撮影日記 |
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2019年06月30日(日) 天気:晴Kodak DCS 420で内視鏡用レンズを楽しむKodak DCS 420は,デジタル一眼レフカメラとしては初期のものである。 Kodak DCS 420の撮像素子の大きさは,ライカ判に対してごく小さなものである。ライカ判のファインダーでは,中央付近のごくかぎられた範囲だけが,実際に写る範囲となる。20mmレンズを装着しても,実際に写る範囲は,ライカ判で50oレンズを装着したときと同等のものになる。超広角レンズとよばれるレンズを装着してようやく,いわゆる標準レンズとして使えることになる。つまり,広角レンズを使った表現にはあまり適さないことになる。 このレンズを含んだシステム全体の姿はわかっていないが,レンズそのものは焦点距離を70mmから140mmに変えることができるズームレンズになっており,等倍近くまでの接写も可能な,いわばズームマイクロレンズである。もともと,ライカ判のカメラで使うためのレンズであるが,内視鏡による円形の画像を記録するようになっており,それを接続すると思われる部分の構造により,140mm以外の位置では,画面の四隅がケラレるようになる。いわゆるAPS-Cサイズの撮像素子をもつカメラで使っても,100mm程度まではケラレが気にならないが,それより短い焦点距離の位置では,やはり四隅がケラレるようになる(2016年5月12日の日記を参照)。 したがって,ズームマイクロレンズとして大いに楽しめることになる。 Kodak DCS 420, Karl Storz 593-T2アサガオの花の中心部をねらってみた。こういう構図では,蕊の先端にピントをあわせることが多いと思うが,ここではあえて,いちばん奥のほうにピントをあわせた。ごく小口径のレンズであるため,いたずらにボケが大きくならないので,こういう場面では好都合である。 Kodak DCS 420, Karl Storz 593-T2蕊の先端にピントをあわせた場合でも,ある程度の被写界深度が確保されるため,全体がボケすぎずに花の雰囲気がわかりやすくなっているかと思う。また,あくまでも開放であり円形ではない絞りの影響を受けないせいか,ボケかたがすなおに感じられる。 Kodak DCS 420, Karl Storz 593-T2このレンズの描写は,かなり硬質なものに思われる。ここではそれほどでもないが,直射日光があたっているなどコントラストが強い場面では,水滴がガラス玉のように写って見えることがある。 Kodak DCS 420, Karl Storz 593-T2このレンズの開放F値はわからないが,露出の値からはF11〜F16くらいだと思われる。つまり,ファインダーの像はかなり暗く,それなりに被写界深度があるため,ピントあわせは容易ではない。しかし,ズームレンズで焦点距離を変えても,ピントの移動はないようだ。だからこそ,これはズームレンズだと言えるわけだが。だから,70mm側の少しでも明るい状態でピントをあわせてから,適切な焦点距離に変えるようにして撮る。ふつうのズームレンズだと,ピントの山がわかりやすい望遠側でピントをあわせてから,広角側に焦点距離を変えるようにして撮るだろうから,そういう面では私は逆の使い方をしていることになる。 なお,実際の焦点距離は70mmから140mmであるが,ライカ判でおおむね180mmから360mmレンズを使ったときに相当する範囲を写すことになる。Kodak DCS 420とKarl Storz 593-T2の組みあわせは,これからも使いたくなる場面が出てくることだろう。
*1 製品&サポート DCS 420 (日本コダック株式会社,Internet Archivesより)
*2 製品&サポート DCS 460 (日本コダック株式会社,Internet Archivesより) |
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