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2021年12月26日(日) 天気:雪関式サロン露出計の説明書を読みはじめる先週の大きな荷物には,濃度式露出計のほかにも,いろいろな資料が入っていた。そのうちのいくつかは,いずれお返ししなければならないものである。そのなかに,「関式サロン露出計UB型」とその説明書,「関式サロン露出計VA型」とその説明書がある。どちらも活版印刷のようであり,紙質はあまりよいものではなさそうである。また,版面が大きくずれているところもあり,印刷そのもののにはあまり力が入っていないように感じる。発行は玄光社だから,それなりの印刷所を利用しているのだろうとは思うが,主力の写真雑誌や書籍ほどには,力を入れていなかったのかもしれない。 ![]() まずは,これら2冊の発行された時期を確認する。 まだ,軽く眺めた程度であるが,関式サロン露出計IIB型の取扱説明書に気になるところが,1つあった。 ![]() IIB型からIIIA型へ,大きなモデルチェンジがされたと考えられる。それは,取扱説明書の厚さの違いとして,すぐに気がつく。IIB型の説明書(改訂31版)は本文64ページで,表紙が別紙,巻末に広告が4ページある。IIIA型の説明書(改訂40版)は本文118ページで,表紙が別紙,巻末に広告が2ページある。本文のページ数が,2倍近くになっているのである。 II.基礎使用法 (新設)赤外撮影の場合 III.高度使用法 (変更)反射器による変化→閃光電球のガイドナンバー (新設)各種光源の照明基準 IV.本露出計の基礎について (新設)閃光時間 V.初心者のために (新設)焦点合せ,動体撮影について,閃光電球撮影について VI.表 (新設)シンクロフラッシュ用語表,閃光電球と接点との関係図, 被写体種類別表,複写の場合,動体撮影表,電圧と露出の関係, 後記 「もくじ」の比較で,IIIA型がフラッシュ撮影についての内容を増補しているようなことは,じゅうぶんにうかがえる。また,IIB型では説明書に残っていたサマータイムのことも,IIIA型ではふれられていない。さすがに,もう復活はないと判断したのだろう。 「関式サロン露出計」の文字盤には,多くの目盛があり,文字や記号が細かい文字でたくさん記されている。また,回る円盤が表と裏にそれぞれあって,使い方も複雑なものに見える。しかし,実際にはごく単純なものである。取扱説明書のさいしょにある「十五大特色」の冒頭にも,「…,すべて片手でタッタ一回の操作ですむ。…」と謳われている(改訂31版,改訂40版とも共通)。 ![]() つぎに,感光度と天候をあわせる。感度の異なるフィルムを併用しないならば,感光度について見直す必要はない。また,天気も急変するようなことがなければ,その日のうちは,もう変更する必要はない。 ![]() ただ,感光度の目盛が,よくわからない。ASA 125がDIN 23°になっているのだが,ISO 125(ASA 125)はDIN 22°ではなかっただろうか。ASAやDINの基準が,現在と異なっているようだが,そのあたりの事情がわからない。 ここまでをあわせたら,撮影時には,文字盤に書かれている被写体名と撮影時の時刻をあわせる。そのときの,各絞りに対するシャッター速度を参照すればよいのである。ここが,「タッタ一回の操作」が示すポイントである。 ![]() 使い方は,これだけである。要は,フィルムのパッケージに書いてある「露出の目安」に,季節に応じた細かい補正ができる,というものである。小窓に月を表示する,裏面の円盤は,裏返すことで,低緯度地方(九州地方〜関東地方用,北緯35度・東経135度基準)と高緯度地方(奥羽地方及び北海道地方用,北緯45度・東経142.5度基準)に使い分けができるようになっている。これも,細かい補正として反映されることになる。また,被写体の状況の分類が,より細かくなっている。月刊誌に掲載されていた月ごとの「露出の目安」を,複数の円盤を組みあわせることで,コンパクトに1つにまとめたものである,ともいえる。 ![]() |
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