさらに重いのである。常時携帯するには厳しい重さだが,カメラの構えが安定しそうな,よい重さである。そして,古くなったとはいえ当時最高級モデルの貫録がひしひしと伝わってくる。プラスチック製の外装が安っぽいという批判も耳にするが,実際に手にすればそんな批判はどうでもよくなることだろう。
 カメラの上面部分は,「軍艦」(あるいは「軍艦部」)とよばれることがある。平らな面にさまざまなダイアルやレバーなどが並んでいるようすを,「軍艦」を横から見たときの姿にたとえたよびかたである。だからここで言う「軍艦」とは,航空機の発着のために広い甲板のある「空母」や,その全体を見せることのあまりない「潜水艦」を意味することはない。多数の大砲や機銃,観測装置などが並んでいる「戦艦」をイメージしたものになる。
 Nikon F4は,多くの機能が盛りこまれたオートフォーカスの一眼レフカメラである。この種のカメラのユーザインタフェースは,液晶パネル,ボタンと最小限のダイアルで構成されるものが多い。しかしNikon F4のユーザインタフェースは,多数のレバーやダイアルから構成される。その混雑ぶりから,機銃類を追加装備された後の戦艦大和の姿を彷彿とさせる人も少なくないのではないかと思う。
 眺めているだけでも,ど迫力のカメラである。ぜひ,一家に1台,おすすめしたい。

 
Nikon F4

「カメラのキタムラ」の「ネット中古」のしくみを,簡単に紹介しておく。
 「ネット中古」のWebサイトには,全国の「カメラのキタムラ」にある中古カメラが掲載されている。そのなかで気になる商品を「予約注文」すると,自分の近くの「カメラのキタムラ」に転送してもらえる。その店頭で実物を確認し,購入するというしくみだ。実物を確認して問題点などあれば,キャンセルしてもよい。
 ところで,このNikon F4Eの予約注文に少しだけ迷ったのは,そのすぐ隣に9000円台のNikon F100が表示されていたためである。だが,そのNikon F100を予約注文することはできなかった。わずかの差で,ほかのだれかに予約注文されてしまっていたようである。つまり今回は,Nikon F100にはご縁がなく,Nikon F4にはご縁があったということだ。やはり中古カメラをお迎えするに至る要因として重要なものは「よい出会い」であり,よい出会いは「ご縁」というものによって導かれるものなのである。

ここで,重要なことを忘れてはいけない。
 Nikon F4Eという選択は,Nikon F80への不満に対してのじゅうぶんな解決には,なっていないのである。いずれ,Nikon F100も購入することになるのだろう。
 ふたたび地道に,Tポイントを貯めていくようにしよう(笑)。


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