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2025年02月10日(月) 天気:晴木製カメラは壊れやすく直しやすい組立暗箱で撮影するときは,乾板を取枠にセットして使う。取枠にきちんと入れられれば,実際にはなんでもいいわけで,必要があればシースなどを併用してフィルムを装填してもいいし,印画紙を装填してもいい。たとえば,組立暗箱でよく見られるカビネ判のフィルムはとうに販売が終了しているので,そのサイズで撮ろうと思えばより大きなサイズのフィルムから切り出して使うしかない。しかし,フィルムは完全な暗黒下で扱う必要があるため,都合のよい大きさにカットするのは至難である。そこで,モノクロ印画紙をフィルムのかわりに使うという方法をとる。モノクロ印画紙であれば,赤いセーフライトの下で作業ができるので,都合のよい大きさにカットする作業が,いくぶんか楽になる。 突然,四つ切1/2判の取枠が壊れた。昨日,広島市内で開催された「文学フリマ」(*1)に出展したとき,参考として見てもらえるように,組立暗箱を用意していた。そして,取枠に原版を入れていたのを見てもらえるようにしていた。 ![]() そこで原版を見せるときに,取枠の引蓋を勢いよく引いたところ,すっぽりと抜けたのである。すっぽりと抜けたわりには,どこかがひっかかるようで,なかなか元通りにはまってくれない。そのひっかかる部分が,摩耗したのだろうか,なんらかの原因で緩んでしまっているのではないかと予想される。 ![]() その場はなんとか元通りに収めることができたが,このような状態では実際の撮影時に,大いに支障になる。帰宅してから,取枠の状態をじっくりと観察することにした。どうやら,引蓋が抜けないように木ネジが埋め込まれているようなことがわかった。 ![]() 片側ではその存在がはっきりとわかるものの,もう片側のほうではそれが摩耗してなくなっているように見えたのである。 ![]() つまり,引蓋が抜けてしまった側に,抜けなかった側と同じように木ネジなり釘なりを埋め込めばよさそうである。取枠は,板を重ねてつくられている。それをはがして,引蓋を抜けないようにしている木ネジを内側から埋めればよさそうである。そこで取枠をとめている木ネジや金属部品をはずしてみるが,取枠は分解できそうにない。取枠をつくっている板どうしは,木ネジでとめられているのではなく,接着されているのかもしれない。 ![]() 内側から埋められないのであれば,外側から押しピンを刺すことで,引蓋が抜けないようにすることにした。引蓋が抜けなくなる位置にピンを刺したら,不要な部分を折り取ってしまえばよい。引蓋の抜き差しに支障がないことが確認できたら,はずした木ネジや金属部品などを元に戻して修理の完了である。押しピンを刺したところは,あとで金属部品をとめることで,隠れて見えなくなり都合がよい。木製のカメラは,壊れやすい面もあるのかもしれないが,そういう壊れやすい箇所は修理もやりやすいようである。 ![]() 「文学フリマ」では,印画紙で撮影したネガ像の原版をスキャンし,コンピュータ上で反転や調整の処理をおこなうだけでなく,印画紙どうしを密着させて焼きつける方法でも,ポジ画像が得られることを説明する場面もあった。そのような場で密着焼きの実演をするわけにはいかず,暗室も水もなく1人あたりのブースも狭いのだから,そもそも不可能である。それでも実際に,ネガ原版と密着焼きでつくったポジ画像とを用意し重ね合わせて見せることで,そのあたりのやり方はなんとなくわかっていただけたようである。 ![]() モノクロ写真を撮るからには,最終的な画像を印画紙でつくるのが理想だとは思うのだが,四つ切1/2くらいのサイズになると,印画紙どうしを密着させるのが難しい。少しでも浮いた個所があると,そこが目立ってボケてしまう。いまのところは最終出力を印刷物にしているので,ネガ原版までを印画紙でつくることで,満足することにしている。
*1 文学フリマ広島7 |
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