撮影日記


2025年06月01日(日) 天気:晴れ

赤外線撮影フィルタの効果をたしかめる

ケンコー・トキナーから発売されている「R72」フィルタは,デジタルカメラで赤外線撮影を楽しむためのフィルタである。このフィルタは,近赤外線とよばれる領域にある波長の光を通すようになっている。デジタルカメラにはこのような近赤外光をとらえられるものがあり,赤外線撮影に近い効果をお手軽に楽しめるようになっている。R72フィルタがモデルチェンジしたせいか旧モデルのフィルタを安価に購入することができたので(2025年5月26日の日記を参照),この機会に赤外線撮影の効果を試してみることにする。

まず,カメラはNikon D70を使うことにする。レンズは,マニュアルフォーカスのAi NIKKOR 28mm F2.8を使うことにする。

Nikon D70では,このレンズを装着したときには内蔵の露出計が使えない。しかし,近赤外光の場合,内蔵の露出計があてにならないと考えられる。マニュアル露出モードで撮影し,撮影結果のヒストグラムを見ながら適正な露出に追い込んでいくことになるので,内蔵の露出計が使えなくても問題はない。また,赤外線撮影をした場合は基本的に,モノクロ画像として処理をしていくことになる。Nikon D70には「モノクロモード」はないが,RAWデータとして記録するならモノクロモードは必要ない。
 赤外光による像が結ぶピントの位置は,可視光による像が結ぶピントの位置と異なっている。そのため,赤外指標というものがついているレンズを使う必要がある。可視光でピントをあわせたあと,赤外指標の位置にピントをずらすことで,赤外光でもピントがあうようになる。マニュアルフォーカスのニッコールレンズには,この指標がついている。

Ai NIKKOR 28mm F2.8には,径が52mmのフィルタを装着するようになっている。購入したR72フィルタは,径が72mmのものなので,適当なステップアップリングを使って装着する。このような特殊なフィルタは,よく使うレンズの径にあわせて買うよりも,少しばかり高価にはなるが,よく使うレンズのうちもっとも径の大きなものにあわせて買うのがよい。大は小を兼ねるのである。

まずは,赤外撮影の効果をたしかめるために,緑の葉が多い構図で撮ってみる。

Nikon D70, Ai NIKKOR 28mm F2.8, R72 filter, ISO 1600, F8, 1/6sec

期待通りに,日が当たっている部分の葉は,まっ白く写っている。雪景色にも見えてしまいそうな,赤外線撮影特有の画像になっている。
 今日はよく晴れているが,F8まで絞った場合,感度をISO 1600相当に設定していても,適正と思われる露出を得るには1/6秒の露光が必要だった。また,フィルタを装着しない状態で構図とピントを決め,あらためてフィルタを装着してレリーズすることになる。一眼レフカメラだと,露光時間を短くできたとしても三脚に固定して撮影するのがよいだろう。

Nikon D70, Ai NIKKOR 28mm F2.8, R72 filter, ISO 1600, F8, 1/6sec

場所を変えて撮ってみる。無機質なものはごく自然に写っているのに対し,緑の葉がまっ白に写っているというのが,じつにおもしろい。構図を固定しておきたいうえに露光時間が長くなるのだから,三脚の使用は必須といえる。

Nikon D70, Ai NIKKOR 28mm F2.8, R72 filter, ISO 1600, F8, 1/13sec

つぎに,咲きはじめたアマリリスを撮ってみたところ,花も葉もまっ白に写った。このアマリリスの花は,実際には赤と白の2色のものであるが,赤い部分も白い部分も赤外光をよく反射するようで,明るく白く写るようである。このアマリリスは以前,フィルムのかわりに印画紙でも撮影したことがある。印画紙は赤い色の光には感光せず,花の赤い部分や茎,黄色く見える雄しべの先端などがまっ黒く写る(2021年5月29日の日記を参照)。赤外線撮影とは大きく違った効果が得られるわけで,このような対比をしてみるのもおもしろいわけである。

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