撮影日記


2025年06月15日(日) 天気:晴 夜中から雨

Nikon D2XはR72フィルタとの相性がよくなさそうである

中国地方の梅雨入りは,例年より遅い状況である。昨日は雨だったが,今日は一転して晴れた空が広がっている。今日も,R72フィルタによる赤外線撮影を試してみることにした(2025年6月1日の日記を参照)。
 デジタルカメラの撮像素子には,赤外線をカットするフィルタが装着されている。きちんとした赤外線撮影をするならば,このような赤外線をカットするフィルタを取り外すような改造が必要となる。しかしR72フィルタによる撮影は,赤外線ではなく,近赤外線とよばれる波長の光を利用する。そのため,デジタルカメラを改造する必要ない。たとえば,Nikon D70では,それなりの高感度に設定したうえでの長時間露光が必要になるが,近赤外線による撮影が可能になっている。
 近赤外線をどれくらい利用できるかは,デジタルカメラによって異なっているようである。そこで,手元にあるいくつかのデジタルカメラでそれをたしかめてみることにした。

とりあえずNikon D70で撮ってみて,それを基準にしてみることにする。昼間の日差しがある条件で,感度をISO 800に設定した場合,レンズの絞りをF8に設定すると露光時間は1/6秒くらいで適正といえる露出が得られる。

Nikon D70, Ai Micro-NIKKOR 200mm F4 / at ISO 800, F8, 1/6sec

つぎに,Nion D1を使う。Nikon D70より気持ちほど露光時間が長いものの,くらべてみるとやや露出が不足していたようである。近赤外線におけるNikon D1の感度は,Nikon D70よりやや低そうではあるが,大差はないと考えてよいだろう。

Nikon D1, Ai Micro-NIKKOR 200mm F4 / at ISO 800, F8, 1/4sec

Nikon D1は,1999年に発売された,デジタル一眼レフカメラである。それまでのデジタル一眼レフカメラがのきなみに100万円近くあるいはそれ以上のものだった時代に65万円という価格で発売された。記録される画像は200万画素台のものであったが,完全な一体型のボディ,液晶モニタの内蔵,CFカードへの対応,JPEG出力の完備,IEEE 1394による接続などが実現され,価格とあわせて,デジタル一眼レフカメラが一般化する流れをつくり出した,歴史的な転換点にあるカメラだと考えている。

Nikon D1よりあたらしい,Nikon D2Xではどうだろうか。

Nikon D2X, Ai Micro-NIKKOR 200mm F4 / at ISO 800, F8, 30sec

感度や絞りの設定は同じであるにもかかわらず,ほぼ同じような明るさの画像を得るためには,大幅に長い露光時間が必要になっている。Nikon D1やNikon D70にくらべると,R72フィルタでの撮影においては,Nikon D2Xは実用的とは言い難い。
 Nikon D1やNikon D70の撮像素子は,CCD素子を用いている。それに対してNikon D2XはCMOS素子を用いている。この差が影響しているのだろうか。そう予想すると,独自の撮像素子LBCASTを使っているNikon D2Hではどのように写るかが,大いに気になるところだ。

Nikon D2H, Ai Micro-NIKKOR 200mm F4 / at ISO 800, F8, 1/5sec

Nikon D70やNikon D1と大差ない条件で撮影できるようである。

Nikon D1,Nikon D70,Nikon D2X,NikonD2Hという,1999年から2004年にかけて発売された4つのデジタル一眼レフカメラのうちでは,Nikon D2XだけがR72フィルタでの撮影に相性がよくないようである。この差は,撮像素子の特性によるものなのか,それぞれの機種に内蔵された赤外線カットフィルタの特性によるものなのか,カメラそのものの画像処理の特性によるものなのか,そこはまだはっきりしない。

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