2017年01月30日(月) 天気:雨
This is my first Leica... よりによって,これが私の初ライカ APSのLeica C11
安く売られていたので,こんなカメラを入手してしまった。
この黒いのっぺりした物体は,カメラである。いわゆる,コンパクトカメラの一種である。
表面は,ゴムかウレタン類でコーティングされていたのだろうか,それが劣化してべとべとになっている。ちょっとさわると,手が真っ黒になる。電池ボックスの蓋や,ポップアップ式のフラッシュなどは,べたつきのために動きにくくなっている。このような状態で,このカメラははたして動作する状況にあるのだろうか?
まずは,電池ボックスを開ける。見たところ,接点の腐食などはない。べたつきによるダメージが外装だけの問題であるならば,アルコール類で徹底的に拭き取ってやればよいはずだ。べたつきは思ったよりも激しく,可動部の動きがスムースに感じられるようになるには,思ったよりも手間がかかった。
正面には,目立つ突起も文字もない。ファインダーの窓らしきものと,その後ろにレンズが隠れているであろう丸いカバーがあるだけの,シンプルなスタイルだ。目立つのは,赤い丸のロゴ。そこには「Leica」と書いてある。
このカメラは,じつは「ライカ」だったのである。
「ライカ」といっても,M型やバルナック型ではない。まあ,ふつうのコンパクトカメラである。
ピント調整はオートフォーカス,露出調整も自動露出で,露光時のシャッター速度や絞りの値もわからない。レンズの銘も,「VARIO」だけ。Panasonicのディジタルカメラなどに見られるような「VARIO-ELMAR」などを,名乗っていない。これは潔いというべきか,やる気がないというべきか(笑)。
ともあれ,べたつきが気にならない程度にまで拭き取ることができたので,電池を入れる。電源スイッチをONにすれば,カメラは無事に起動した。あたらしいフィルムを装填したところ,フィルムもきちんと認識された。大丈夫,まだ使えそうだ。
しかし,大きな問題がある。そう,これはAPSカメラなのである。
APSフィルムは,すでにメーカーによる製造・販売が終了している(2011年7月6日の日記を参照)。かろうじて個人売買されているフィルムも,とうに期限が切れている。
また,現像のインフラについても,安心はできない。まだD.P.E.の受け付けは終了していないようだが,これもいつまで続けてもらえるかはわからない。かといって,撮影データなどを記録する磁気層をもつAPSフィルムは,110カートリッジフィルムのように,簡単に詰め替えて自作できるようなものではない(2011年7月7日の日記を参照)。
Leica C11は,ライカの名前で発売された唯一のAPSカメラである。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」では,2001年発行のvol.117にシルバーボディのもの(ライカ C11)が掲載されており,翌2002年発行のvol.118にはブラックボディのもの(ライカ C11 BLACK)が掲載されている。価格はいずれも,37500円となっている。
M型やバルナック型のライカであれば,すでに多くの人によって深く広く薀蓄が語りつくされていることだろう。私がネタとして語るには,こういうライカのほうが適当かもしれない。だから,いちどは実際にこれで撮ってみようと思う。私自身がいま手元に確保しているAPSフィルムは,ほんの数本である(しかも,それらはすべて,未使用の「写ルンです」である)。もちろん,使用期限はとうに過ぎている。だから,早めに撮ってしまいたい。
だが,このカメラの使い心地や写りが気に入ってしまったら,困ることになる。使い続けたくても,フィルムがなければどうしようもない。だから,「ライカの名前がついているだけで,写りもいまひとつパッとしないし,使っていても楽しくない。」というカメラであってほしいと,ひそかに願っている。なにか,間違っているような気もするが,まあいいか。
ともあれこれが,私にとってはじめての「ライカ」,This is my first Leica. ということである。
|