撮影日記


2017年02月22日(水) 天気:晴のち雨

いつのまに!?インスタントレタリングが滅亡
転写シートを使ってLeica C11に文字を補う

Leica C11は,ライカの名前で発売された唯一のAPSカメラである。名前はライカであるが,中身はフジの製品と同じものらしい。このカメラの外装,とくに背面は,ゴムかウレタンのようなものでコーティングされていたらしく,素材が劣化して表面が激しくべたついていた(2017年1月30日の日記を参照)。アルコールをつけて拭きとればべたつきを除去できるが,操作ボタンなどに添えられている文字もいっしょに消えてしまう。
 そこで,文字を含めてべたつきをすべて除去した後に,消えてしまった文字を補うようにしようと考えた。
 文字を貼るには,インスタントレタリングというものを使うのがよい。
 インスタントレタリングとは,糊のついたフィルムに文字が印刷されているものである。文字をおきたい場所にフィルムをあて,文字の上を強くこすると文字が貼り付けられるようになっている。発売しているメーカーはいくつかあったようだが,画材店などでは「デカドライ」(DECAdry)のものが,電気パーツ店などでは「サンハヤト」のものが入手しやすかった。最近はめっきり使わなくなっているが,以前はよく使っていた。手元にはまだ,使いかけのものが何枚もあったはずである。ライカのフォントとはデザインが異なるが,ゴシック体のものならばさほど違和感なく使えるだろう。ところが残念なことに,残っていたものは黒文字ばかりである。白文字のものがない。

しかたがないので,適当な白文字のものを購入しようと考えた。そこで,衝撃の事実を知る。デカドライもサンハヤトも,インスタントレタリングは10年くらい前に販売を終了していたらしい。昨今は,パソコンとプリンタを利用して転写用シートに印刷することで,インスタントレタリングのような使い方ができるのだ。そのやり方ならば,フォントのデザインも大きさも自由にできるのだから,インスタントレタリングの出番がなくなってしまうのもしかたないか。
 しかし,私の手元にあるLeica C11は,ブラックボディである。透明な転写シートに黒い文字を印刷して,それを黒いボディに転写しても,文字は見えない。パソコンのプリンタでは,白いインクは使われていない。プリンタで表現される「白」は,あくまでも紙の色であり,白いインクを使っているわけではないのである。白い色に指定した文字を転写シートにプリントしても,それはあくまでも紙の色だから,透明なのである。
 これは困ったぞと思ったが,転写シートを発売しているエーワン(A-one)の商品を調べてみると,転写シートには透明タイプと白地タイプがあることがわかった。透明なシートに白いインクで文字を印刷するのがいちばん都合よいのだが,それはできない。それならば,白いシートに背景を黒にして白文字を印刷し,背景の黒い部分ごと転写する方法が使える。

まず,Leica C11本体をスキャナで読み取る。本体に残っていた文字を読み取ってきれいに整形し,それを白地の転写シートにプリントした。じゅうぶんに乾燥させたのち,カメラに文字を貼った。
 転写シートに印刷した背景の黒と,カメラボディの黒がうまくあわないので,どうしても違和感がある。

なお,プリントサイズの切り替え(C H P)の文字を天地逆に貼ってしまったのは,ここだけの秘密だ。
 ともあれこれで,カメラをさわっても,べたつきが気にならないようになった。


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