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2025年09月03日(水) 天気:晴意外と縁がなかったPENTAX zoom70最近数年間,カメラの出荷台数は減少傾向にある。一般社団法人カメラ映像機器工業会が公開するデータ(*1)によると,2015年の出荷台数は35395457台だったのに対して,2024年の出荷台数は8490227台であり,およそ1/4になっている。このうち,「レンズ交換式」で「一眼レフではない」カメラ(いわゆるミラーレスカメラ)は,3344906台から5612205台へと1.7倍近く増加しているが,一眼レフカメラはおよそ10%に,レンズ固定式カメラ(いわゆるコンパクトデジタルカメラ)はおよそ8%まで減少している。
このような傾向の理由の1つに,携帯電話機(スマートフォン)にカメラ機能が内蔵されるようになったことが,よく指摘される。写真を撮る目的があろうとなかろうと,携帯電話機はつねに充電した状態で携帯しているのが,なによりも強みである。SNSへの投稿までそれ1台で完結するのだから,一般的な用途にはじゅうぶんなのである。それでも,携帯電話機のカメラ機能でふじゅうぶんに感じることはいくつかあるが,その1つに光学的なズームレンズを搭載した機種がまだ特殊な存在であることをあげておきたい。 コンパクトデジタルカメラには,ズームレンズが内蔵されたものが多くある。いまや,カメラ専用機にズームレンズが内蔵されているのはあたりまえな状況である。ズームレンズが内蔵されていると,レンズ交換式ではないカメラでも望遠レンズや広角レンズによる撮影ができるようになるので,とても好都合である。レンズ交換式ではないライカ判サイズのカメラで,さいしょにズームレンズが内蔵されたカメラは,1963年に発売された,NIKKOREX zoom35であるとされる。ただしこのカメラは,レンズ交換式ではないとはいえ,一眼レフ形式のカメラである。一眼レフ形式ではない,いわゆるコンパクトカメラに限定すると,1979年に発売されたFLASH FUJICA ZOOM Dateになる。このカメラはプログラムAEなので露出の調整は必要ないが,ピント調整は目測式である。また,ズームレンズがカバーする焦点距離は37mmから55mmまでで,広角側にも望遠側にもいまひとつ物足りないものであった(2021年10月26日の日記を参照)。そのせいか,発売された期間は長くなく,中古カメラ店などで見かけることも少ないことから,あまり売れなかったのではないかと想像する。
「PENTAXの古いカメラがあるんだけど…」ということで,カメラを1台,いただいた。それは,PENTAX ZOOM 70Sである。1988年に発売されたもので,PENTAX ZOOM 70の機能をアップした後継機である。シャッター速度が1/40秒までだったのが1/5秒までになったことや,フラッシュの発光禁止ができるようになったところが,おもな変更点である。動くかどうかわからないということだったが,電池を入れたところ問題なく動き出した。ようやくこのシリーズできちんと動くものとの縁ができたのである。
実用的なズームレンズが使えるのはありがたいが,コンパクトカメラとしては,やや大ぶりなものである。リチウム電池でもアルカリマンガン電池でも使えるようになっている点は,なにかと好都合である。
無理をすれば,CR123Aでも使うことができてしまうのだ。
*1 デジタルカメラ統計(一般社団法人カメラ映像機器工業会) |
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