撮影日記


2025年08月06日(水) 天気:曇

とうろう流しに400mmは長すぎた

ここ数年はもっぱら,ニコンFマウントのデジタル一眼レフカメラを使っている。利用できる交換レンズをいろいろ確保しているし,なによりユーザインタフェース的に使い慣れている。また,使う機会が多いということは,ふだんから動作やバッテリーの充電状況などを確認しており,とっさに持ち出そうとするときでも,確実に使用できる。使う機会の多いものとしては,FUJIFILM X-T10もあるが,これについては交換レンズをあまりたくさんは確保していない。SONY α7も最近はよく使うようになっているが,わたしにとっては,ニコンFマウントではないレンズを使いたいときに使うカメラである。
 ニコンFマウントではないデジタル一眼レフカメラも,何機種かは確保している。それらも,もともとは,ニコンFマウントではないレンズを使いたいと考えて確保しているカメラである。そのような目的で確保したカメラの1つに,Kマウントのデジタル一眼レフカメラである,PENTAX K100Dがある。使ってみたいと考えていたレンズは,SMC PENTAX REFLEX-ZOOM 400-600mm F8-12というものである。

反射式の望遠レンズは,焦点距離の長さのわりに極めてコンパクトなものになる。反射式の望遠レンズとしては,いろいろなブランドから,500mm F8という仕様のものがよく発売されている。PENTAXから発売されたレンズは,ほかに例の少ないズームレンズであることが大きな特徴である(逆に,その当時,PENTAXからは500mm F8という仕様の反射望遠レンズは発売されなかったようである。)。いわゆるズーム比は1.5倍なので,いろいろな焦点距離の撮影を楽しめるというよりは,撮影ポジションが限られる場合でも撮影時にトリミングができるという程度に考えればよいだろうが,ともかく超望遠のズームレンズをコンパクトに楽しめる貴重な存在であることは間違いない。

今年も,「とうろう流し」の日になった。広島でも連日,猛暑な日が続いている。海に近い都市部は,40℃近い気温を記録したこともある山間部ほどの猛暑ではないとしても,夕方になってもまだ暑い。それでも海のほうから吹いてくる風は,いくぶんか冷えたものに感じられる。ただ,その風を感じられないときは,じっとりと暑さだけがまとわりついてくる。今年は流れている「とうろう」が少なく,人も少ないように感じられるのだが,暑さのせいだろうか。

PENTAX K100D, SMC PENTAX-M Zoom 28-50mm F3.5-4.5

PENTAX K100Dで発光体を撮ると,実際以上に色が鮮やかに感じられる。ともかく,川面を落ち着いて眺められる場所を確保したので,ここでSMC PENTAX REFLEX-ZOOM 400-600mm F8-12を使ってみることにする。
 だが,このような場面で,このクラスのカメラとの組み合わせでは,このレンズはなかり使いにくいものである。まず,視野が暗い。そこで発光体を基準にピントをあわせようと考えるのだが,それでも暗いのである。また,ピントの山もつかみにくい。これは,エントリークラスのカメラのファインダーではしかたのないことであろうか。
 そしてなにより,被写体が思ったよりも近いのである。近いほうが被写体が大きく見えて,ピントをあわせやすいものだが,あまりに近すぎてそもそも被写体をファインダー内にとらえにくい。また,PENTAX K100Dの撮像素子は,いわゆるAPS-Cサイズのものである。そのため写る範囲は,ライカ判のカメラで使うときにくらべて狭いものになる。具体的には,1.5倍ほど長い焦点距離のレンズを使ったときと同等の範囲が写ることになる。つまり,ズームリングをもっとも短焦点側にしても,ライカ判のカメラで600mmレンズを使ったときに相当する条件となる。

PENTAX K100D, SMC PENTAX REFLEX-ZOOM 400-600mm F8-12

背景のピントがあっていないところにいわゆるリングボケが生じているのは,いかにも反射望遠レンズらしいものである。
 さらに,川には流れがある。ほとんど動いていないように見えるが,このクラスの望遠レンズで覗いた視野のなかでは,被写体の動きはとても速い。短焦点側でも開放F値はF8であり,カメラの感度設定もISO 3200相当が上限であるから,流れる「とうろう」を写しとめることは困難である。

PENTAX K100D, SMC PENTAX REFLEX-ZOOM 400-600mm F8-12

つまり,せっかく焦点距離400mm〜600mmのズームレンズでありながら,600mm側を使える場面に出会えなかったわけである。600mmどころか,ズームリングを動かしてみる機会すら,見つけられなかった。
 このレンズは,SONY α7のようなカメラと組み合わせて使うほうが,幸せになれるかもしれない。そして,PENTAX K100Dと組み合せるのは,70-300mmクラスのズームレンズが無難なのかもしれない。

← 前のページ もくじ 次のページ →