2015年07月12日(日) 天気:晴
八百富写真機店のあらたなる罠 大阪駅前第3ビル本店でヤシカ・アトロンを救出した
JR大阪駅中央口から地下鉄梅田駅方面に向かう途中に,八百富写真機店大阪駅中央店がある。その営業時間は21時までなので,営業時間内にそこを通ることが少なくない。すると「罠」にはまり,気がつくと「丸に八」のマークが入った袋をぶらさげていたりする。まさにそこは,デンジャラスゾーンである。
以前は,その罠が二重に存在していた。八百富写真機店大阪駅中央店の罠を無事にかいくぐっても,東梅田駅の手前に八百富写真機店ディアモール店の罠が待ち受けていたのである。幸いにも,今年(2015年)1月31日をもって,ディアモール店は営業を終了し,大阪駅前第3ビルの地下へ本店と統合移転された。それまでの間,八百富写真機店ディアモール店という巧妙な罠に,何度もはまってしまったものである。
今日は仕事を終えた後,友人とカメラ店めぐりを楽しむことにした。そもそもこの週末は,仕事があって大阪へ来ていたのである。けっして,和歌山へ行くことが目的だったわけではなく,ましてや「行くぜ!八百富写真機店!」が主目的で大阪へ来ていたのではない。
友人とは,八百富写真機店大阪駅中央店で落ち合った。一昨日に罠にはまったときに救出をためらったものが,ジャンクコーナーにまだいろいろと残っていた。
たとえば,京セラのAF一眼レフカメラ用の望遠ズームレンズがあった。京セラのAF一眼レフカメラは,広島の大洲カメラで標準ズームレンズつきのKYOCERA 210AFを入手(2007年9月19日の日記を参照)した後,東京のフジヤカメラのジャンク館でペンタフラッシュを入手(2007年10月26日の日記を参照)したのみで,それ以後,システムが増えていない。だから京セラ純正の望遠ズームレンズという存在は魅力的だったのだが,フィルタ枠が歪んでいるようなダメージがありながら,1000円という強気な価格が設定されていたために見送ることにした。京セラのレンズということは,「じつはバリオゾナーと同じだよ」などという事情でもあったのだろうか?そうであれば,強気の価格設定もわからないではない。
一眼レフカメラのジャンクが集められたなかにあった,Konica FTAという一眼レフカメラも気になる存在だった。そことは別のジャンクコーナーには標準レンズもあり,あわせて2000円である。私は,日本カメラショー「カメラ総合カタログ」に掲載されていた全メーカーの全シリーズの一眼レフカメラを入手したいと考えている(2015年4月19日の日記を参照)。だから,これを救出すべきと考えたのだが,カメラのファインダーがあまりにも曇っており,簡単に清掃できるかどうか判断ができなかったので,今回は見送ることにした。そのほか,5月に訪れたときからそこにあったPolaroid Colorpack 80が300円というのも気になる対象だったが,今回も救出を見送っている。
八百富写真機店大阪駅中央店ではとくに罠にはまることもなく無事に脱出し,つぎに大阪駅前第3ビル本店へ向かう。こちらは,以前のディアモール店と同様の店内レイアウトで,同じように楽しめそうなお店である。
いろいろと眺めているとき,友人がおもしろそうなものを見つけた。元箱付きのKakoのフラッシュのセットで,箱の1つにはバッテリーパックと書かれている。専用の充電式バッテリーだったら使いにくいかもしれないが,どんなものだろうかと見せてもらったところ,それは単3乾電池用のバッテリーケースだったのである。ケースのなかに見えた,パワートランジスタが時代を感じさせてくれる。さらに,AC電源コードも付属していて350円,友人はその救出を実行した。
そうなると,私もなにかを救出したくなる(笑)。
Kakoのフラッシュが入っていたのと同じケースの上の段には,ミニチュアカメラがいろいろと並べられている。その中に,気になるものが1つあった。
フラッシュガン付きの,Yashica ATORONである。
ヤシカ「アトロン」は,日本のメーカーでははじめての,ミノックス用フィルムを使うカメラということになっている。セレン露出計を内蔵し,メーターの指針にあわせてダイアルをまわすと,適切なシャッター速度と絞りの組みあわせが得られる「プログラム露光」になっている。自動的に露出が決定される,プログラムAEではない。操作はあくまでも,マニュアルである。マニュアルのプログラム露光というしくみを採用したカメラがどれくらいあるのかは知らないが,とりあえず思いつくところとしては,Konica L(1998年4月7日の日記を参照)やFUJICA ST-Fがマニュアルのプログラム露光だ。Yashica ATORONのプログラム露光はそれら2機種とちがって,B(バルブ)が使えるところがおもしろそうである。
値札に記載された価格は,1500円である。これは,安い。しかし,「不完全」という気になる文字も書かれている。さて,なにがどう不完全なのだろうか。見たところ,レバーやダイアルなどの部品が失われているようすはない。巻き上げ,シャッターのチャージ,そしてシャッターレリーズは,ちゃんと動作しているようだ。露出計については,精度まではわからないものの,明るさに対する反応は悪くない。そして,フラッシュガンを開いてみた。接点が緑色に,激しく錆びている。「不完全」がこれを示しているのであれば,問題ない。どのみちいまさら,フラッシュバルブを使うことはないのだから。もちろん,露出計の精度が悪くなっているという可能性はあるだろうが,それくらいであればたまに使ってみるには十分だろう。
私が入手したミノックス用フィルムを使うカメラは,このYashica ATORONが2機種目となる。これまで使っていたACMEL MDとくらべると,金属製ボディのYashica ATORONは,ボディの重みやひんやりとした感触,巻き上げとシャッターレリーズのほどよい抵抗感などが心地よい。
ただ,実用を考えれば,やはりACMEL MDのほうが望ましいだろう。ACMEL MDは,電子制御シャッターのAE(絞り固定)なので正確な露光が得られ,目測で0.3m〜∞のピント調整が可能である。それに対するYashica ATORONは,マニュアルのプログラム露光なのはよいのだが,固定焦点になっておりピント調整ができない。ネガからプリントを得るときの拡大率が大きくなるミノックス判だからこそ,露出やピントはできるだけきちんとあわせるようにしたいのだ。
そして,超小型カメラの使い方としてつねに持ち歩くことを考えれば,ACMEL MDのほうがずっと小さく軽い。また,ACMEL MDはフラッシュバルブではなくエレクトロフラッシュを使うようになっており,この面でも実用性が高い。
実際に写真を撮って楽しむならば,Yashica ATORONよりもACMEL MDのほうがよいのは明白だ。ディアモール店でACMEL MDを救出したのは,その価格が安かったことが最大の理由であるのだが,Yashica ATORONよりも
実用的だという要因も大きい(2010年9月18日の日記を参照)。まあ結局は,どちらも入手してしまったからこれでいいのだ。
ともかくこれで,8月11日の「ミノックス判の日」の楽しみが1つ増えたのだ。そろそろ今年の「ミノックス判の日」に向けて,フィルムをカートリッジに詰め替えるなど準備をはじめるようにしよう(2014年8月5日の日記を参照)。
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