撮影日記


2017年09月09日(土) 天気:晴

APSフィルムの現像は2週間!?

ひさしぶりに,APS (Advanced Photo System)のフィルム(IX240カートリッジフィルム)の現像を依頼した。依頼した内容は,カラーネガ現像とCD作成である。そして仕上がり予定は,2週間後のとのこと。2011年にフィルムの発売を終了することがアナウンスされ(2011年7月7日の日記を参照),店頭にフィルムの姿を見かけなくなってからずいぶんとたつ。幸い,まだ現像の受け付けは完全に終了していないようであるが,近所にある「カメラのキタムラ」の店頭にある機械ではもう処理ができず,「工場送り」になる。そのため,仕上がりまで2週間が必要ということのようだ。
 それでもこの5月の現像を依頼したときは,仕上がりまでの日数は1週間ほどだった(2017年5月14日の日記を参照)。なにか状況が変わったのか,念のために「長めの納期」を言われただけなのか,そのあたりの事情は確認していない。

APSは,フィルムに設けられた磁気記録層によってカメラとDPE店(フィルムの現像,写真のプリント,引き伸ばしなどをおこなうお店)とのあいだでデータが連携されるようになった,まったくあたらしいシステムとして1996年に発売された。メーカー側としてはかなり力を入れたシステムのようであったが,結果としてユーザへの浸透はいまひとつに終わったように思われる。APSを利用するためには,ユーザはカメラを買いかえなければならないからである。それには,そうとうに強い動機づけが必要になるはずだ。
 APSのフィルムを現像しプリントするためには,対応した機器に更新する必要があったことから,DPE店にも負担を強いることになった。「写真屋さん45」のように,APSについて「写真マーケットをますますだめにする元凶」(「写真屋さん45の快進撃」鶴蒔靖夫,IN通信社,2000年)として積極的に扱わない方針をとっていた,大規模なDPEチェーン店もあった。
 ともあれ,フィルムを使った写真を楽しむには,カメラとフィルムとが必要であることはいうまでもないが,現像のインフラも必要であることは忘れてはいけない。現在,APSのカメラもフィルムも供給されなくなってから,何年も経過している。APSのフィルムを現像できる環境が,いつまでも残っているだろうと油断してはいけない。

だからいまのうちに,残っているAPSのフィルムをぼちぼちと使っていこうと思う。

今日は,GOKO FR-2200で撮ったフィルムの現像を依頼した。
 1997年に発売されたこのカメラの特徴は,接写に特化していることである。
  GOKO FR-2200は,基本的には固定焦点式のカメラである。ノーマルモードでのピントのあう範囲は,1m〜∞ということになっている。このほかに2段階のマクロモードがあり,スーパーマクロモードでのピントのあう範囲は0.3m〜1m,ウルトラマクロモードでのピントのあう範囲は0.1m〜0.3mということになっている。極端に被写体に近づいた場合,ピントあわせはとてもデリケートなものになるが,GOKO FR-2200はレンズを繰り出すと同時に十分に絞りこむことによって,幅広い被写界深度(ピントがあっているように見える範囲)を確保するようになっている。また,絞りこむことによる光量の不足は,至近距離でフラッシュを発光することで補っている。フラッシュ光で撮影することにより,露光時間を短くできることから,ブレの影響も軽減できるようになっている。
 じつに,シンプルながらよく考えられた機構である。
 GOKO FR-2200には,ウルトラマクロモードでの撮影に便利な「10cm接写用フレーム」も用意されていた。これがあれば,パララクス(撮影用レンズとファインダーの位置がずれていることによって,実際にフィルムに写る範囲とファインダーに見えている範囲とがずれる現象)の影響もなくなる。

ウルトラマクロモードをもつカメラは「マクロマックス (Macromax)」シリーズとして,GOKO FR-2200の後にもいくつかの機種が発売された。まず,翌1998年には,135フィルム(パトローネ入り35mmフィルム)を使うライカ判のGOKO FR-350が発売されている。さらに,3倍ズームレンズを搭載し,ノーマルモードではオートフォーカス撮影のできるGOKO MacromaX MAC-10 Z3200も発売された(2014年6月27日の日記を参照)。

GOKO FR-2200は,ウルトラマクロモードという大きな特徴をもつカメラである。しかし,135フィルムを使うカメラにもウルトラマクロモードが用意されているのであれば,その特徴はAPSを使い続けるための強力な要因とはならない。APSには,それ以前からの135フィルムを使ったシステムにはない,さまざまな機能が用意されていた。その機能には,プリントフォーマットの指定,プリント枚数の指定,プリント時の補正情報などのように,もっぱらDPE店にプリントを依頼するときに活用されるものである。撮影するという行為において,135フィルムを使ったカメラとの本質的な違いはないのである。


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