撮影日記


2025年02月11日(火) 天気:曇ときどき晴

デジタルカメラはハイキーがポイント

この夏は,とてつもない猛暑だった。最高気温は連日のように35℃をこえ,10月が近づいてようやく30℃を下回るようになるとと涼しく感じていたものである。それでも季節はきちんと移り変わり,それぞれの季節に応じてなんらの花が咲く。ただ,自宅では年末までにキチジョウソウが咲いたあとには,春までとくに咲く花がない。そこでたまには花壇の隅を飾ってみようかと,パンジーを買ってきた。このサイズの花を撮るには,無理に等倍まで接写できる機能は必要はない。古いTAMRON SP 90mm F2.5を使うのが適当だろう。
 今日は,Nikon D800とKodak DCS Pro 14nとを使うことにした。Kodak DCS Pro 14nは2003年に発売されたモデルであり,これはライカ判の撮像素子をもつデジタル一眼レフカメラとしては,初期のものの1つである。一方,Nikon D800は2012年に発売されたもので,デジタル一眼レフカメラがじゅうぶんに発展した時期のものになる。撮像素子の画素数も大きな差があり,Kodak DCS Pro 14nは1350万画素,Nikon D800は3600万画素のものになっている。

Nikon D800, TAMRON SP 90mm F2.5

まずは,Nikon D800である。絞り優先AEの補正なし,絞りは開放で撮ってみる。ホワイトバランスは「太陽光」で固定,ピクチャーコントロールは「スタンダード」にしているので,このカメラで得られるもっとも基本的な状態の画像といえる。TAMRON SP 90mm F2.5の最短撮影距離付近で撮ったところ,花びらのつけねのほうに,雄蕊,雌蕊とは違った,毛のような構造が見られる。開放で撮ることで,その構造が目立つようにしている。

Kodak DCS Pro 14n, TAMRON SP 90mm F2.5

同じような構図で,Kodak DCS Pro 14nでも撮ってみた。このカメラでは,TAMRON SP 90mm F2.5のような電子接点をもたないタイプのレンズでは露出計がはたらかないので,マニュアル露出で撮ることになる。絞りは開放,シャッター速度は撮影した画像のヒストグラムを見ながら選択する。RAW形式で記録し,Kodak DCS Photo Deskで露出補正を「自動」,ホワイトバランスを「5500°K」,ルックを「Wedding Look」としている。このような雰囲気の色が,ほぼ自動で得られるところが,好きである。
 この2台を同時に使った印象としては,Nikon D800のほうが,ファインダーの見やすさと動作の機敏さが相当に上であると感じる。Kodak DCS Pro 14nは,そこから得られる画像がどれだけ好みであるとはしても,動作の緩さだけはなんとかしてもらいたかったものである。

開花はまだ先だが,シンビジュームのつぼみが伸びてきていた。

Kodak DCS Pro 14n, TAMRON SP 90mm F2.5

同じくTAMRON SP 90mm F2.5で真上から狙う。F5.6ないしF8くらいまで少し絞り込んで撮ると,水滴に日光が反射して輝いて見える。その光芒が,Nikon D800で撮ったものは美しい形状をしている。

Nikon D800, TAMRON SP 90mm F2.5

それに対し,Kodak DCS PRo 14nで撮ったものは,ややつぶれて見える。

Kodak DCS Pro 14n, TAMRON SP 90mm F2.5

この差は,撮像素子の画素数の差が影響していると考えることもできるが,ハイキー部分の描写の差であると考えることもできるのではないだろうか。Nikon D800のほうがいくらかは白飛びに強いので,光芒の表現の差につながっていると考えられる。Kodak DCS Pro 14nは,当時としては比較的白飛びに強いとされてきたが,発売時期の差が10年あると,撮影した画像の処理にもそれ相応の差が生じていると考えるのがよさそうである。

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