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2025年03月25日(火) 天気:晴関実氏のことを知りたい広島市でサクラの開花宣言をするための「標本木」は,中区の縮景園にあるが,わたしが毎年のように観察しているサクラは,西区の「楠木の大雁木」のところにある3本のサクラである。残念ながら,まだ1輪たりとも,開花しそうにはない。しばらく暖かい日が続くものの,今週末はまた寒くなるらしいので,サクラが見ごろ撮りごろを迎えるには,もうあと1週間ないし10日くらい待つ必要がありそうである。 ![]() 「関式サロン露出計」は,計算盤/計算尺型の露出計として,日本でもっともポピュラーな存在のものであろう。初代モデルの発売は1938(昭和13)年の10月頃であり(2022年12月31日の日記を参照),この種の製品としてはかなり後発の部類になる。その後,モデルチェンジを重ねて1960年ころまで発売されていた。さらに全面的にスタイルを変更した「セノガイド」として,1980年代になってもまだ,供給が続いていた。 ![]() 関式サロン露出計「関式サロン露出計」に先行する製品としては,「佐和式露出計算尺」がよく知られている。1933(昭和8)年3月に発売され(2022年2月6日の日記を参照),モデルチェンを重ねて1950年代までは発売されていた。そのころには「師岡式スーパー露出計」「師岡式トップ露出計」という製品も流通していた。また、昭和初期には「森式キング露出計」(2024年12月2日の日記を参照),大正時代には「コダツク露出計」(2022年2月8日の日記を参照)や「清水式曝寫計」(2025年2月1日の日記を参照)などの製品も存在した。 「森式キング露出計」の森芳太郎氏は,東京美術学校の教授も務めていたような人物である。 ![]() 森式キング露出計「佐和式露出計算尺」の佐和九郎氏の名前は執筆活動におけるペンネームであるが,写真に関する参考書や入門書を何冊も執筆している。 ![]() 佐和式露出計算尺と佐和九郎名義の著書の例「師岡式」の師岡宏次氏は,写真家としても知られている。 ![]() 師岡式トップ露出計また,「コダツク露出計」にはとくに人名は冠されていないが,大阪にあった上田写真機店の上田貞治郎氏によるものである。 ![]() 上田写真機店のコダツク露出計これらの露出計は,写真に関するなんらかの専門家によるものであることがうかがえるわけである。それに対して,「関式サロン露出計」の関実(せき・みのる)氏には,そのような背景が見えてこない。写真家としての活動の痕跡や,「関実」名義での著書が見あたらないのである。
SNSで,「アサヒカメラ1992年5月号に,関実氏と電話連絡が取れたという記事があるのを知っているか?」と教えていただいた。残念ながら,該当号は手元にない。国立国会図書館デジタルコレクションを検索すると,その号を閲覧できるのは「国立国会図書館内限定」で,自宅などで閲覧できる「送信サービス」には対応していない。それでも,検索結果からその記事の断片を拾うことができる。そこから読み取れたことは,「(セノガイドの)再発売の意思はない」が「元気な様子だった」というものである。この記事の全文を読むことができれば,もう少し,関実氏に関するなにかが判明するだろうか。いまのところ,インターネット上のオークションサイトやフリマサイトには,該当号の出品は見られなかった。
*1 「京浜実業家名鑑」(遠山景澄,京浜実業新報社,1907年) (国立国会図書館デジタルコレクション) |
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