撮影日記


2024年04月07日(日) 天気:曇

いろんな色のチューリップを印画紙で撮る

昨年秋に植えたチューリップの球根が,いっせいに開花しはじめた。
 今年はこれを,印画紙によるモノクロ撮影で記録することにした。いろいろな色の花が,印画紙ではどのように写るのかを確認しておきたいのである。
 人間の目で見ることのできる色は,波長でおおよそ380nmから750nmの範囲のものである。現在のモノクロフィルムは,このすべての色に感度のあるパンクロマチックというものになっている。パンクロマチックのモノクロフィルムが登場する前には,赤い光に対しての感度がないオルソマチックや,ほとんど青い光にしか感度がないようなレギュラーというものもあった(2014年5月7日の日記を参照)。
 印画紙も,赤い光に対しての感度がない。そのため,赤い暗室電球のもとで作業ができる(2010年6月9日の日記を参照)のは好都合だが,これをフィルムの代用として使う場合に,モノクロフィルムと写り方が異なってくる。もちろん,デジタルカメラで撮影したカラー画像をグレースケール画像に変換したものとも,写り方が異なってくるはずである。

昨年に入手したThomson Brothers銘のレンズ(2023年4月29日の日記を参照)は焦点距離が長めであり,セットで入手した暗箱はベースボードが長いものである。そのため,カビネサイズの大判カメラとしては,かなりの接写ができるものになっている。
 この暗箱のベースボードは伸ばすとおよそ575mmになり,レンズボードとピントグラスとの距離は最大でおよそ525mmまで伸ばすことができる。

このレンズの焦点距離は,およそ350mmある。この状態でピントがあうようにして実測してみると,フィルム面から被写体面までの距離はおよそ1230mmとなる。ピントグラスを縦位置にしたとき,被写体の像が写る範囲の幅は,およそ110mmある。そして写っている範囲(実際の被写体の大きさ)はおよそ140mmだから,このときの撮影倍率はおよそ1/1.27倍ということになる。

フィルムの大きさはカビネサイズなので,被写体の大きさがおおむね200mm×140mmくらいのものを1枚に写し込めることになる。これは,チューリップくらいの大きさの花を撮るのに都合がよいものになっている。

赤色と白色のバイカラー咲きの花のまわりに,黄色い花が咲いている。また,後ろには赤色の花と黒っぽく見える濃い紫色の花がある。この状態を,フィルムのかわりに印画紙を使って撮影する。

絞りはおよそF32相当になっており,露出時間は約10秒とした。レンズにはシャッターが内蔵されていないが,これくらいの長い露出時間とするならば,シャッターの機構は必要ない。冠布でレンズ前面を覆ってからフィルムホルダのき蓋を引き,それから冠布をめくって露光をすればよいのである。露光が終わればふたたび冠布でレンズの前面を覆えばよい。ただし,10秒もの露光をするときは,シャッターの機構は不要でも,風が吹かないことを祈ることが必要である。
 使用した印画紙はいつものように,RCタイプの号数印画紙であるフジブロWP FM2である。1:1.5に希釈したフィルム現像用のミクロファインで,液温は20℃である。現像の進行を見ながら現像をすすめ,ちょうど現像時間が300秒となるところで定着液に移した。この季節は,なにもしなくても液温が20℃前後になる。モノクロの現像をするのに,とても都合がよい。現像すると,ネガ像ができあがる。

これをパーソナルコンピュータに取り込んで,反転した。

Thomson Brothers lens, FUJIBRO WP FM2, 10sec, F32

中央に明るく写っているのは,赤色と白色のバイカラー咲きの花である。白色の部分が透き通るように明るく写っているのは期待通りだが,赤色の部分が思ったよりも薄く写っている。この花の左側とその後ろにある花は,黄色い花である。これが中間のトーンになっているのは,期待通りである。そして左上に写っているのは濃い紫色の花で,これは当然のように黒っぽく写っている。
 中央のバイカラー咲きのすぐ上には,赤い(どちらかというとピンク)色の花が咲いている。これが,意外と明るく写っている。赤い色に見える花であるが,赤い色以外の色の光もそれなりに含まれているということなのであろう。こればかりは,撮ってみないとわからない。


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