撮影日記


2024年04月13日(土) 天気:晴

シースのかわりに赤い下敷き

組立暗箱のような古いタイプの木製カメラは,前板と後板が蛇腹でつながれた形をしている。
 前板にはレンズを取りつけたレンズボードをはめ込むようになっているが,そのボードの大きさは決まっていない。だから製造者が異なると互換性がほとんどないものなのだが,その本質は単純な木の板なので,必要があればあまり複雑ではない工作でつくることができる。後板には,ピント板とよばれるパーツを取りつけるようになっている。そこにはレンズを通した像を確認できるピントグラスがあり,それを跳ね上げると,フィルムホルダをセットすることができる。
 組立暗箱で使う木製のフィルムホルダは,取枠とよばれる。ここまで「フィルムホルダ」と書いたが,厳密には本来,シートフィルムではなくガラス乾板をセットして使うものである。だから,乾板ホルダとよぶのが適しているかもしれない。取枠のなかにはガラス乾板を抑える金属板があり,その中央に板バネがあって,ガラス乾板が固定されるようになっている。

取枠には,ガラス乾板のかわりにシートフィルムをセットして使うこともできる。そのときには,シースとよばれる金属板にシートフィルムをセットして,ガラス乾板のかわりに使う。フィルムをそのままセットしたのでは,中央にある板バネのせいでフィルムの中央部が浮き,平面性が失われてしまうのである。

いまは,カビネサイズのガラス乾板もシートフィルムも製造されていない。そのため,カビネサイズの印画紙をフィルムの代用品として使っている。もっとも,カビネサイズの印画紙を製造・発売していた富士フイルムが,モノクロ印画紙の発売をやめてしまったため(2018年4月4日の日記を参照),カビネサイズの印画紙も新品を入手することはできなくなってしまったのである。
 カビネサイズのフィルムは,シースにセットできるように少し小さいもの(118mm×163mm)になっている。印画紙はカビネサイズ本来の120mm×165mmになっているので,シースにはセットできない。そのかわり,取枠にはぴったりとおさまる。そこでシースにセットするのではなく,シースで背面から抑えるように印画紙を装填して撮影に使用している。

かつての組立暗箱は,たいてい取枠3枚がセットで販売されていたようである。古い雑誌の広告などを見れば,「取枠三枚付」という表記をよく見かける。取枠には両面に乾板をセットできるので,取枠が3枚あれば6カットの撮影ができる。取枠をもっと入手すれば,いちどにもっとたくさん撮ることができる。組立暗箱の取枠は,規格品である乾板をセットする部分の大きさこそ決まっているようだが,ピント板に取枠をセットする部分の大きさは厳密には決まっていないようで,異なる製造者によると思われるピント板と取枠とは,うまくはまらないこともある。
 無銘のカビネ判用組立暗箱用のピント板に使える取枠が,5枚あつまった。これを使えばいちどに10カットの撮影ができるようになるが,残念ながらカビネサイズのシースは6枚しか入手していない。シースがなければ,なにか代用できるものを見つけたい。シースは印画紙を背面から抑えるだけのために使うので,ただの板でよいのである。金属板をカットするのは面倒そうだし,カットが楽そうな薄いものだと平面を保つのが難しそうである。そこで,少しでも楽に扱えそうなものとして,プラスチックの下敷きを使ってみることにした。これだと1枚100円(消費税別)だし,工作も楽である。

これで撮影したところ,中央にある板バネの影響で印画紙が浮いて平面性が極度に悪化するようなこともなく,きちんと撮ることができた。これで取枠が増えてもじゅうぶんに活用できることがわかったわけだが,ピント板に取枠をはめる部分の形状や大きさには厳密な規格がないようで,同じカビネサイズ用の取枠であっても,うまくはまらない取枠も少なくないのである。

Thomson Brothers lens, FUJIBRO WP FM2

なお,このチューリップは「カラテ」という品種で,ピンクから黄そして白へと色が変わっていくのが特徴である。しかし,印画紙での撮影では,その色の差が表現できないようである。

Kodak DCS Pro 14n, AF Micro-NIKKOR 105mm F2.8S

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