2017年12月01日(金) 天気:曇のち晴
京セラDA-1の実用性は?
ディジタルカメラが一般的なものになる以前に,スチルビデオカメラというものがあった。静止画像を電気信号として記録するカメラであるが,ディジタル信号ではなくアナログ信号として,専用のフロッピーディスク(ビデオフロッピー)に記録するものである。
スチルビデオカメラに関連する機器としては,撮影した画像を電話回線等を通じて送信したり,プリントしたりするためのものが用意されていた。また,再生する画像と音声テープを同期させる装置も用意されていた。これらのことからは,報道やプレゼンテーションなど,業務としての利用にこたえられるようにしていたことがうかがえる。
一般向けとしては,スチルビデオカメラよりも先に,ビデオフロッピーのプレーヤが用意された。撮影した写真を,写真店でビデオフロッピーに記録してもらい,それを家庭のテレビで鑑賞するという利用方法である。スチルビデオの基本的な画質は,ハイビジョンではなかった時代のテレビと同等のものにすぎないが,当時の家庭用テレビでの鑑賞が主目的であれば,それでじゅうぶんだったのだろう。
つまり,一般向けのスチルビデオカメラやビデオフロッピーのプレーヤには,家庭用テレビへのビデオ出力端子が用意されている。ディジタルカメラのように,パソコンにディジタルデータとして取りこませるような端子は用意されていなかった。
KYOCERA DA-1は,スチルビデオカメラとしてさいごに市販された製品と思われる。KYOCERA DA-1には,それまでのスチルビデオカメラにはなかった,ディジタル出力端子が設けられている。CASIO QV-10より後の時期に発売されており,ディジタルカメラの影響を受けていたのであろう。専用の「PC接続キット」とソフトウェアがあれば,ビデオフロッピーに記録された画像を,ディジタルデータとしてパソコンに取りこむことができる。これがあれば,スチルビデオカメラを利用しやすくなる。
先日,KYOCERA DA-1を救出した。機能には問題なさそうなので,試し撮りをしてみようと思う。しかし,残念なことに「PC接続キット」が入手できていない。だから撮影ができても,それをパソコンに取りこむことが容易ではない。パソコンに,ビデオ信号を取りこむためのビデオキャプチャボードを内蔵させておけば問題ないのだが,そのようなものは,とうの昔に廃棄してしまっている。
そこで,ディジタルビデオカメラを経由して,むりやりに静止画を取りこむことにした。
まず,KYOCERA DA-1のビデオ出力を,ディジタルビデオカメラSONY DCR-TRV33Kの外部入力に接続する。
つぎに,KYOCERA DA-1で画像を再生する。この画像をSONY DCR-TRV33KでminiDVテープに録画する。
SONY DCR-TRV33Kの機能で,miniDVテープの再生画像を,メモリースティックに静止画像として記録できる。
このメモリースティックから,キャプチャされた静止画像をパソコンに取りこむ,という流れになる。
それでは,KYOCERA DA-1で撮影した画像を確認してみよう。
KYOCERA DA-1
酷い画像である。
解像度が低く,ブレているように見えるのは,ビデオカメラを経由してキャプチャしている影響があるだろう。そもそも,ビデオカメラ程度の画質しかないという仕様の限界もあるだろうから,しかたない。ピントが甘いのも,しかたがない。
そのようなことよりも,全体に露出オーバー気味になっていることは,問題である。
この画像は,取りこんだ後に調整しているが,それでもこれが限界だ。
KYOCERA DA-1
日陰になった部分は,見られる画像になっている。
KYOCERA DA-1
露出補正等の機能があれば,実用的に使えそうな感触だが,そのような機能は見あたらない。
KYOCERA DA-1
紅葉のような細かい被写体よりも,建物,乗り物,人物などのような大きな被写体のほうが,いくぶんか実用的に使えそうである。
いくらなんでもここまで露出調整がおかしいのは,本来の性能ではないだろう。残念だがこの京セラDA-1は,動くことは動くのだが実用できる状態にはない,という結論にいたらざるをえない。
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