撮影日記


2021年07月11日(日) 天気:晴

本気を感じるおもちゃなカメラ

FUJINAR 18cm F4.5(2021年7月4日の日記を参照),マミヤシックスIV型(2021年7月9日の日記を参照)と同時に,「OUYAMA」と書かれたカメラも入手した。

いや,カメラというよりも,「おもちゃのカメラ」というほうがよいかもしれない。
 ぱっと見た目は,一眼レフカメラのような姿をしている。しかし,これは一眼レフになっていない。向かって右上に見える四角い窓は,素通しのファインダーである。このほかに,一眼レフカメラのペンタプリズム部に相当する位置には,上から覗くタイプのファインダーが設けられている。レンズの鏡胴部には,「AUTO ZOOM」と書いてあるが,焦点距離が変わるようになっているわけではない。なんとなく本格的なカメラっぽい姿をしているのに,なかみはなにもないという点から,これはカメラというよりも「おもちゃのカメラ」とみなしたいのである。
 付属していた取扱説明書には,発売元として東大阪市にある「株式会社 ワイ・エス・エヌ」という名前が記されている。この会社は,たとえばゲームセンターなどでの景品を企画し販売している会社(*1)とのことである。そこに記載されていた商品名は,「Canix 7000 ビッグカメラ」というものである。カメラ本体についている「OUYAMA」というロゴに関係しそうな名前は,なにも記載されていない。

このカメラを,もう少し詳しく眺めてみよう。

フィルムの巻き上げは,電動式になっている。シャッターレリーズボタンを押すとフィルムに露光され,1コマ分が自動的に巻き上げられる。そのため,本体を動作させるには,2本の単3型乾電池が必要になる。電池ボックスの蓋はヒンジになっていて,たんに折り曲げるだけになっているCanon EOS kissあたりよりは,ずっとていねいなつくりになっているといえる。

レンズの正面には,「50mm 1:6.3」という仕様が記されている。レンズの銘はとくになく,ただ「OPTICAL LENS」とのみ記されている。また,「FOCUS FREE」とあるので,いわゆる固定焦点式になっていることがわかる。

鏡胴部には,「AUTO ZOOM」と書いてある。シャッターレリーズボタンのそばに2つの赤いボタンが並んでおり,内側のボタンを押すと鏡胴が伸び,外側のボタンを押すと縮むようになっている。どうやらこの機能を「AUTO ZOOM」と称しているようであるが,だからといって,焦点距離が変わるようになっているわけではない。また,ピントが調整されるわけでもない。そうではなく,絞りが調整されるようになっているのである。

ピントも固定,シャッター速度の固定のこのカメラに,なぜ絞りを選択できる機構があるのだろうか。もちろん,フィルムの感度と被写体の明るさによって,絞り変更する必要はある。ただ,それ以上にこのカメラの場合は,フラッシュ撮影との関連を強く意識ていると思える。

セットになっているフラッシュには,自動調光機能のようなものはない。いつでもフル発光のマニュアル式である。そして,上下方向にも左右方向にもヘッドの向きを変えることができる。いわゆる天井バウンスもできるのだ。なお,フラッシュのほうにも2本の単3型乾電池が必要である。
 さらに機械式のセルフタイマーも装備されているなど,こうやって眺めると意外と本気でカメラをつくっているようにも思えてくる。しかし,見た目や機能は立派そうでも,それがかえってこのカメラに「おもちゃ」であるという印象を強めているような気もするのであった。
 このカメラの発売時期は,はっきりとはわからない。また,似たようなカメラ(というか,おもちゃ?)は,いろいろな名前をつけられて出回っているようである。

*1 歴史と沿革(株式会社 ピーナッツクラブホールディングス)
http://peanuts-club-hd.co.jp/company/
 1997年に「株式会社ワイ・エス・エヌ 設立」とあるのが,このカメラの発売元のようである。


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