撮影日記


2024年05月11日(土) 天気:曇

少しでもあたらしいほうがよい? DS-300とDS-330

最近,コンパクトデジタルカメラを見直そうと思っている。
 コンパクトデジタルカメラは,便利である。小型軽量で携帯しやすく,さっと取り出してさっと撮れる。撮った結果はすぐに確認でき,持ち帰ればすぐに加工などいろいろと利用できる。なにより,驚くほどよい具合に撮れることも多い。しかし,自動化が進んでいるかわりに,シャッター速度や絞りなどを任意に選ぶことができない。それを気にする必要のない場面で,気にする必要のない撮り方をすればよいのだが,それでは物足りないこともある。

こんどは,FUJIX DS-300を見直そうと考えた。このカメラは,まったくコンパクトではない。「コンパクトデジタルカメラ」ということばは,「レンズ交換式ではないデジタルカメラ」という意味で使われることが多いものである。また,液晶モニタを内蔵していないので,撮ってすぐに見られるという便利さもない。そのかわりに,露出やピントなどを細かく調整することができるという魅力がある。
 FUJIX DS-300には,改良された後継機のFUJIX DS-330がある。基本的なスペックはかわらないので,どちらを使ってもよい。とりあえず,順次,動作チェックをしていくことにした。このとき,使用感に大きな違いがあることに気がついた。当然のことかもしれないが,後継機のFUJIX DS-330のほうがなにかと使いやすそうなのである。

長いあいだ使っていなかったため,日付を保持するバックアップ電池は,とうに切れていた。電池を入れて電源をONにすると,まず日付をあわせることがうながされる。年,月,日,時,分の項目をそれぞれ選択すると,表示が点滅する。このときに,ダイアルを回して,現在の日時の値をセットしていく。これが,FUJIX DS-300の場合は,表示が点滅するのにあわせて,ダイアルを1クリックずつ動かさなければならない。一気にじゃららららとダイアルを動かしても,せいぜいその間に点滅した回数分しか値が進まない。それに対してFUJIX DS-330は点滅のタイミングは関係なく,すばやく値が進んでいく。いちど設定すればもう使うことのない機能だから,実際の撮影に使うときにはなにも関係しない。それでも,FUJIX DS-330のほうがなにかとスムースに使えそうな安心感を感じたのである。

1995年にCASIO QV-10が発売されて,デジタルカメラというものが広く知られるようになった。それ以前から業務用の高価なシステムが存在しており,フィルムでの撮影にとってかわる可能性はあることは知っていたが,まだ自分に関係することとしてとらえてはいなかった。CASIO QV-10の価格は個人で買えるレベルのものだったが,画質の面でとうてい納得できるものではなく,デジタルカメラはまだ自分に関係することではないと考えていた。
 その後,RICOH DC-3というデジタルカメラを購入したのは,当時としては納得できる程度にまでお手軽な価格になってきたからである(1998年5月27日の日記を参照)。それで撮った画像は,CASIO QV-10よりあとに発売されただけあってか,多少は見られるものになっている。まだまだ不満な点は多いものの,(基本的には固定焦点だが0.6mより近距離の)接写域ではマニュアルフォーカス機能が使えてピントをきちんとあわせられるなど機能的にも充実しており,さまざまな工夫がほどこされたものであった(1998年5月29日の日記を参照)。

この翌年に,メガピクセル機であるOLYMPUS C-1400L(イメージセンサの画素数は141万画素)を入手している(1999年4月15日の日記を参照)。パーソナルコンピュータのディスプレイいっぱい(1280ピクセル×1024ピクセル)に表示でき,オートフォーカスもそこそこ細かく制御された製品だったので,ほぼ固定焦点で35万画素の画像ばかり見てきた目には,まさに神の画質だった。

それでも,RICOH DC-3には,マニュアルフォーカス機能という魅力が残っていた。OLYMPUS C-1400Lは,露出もピントもきちんとあわせてくれるが,マニュアルで調整する機能は皆無だったのである。オートフォーカスがうまくはたらかない被写体を撮るときのための,緊急用のピント位置を固定する機能はあるが,基本的に役には立たない。オートはそこそこしっかりしていて,きれいな画像として撮ることができるが,マニュアル操作がなにもできない。まるで,OLYMPUS OM707である。当時の,オリンパスの目指した1つの方向性だったのか?

FUJIFILMが発売していたFUJIX DS-300は,すこし気にはなっていた。
 メガピクセル機であるが,まったく手が出ない価格ではない。プログラムAEのほか絞り優先AE,シャッター速度優先AEにマニュアル露出機能もある。任意の絞りを選べるというだけで,撮るときの納得感が違うのである。さらに,中判カメラであったFUJI GA645を思わせるような外観も魅力的であった。それだけにあまり値崩れすることなく,比較的安価とはいえまだその金額を出すにはもの足りない内容であった。結局そのまま存在を忘れてしまい,それを思い出したのは最近のことであった(2019年4月6日の日記を参照)。


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