2024年05月29日(水) 天気:晴
FUJIX DS-330のファインダーは狭い
今週もひきつづき,FUJIX DS-330の描写をあじわってみようと思う。
個人的に,ビューファインダータイプのカメラはやや苦手である。連動距離計を内蔵した,LeicaやContaxタイプのカメラに興味をもったことはある。LeicaやContaxそのものではなく,それらによく似たZorkiやKievなどのカメラを実際に使ってみて,とくにContax型のKievはピントあわせもしやすくレンズの描写も意外なほどシャープで満足できるという印象をもった。しかし,個人的にスナップ的な撮り方をする機会が少ないため,これらのビューファインダータイプのカメラのメリットを感じることよりも,デメリットを感じることのほうが多く,結果としてあまり使い込むことにはならなかった。一眼レフタイプのカメラや,フィルムホルダとピントグラスをつけかえて使うビューカメラのほうが,なじめたのである。ビューファインダータイプのカメラでは,ファインダーで見える像はあくまでも,実際に写る範囲の目安にすぎない。思い通りの範囲を写そうと思えば,そのカメラに対する慣れが必要になる。また,最短撮影距離が長い。いわゆる接写がほぼできないのは,どうしても個人的には不便を感じる。
FUJIX DS-330も,一眼レフタイプのカメラではなく,ビューファインダータイプのカメラである。ピント調整はオートフォーカスになっているが,ファインダーの像ではピントがどこにどうあっているのかを確認できない。ただ,ファインダーの下部におおよその測距結果が表示されるので,測距の誤りがあって意図したところから大きくピントをはずしていることがあれば,それに気づくことは可能である。そして,慣れが必要なのは,ファインダーの像と実際に写る範囲との差である。
FUJIX DS-330
ファインダーでは,左右も天も,もっと詰まっているように見えた。それでも実際に撮ってみると,思ったよりも余裕があったのである。
FUJIX DS-330
縦位置の場合も同じことで,天が少し切れるかな,足元が入りきっていないかななどと思いながら撮ったところが,天も地もじゅうぶんに余裕をもって写ってくれている。
どこまでが写る範囲になるのかは,なんども撮ってその感覚をつかんでおきたいところである。もっとも,そもそもビューファインダータイプのカメラではどうしても限界というものがあり,厳密なフレーミングに挑まないほうが無難であるとも考えられる。
デジタルカメラというものが一般に広く注目されるようになったのは,1995年に発売されたCASIO QV-10以後のことだとみなすことができる。CASIO QV-10が注目されるようになった理由としては,次の3点が指摘されることが多い。
1 液晶モニタ内蔵
2 パーソナルコンピュータとの接続
3 低価格
このうち,「液晶モニタ内蔵」によって,「撮った画像をすぐに見る」という楽しみ方が提案されたことの影響は大きい。また,「液晶モニタをファインダーとして利用する」ことで,ファインダーに見える範囲と実際に写る範囲とがほぼ一致することが実現された。フィルムカメラの,いわゆるコンパクトカメラとは違う価値が,そこに存在する。しかし,このころのデジタルカメラに搭載された液晶モニタの性能は,いまひとつなものである。とくに,次のような問題点が指摘されることが多い。
1 反応が遅い
2 明るいところでは見えない
3 電池を激しく消費する
そのため,光学ファインダーを設け,デジタルカメラとしての大きなアドバンテージにつながる液晶モニタを内蔵しない機種も登場している。また,液晶モニタを内蔵しないことを,価格の低下を強く意図しておこなったケースもあったかもしれない。ともあれ,FUJIX DS-330には液晶モニタが内蔵されていない。実際に写したいところが意図通りにフレーム内に入っているかどうかを確認するには,パーソナルコンピュータを用意してデータを転送するなど,少しばかり手間がかかる。オプション品として用意されている液晶モニタを接続したくなるかもしれないが,そこは考え方を変えてみよう。液晶モニタも内蔵されたようなデジタルカメラを使いたいのであれば,最近の機種を使えばよいのである。すぐには結果が確認できないことを,現像するまで結果がわからなかったフィルムで撮影することの楽しみに置き換えてみよう。撮影を依頼されたのであれば,確実に撮ることを優先しなければならないが,あくまでも趣味としての撮影を楽しむようにすればよいのである。
FUJIX DS-330
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