撮影日記


2018年07月01日(日) 天気:曇

前ボケと後ボケ

雨があがったので,井仁の棚田を撮りに行くことにした。
 湿っぽく,朝から蒸し暑さを感じるようなとき,太田川沿いの地域は,濃い川霧に包まれやすい。
 広島北ICから中国道に入り,戸河内ICをめざす。国道191号線は先日の雨により,加計の手前で崖崩れが発生し,通行止めになっている区間がある。そのため,う回路として,広島北ICと加計スマートICまたは戸河内ICとの間が無料で利用できるようになっている。
 井仁の棚田では期待通りに,谷から霧がわきあがるようなシーンに出会うことができた。

Konica Acom-1, HEXANON 135mm F3.5, Konica 100

HEXANON 135mm F3.5はレンズの銘に「AR」がついていないが,シャッター速度優先AEに対応したARシリーズ用のレンズである。「AR」がついておらず,見た目も少々古めかしいので,ARシリーズ以前のコニカFシリーズ用のレンズに見えるかもしれない。写りは,ごくすなおなもの。明るさを無理していないこのクラスのレンズに,「はずれ」はないということだ。けっして悪いものではないが,「このレンズでなければ」と思えるような特徴も感じられない。

コニカARシリーズのカメラを使うのであれば,やはりHEXANON AR 40mm F1.8を使ってみたい。

Konica Acom-1, HEXANON AR 40mm F1.8, Konica 100

少し絞りこんだ状態で,ほぼ無限遠の風景である。描写は無難であり,決して悪いものではないが,このような撮り方では「40mm」という焦点距離が少し特殊なだけである。大口径広角レンズのような雰囲気を利用するには,やはり近接した被写体を撮るのがよさそうだ。

Konica Acom-1, HEXANON AR 40mm F1.8, Konica 100

シャッター速度を最高速にして,できるだけ開放に近いところで撮った。じゅうぶんなコントラストが得られるレンズのようで,ピントがあったところの浮かびあがり具合がとてもよい。背景のボケ具合も,好印象である。

Konica Acom-1, HEXANON AR 40mm F1.8, Konica 100

逆に,背景のほうにピントをあわせて,手前にボケを配置するようにした。遠景の描写もすなおで好印象であるが,前ボケにすると少々わずらわしさを感じるようになる。ボケが汚いというよりも,目立ちすぎるというべきか。

Konica Acom-1, HEXANON AR 40mm F1.8, Konica 100

前後にボケができるようにして撮ってみると,やはり前ボケがわずらわしく感じられる。その理由としては,このレンズが広角気味であることが考えられる。一般的な接写用レンズは,長めの標準レンズあるいは望遠レンズであることが多い。それに対してこのレンズは,やや広角気味なのである。前後ともボケはやや二線ボケになる傾向があるが,後ボケは遠く小さく見えて目立たないのに対し,前ボケは相対的に大きく見えるのでボケ具合のアラも目立つようになる。そしてそもそも,ボケの部分が大きく見えてしまうことが,わずらわしさの原因となるのであろう。

Konica Acom-1, HEXANON AR 40mm F1.8, Konica 100

HEXANON AR 40mm F1.8は,中景から遠景の被写体を手軽に撮るのに向いているレンズだと思う。標準レンズと広角レンズとの間の距離感が,独特の雰囲気をつくってくれるし,解像感もじゅうぶんで,好印象な絵が得られる。
 最短撮影距離付近を利用して,大口径広角レンズのような雰囲気を強調すれば,さらに独特の雰囲気の構図をつくることができそうだが,この場合は手前にボケが生じないようにするのが,より好印象な絵につながるものと思う。


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