2017年05月06日(土) 天気:雨のち曇
縦型FinePixは使いやすい? その魅力と大いなる欠点
観光地あるいは地域や学校のイベントなどでは,カメラを使っている人をよく見かける。かつてはフィルムを使うカメラや「写ルンです」などのレンズ付きフィルムが使われていたが,いつしか,ほとんどがディジタルカメラになっていた。さらにここ数年は,スマートフォンやタブレット端末で撮っている人も少なくない。フィルムの出荷もすっかり減少してしまい(2011年7月7日の日記を参照),コンパクトディジタルカメラの出荷も激減する傾向にある(2017年4月30日の日記を参照)。
いまや,スマートフォンやタブレット端末に内蔵されたディジタルカメラ機能は,かなりの性能をもつようになっている。コンパクトディジタルカメラとくらべても,撮像素子は似たようなもの。本体の薄さに比較的制約されないコンパクトディジタルカメラのほうが,搭載するレンズの自由度が高いぶんだけ画質面で有利だとしても,ソフトウェアで処理する部分に関しては同じ土俵。むしろ,さまざまなアプリを利用できる点では,スマートフォンやタブレット端末のほうが有利である。また,写真店にデータを「持ち込んで」プリントするならば条件はかわらないが,写真店にデータを「送信して」プリントしたり,SNSに投稿したりするならば,スマートフォンやタブレット端末のほうがはるかに好都合である。
それでは,撮像素子の大きさやレンズ等にこだわった高級タイプのコンパクトディジタルカメラではない,一般的なコンパクトディジタルカメラにはなんのメリットもないのだろうか。あるとすれば,ユーザインタフェースの部分になるだろう。スマートフォンやタブレット端末は,万能な機器であるといえる。一方,コンパクトディジタルカメラは,画像を撮影することしかできない。かたや汎用機,かたや専用機である。撮影に特化した専用機であるからこそ,フラッシュもズームもシャッターレリーズも,すべて使いやすくできるはずだ。露出補正なども利用しやすければ,なおのことよい。コンパクトディジタルカメラで重要な点は,使いやすいと感じるかどうかということになるのではないだろうか。
独特なフォルムの「縦型FinePix」のなかでも,600万画素というじゅうぶんな画素数で記録され,デザインももっとも魅力的なものである,FUJI FinePix 6800Zを入手した(2017年4月30日の日記を参照)。ACアダプタもバッテリーも記録メディアも確保して,実用できる状態になった。実際の使い心地はどのようなものであるか,たしかめてみることにしよう。
FUJI FinePix 6800Z
いつもの道標(みちしるべ)とポストである(2017年1月3日の日記を参照)。
雨あがりの午後,あいまいな光線の雰囲気もじゅうぶんに出ている。発色も自然で嫌味がなく,かといってほどほどに派手な,いかにも富士フイルムですね,と言いたくなるような画像だ。600万画素で記録されるとはいえ,このころのスーパーCCDハニカム特有の「2倍の画素数で記録」しているから,600万画素級の撮像素子をもつディジタルカメラで撮影したものにくらべればシャープさは劣ることになる。しかし,目的は「ディスプレイにピクセル等倍で表示する」ことではない。常識的なサイズで画像を眺めるかぎりは,じゅうぶんなものである。
FUJI FinePix 6800Z
縦型のボディだから,縦位置の撮影をしたいときは,カメラを横に寝かせることになる。このとき,シャッターレリーズボタンがカメラを構えたときに,左上にくる。これは少々違和感があるが,右手だけで無造作に撮るならば,案外と持ちやすいことに気がついた。ただし,液晶モニタも右手が隠してしまうことになるが。
FUJI FinePix 6800Z
横位置の撮影時には,カメラが縦になる。このときはシャッターレリーズボタンが右上になるので,まったく違和感なく撮れる。FinePix 6800Zにはビューファインダーもあるので,まったくふつうのカメラと同じ撮り方になるのだ。
FUJI FinePix 6800Z
逆光条件でも,無難な画像をつくってくれる。
FUJI FinePix 6800Zでフラッシュを使うには,ボタンを押してフラッシュをポップアップしなければならない。つまり不用意にフラッシュが発光することがないので,そういう面は好都合である。電源スイッチ,撮影と再生の切り替え,撮影モードの選択は,それぞれ独立したボタン,レバー,ダイアルを使う。これも,不用意な操作をしてしまうことがないので,好都合だ。
全体として,縦位置撮影でシャッターレリーズボタンの位置に少々違和感を感じることを除けば,使いやすいと感じるカメラである。
画素数などのスペックが少々ものたりないと思う人があるかもしれないが,よほどのことがなければじゅうぶんなものである。バッテリーのもちが悪いと感じるのは,入手したバッテリーパックの劣化が進んでいることもあるだろうから,今回は評価の対象としない。見た目がカッコよいので,持ち歩いて撮影することそのものも楽しい。
もちろん不満点もある。最大の不満点は,記録メディアだ。
FUJI FinePix 6800Zは,記録メディアとしてスマートメディアを使う。いまとなっては入手が困難だが,さいわいにも128MBのものを1枚だけ確保している。だから,当面は困らない。しかし,スマートメディアは「壊れやすい」という印象がある。できるだけ,カメラ本体から抜き差ししたくない。ところがFUJI FinePix 6800ZのUSB端子は,独自規格のものである。接続ケーブルが,入手できない状況だ。
FinePixシリーズは,記録メディアにスマートメディアやxDピクチャーカードではなく,CFカードやSDカードを採用していたら,もっと評価が高くなったのではないか,と思う。スマートメディアやxDピクチャーカードは,その入手も困難だが,それに対応したメモリカードリーダもいずれ入手しにくくなることだろう。カメラ本体をUSBケーブルで接続しようと思っても,USB端子が独自規格である。まったく,困ったものだ。
だが,そんな万難を排してでも使ってみたいと感じる機種があるのも事実である。
FUJI FinePix 6800Zの試し撮りのあと,以前から気になっていたお店を覗いてみた。このお店が営業しているときに立ち寄る機会が,なかったものである。
FUJI FinePix 6800Z
基本的には古書店であるが,ギャラリーとしての機能も重視しているようだ。
FUJI FinePix 6800Z
そのため,お店の雰囲気は少々難しいものを感じるが,古書店としての品ぞろえや値付けは,いたってまっとうなものであった。ときどき,覗いてみるのもよいだろう。
|