2019年05月15日(水) 天気:晴
ニコンD1で連写を楽しむ
1990年代半ばは,デジタル一眼レフカメラの黎明期だと言える。そのころに発売されたモデルは,NikonでもCanonでもなく,Kodakによって市場に送り込まれてきた。そして,それにFUJIが続いていた。KodakやFUJIが発売したデジタル一眼レフカメラの価格は,撮像素子の画素数が600万画素くらいのもので数100万円,100万画素くらいのものでも100万円程度の価格がつけられたものであった。
そんな時代につづいて,1999年にNikon D1が発売された。
撮像素子の画素数は266万画素であり,すでに600万画素くらいのものが流通していた時代なので,画素数が少ないような印象を受ける。しかし,カビネサイズ程度のプリントに用いるのであれば,266万画素もあればじゅうぶんである。ボディの大きさはNikon F5程度のものであり,それまでのKodakやFUJIから発売されたデジタル一眼レフカメラにくらべればかなりコンパクトである。また,それまでは撮影した画像を確認できる液晶モニタを内蔵しないモデルもあったが,Nikon D1には液晶モニタが搭載されている。
画素数などの数値であらわされるスペックについては,少々ものたりないと感じることもあるかもしれない。そういう指標であらわされる画質としては,Nikon D1が出力する画像は,まだまだフィルムにまったく追いついていなかった。しかし,一般的なサイズのプリントを得るためにはじゅうぶんなレベルに達しているのである。
そもそも,デジタル一眼レフカメラが実用的になるのは,Nikon D1を待つまでもない。
撮像素子の画素数が600万画素のKodak DCS 460は,1994年に発売されている。じゅうぶんに使える品質のデジタル画像を得ることは,とうに可能になっていた。ただ,Kodak DCS 460はJPEG形式での出力ができず,色を調整するコツがいまひとつわからない。ただ,色の問題は,技術力のある人なら,じゅうぶんに乗り越えられるだろう。あるいは,「問題」ととらえずに「個性」ととらえてもよい。
Kodak DCS 460が,よりあたらしい機種に対してどうしても追いつけない要素としては,高感度に設定できないことと,連写可能枚数がある。Kodak DCS 460の感度設定は,ISO 80で固定されている。2コマまで連写できるが,撮影した画像を記録メディアに書き込むのに,1コマあたり10数秒かかる。
それに対してNikon D1は,感度をISO 1600に設定できる。また,最大で毎秒4.5コマ,21枚までの連写ができるようになっている。
Nikon D1, YONGNUO YN 40mm F2.8N
Nikon D1, YONGNUO YN 40mm F2.8N
だから試し撮りは,連写モードでおこなう。
YONGNUO YN 40mm F2.8Nは最短撮影距離が0.3mと短いので,片手を伸ばして撮る,こういうシーンには好都合である。
この公園にある水飲み場の,水栓のハンドルには,強いバネが入っている。これにより,水を出しっぱなしにして無駄に流すことがないようになっている。そして,水をほどよく出すには,相当の力が必要である。力が弱すぎると水は出ないし,強く回しすぎると,水が高く噴きあがってしまう。
右手はNikon D1のシャッターレリーズボタンを押しっぱなしにし,左手で水栓のハンドルを調整する。20コマくらいの連写ができるので,その間に,水がほどよい高さにあがるように調整ができる。
Nikon D1, YONGNUO YN 40mm F2.8N
Nikon D1, YONGNUO YN 40mm F2.8N
Nikon D1での連写は,じつに軽快である。
それもそのはず,Nikon D1のカメラ部分は,フィルムカメラでは上級モデルのNikon F100と同等のものとされている。デジタル一眼レフカメラとしては初期のモデルなので,いろいろとスペック面で見劣りがするイメージが強くあるだろう。まだまだ未完成のカメラである,という印象をもっている人もあるかもしれないが,実際にはそうではない。
Nikon D1は,カメラとしてはあくまでも,上級モデルの製品なのである。
当然のように,ファインダーの見え具合も快適だ。Nikon D1が出力するJPEG画像は,やや緑カブリをしているような印象を受ける。それは短所であるかもしれないが,撮影後に補正で補える範囲のものであるし,それをふまえてあらかじめ,フィルタを使ったりカメラの設定を変更したりして,色補正をおこなっておけばよいことだ。色が「悪い」のではなく,「個性がある」として,それを理解してあげるようにしたいと思うのであった。
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