撮影日記


2015年06月12日(金) 天気:曇のち晴

Lomographyで楽しむ「パノラマ写真の日」

横長の写真は「パノラマ写真」とよばれ,パノラマ写真の撮影に特化したカメラは「パノラマカメラ」とよばれる。「パノラマ写真」は横長の写真であるが,縦横比がどれくらいあれば「パノラマ写真」とよぶのかは,具体的には決まっていないようだ。だから「パノラマカメラ」にも,いろいろな種類がある。
 もっとも一般的なものは,ライカ判(24mm×36mm)の天地をマスクした「パノラマフォーマット」(13mm×36mm)を撮影するカメラであろう。コンパクトカメラや一眼レフカメラに「パノラマモード」が設けられている例もあれば(2014年7月4日の日記を参照),パノラマフォーマット専用としてつくられたカメラもある(2008年10月5日の日記を参照)。このような「パノラマフォーマット」を,「疑似パノラマ」あるいは「偽パノラマ」と蔑む人も少なくないようだ。そういう人たちは,中判カメラ用の120/220フィルムを利用した「6×12判」「6×17判」「6×24判」のものを「真のパノラマ」とよんでいるようだ。そういう発言をする人は,そもそもパノラマ写真に興味をもっているのだろうか?疑問を感じることが多い。
 たしかに「パノラマフォーマット」で撮らなくても,ふつうにライカ判で撮影しておき,プリント時にパノラマフォーマットにトリミングしてもいいのである。だから「パノラマフォーマット」にすっきりしない疑問を感じる人がいるのは,よくわかる。メーカーが「売らんかな」的に付加した,余計な機能である。という考え方にも,納得できる。少なくとも,京セラ「CONTAX Tvs」には,絶対に不要だ。むしろ邪魔だと思う。そうは言いながらも,撮影時にパノラマフォーマットで撮るという行為そのものはおもしろいと思うのだが,どうだろう?(2014年6月24日の日記を参照)

「国産カメラはダメぢゃ,ライカ最高」のような態度をとる人に対して,「ハッセル万歳,ライカは所詮35mm判」と言い返すと黙ってしまったことがある(1997年7月9日の日記を参照)。ただし,私はハッセルブラッドを所有して使ったことはない(^^;
 そうであるならば,「疑似パノラマはダメぢゃ,6×12判最高」のような態度をとる人に対して,「ワイドラックス万歳,6×12判なんて所詮は固定レンズ」と言い返すのはどうだろうか?ただし,私はワイドラックスを所有したこともなければ使ったこともない(^^;
 ハッセルブラッドは所有していないが,マミヤプレスなら長年使ってきた。マミヤプレスはハッセルブラッドのような高級品ではないが,ハッセルブラッドの6×6判よりも大きな6×9判の撮影ができるカメラである。ワイドラックスは所有していないが,LomographyのSPINNER 360°ならば最近いただいた。SPINNER 360°はワイドラックスのようなきちんとつくりこまれたカメラではない「おもちゃカメラ」的なものだが,ワイドラックスよりもはるかに広い360°の光景を写しとることができる。
 SPINNER 360°はメカニズム的にもあやういものを感じるし,レンズの質も今ひとつな印象である。それでも,ふつうのカメラでは写すことができない360°の光景を撮るという行為そのものは,とてもおもしろい。

「パノラマカメラ」にはいろいろな規格があるが,「記念日」にしやすい「6×12判」「6×17判」「6×24判」を利用して,6月12日,6月17日,6月24日を勝手に「パノラマ写真の日」に制定した。そういう背景なので,6月12日の「パノラマ写真の日」だからといって,6×12判以外のパノラマ写真は認めない,なんてことは言わない。撮る人が「これはパノラマ写真である」と主張できるなら,どんなフォーマットでもご自由にということにしようと思う。
 だから今日は,SPINNER 360°を用意した。

毎年のように撮っているのは,楠木の大雁木。

Lomography SPINNER 360,ACROS 100

残念ながら,回転角が360°にかなり不足している状態だ。また,カブリが生じている。このあたりの不安定さが,Lomographyならではのものか。この不安定さを「予測できないおもしろさ」ととらえるか,「使い物にならない」ととらえるか。ケースバイケースだと思うのだが,コントロール下におくことができないというのは,やはり機械としては完成度が低いと言わざるを得ない。

1枚目の写真は,楠木の大雁木を降りて撮ったものである。この場合,背中に壁があるわけで,自分の周囲に360°の風景画広がっているわけではない。周囲360°の視野を撮りたいなら,高いところでカメラを持ち上げて撮るのがよいということになる。

Lomography SPINNER 360,ACROS 100

これは,360°を優に上回る範囲が写っている。こういうときは,極座標変形をしてみよう(2015年4月18日の日記を参照)。

Lomography SPINNER 360,ACROS 100

SPINNER360°は,とにかく広い範囲を写す。したがって,意図しない写りこみには十分に気をつける必要がある。とくに自分自身は,じつに簡単に写りこむ。

Lomography SPINNER 360,ACROS 100

これも360°以上の範囲が写ってくれたので,極座標変形をしてみよう。

Lomography SPINNER 360,ACROS 100

右のほうに見えているのは,私の頭部である(笑)。自分自身が写りこまないためには,SPINNER 360°を自分の頭のてっぺんに乗せるようにして撮るとよいのだが,人目の多いところでは無意識に遠慮してしまう。そして少しでも低い位置でSPINNER 360°を回転させてしまうと,こういう結果につながるのである。
 なお,下部の中央に写っている影は,私の影である。

「パノラマ写真」は,広い視野を写した横長の写真なのだから,視界の開けたところで撮るのがよろしい。ふたたび川土手にあがるが,こんどは本川ではなく太田川放水路である。

Lomography SPINNER 360,ACROS 100

遠慮なく手を高く上げて,ひもをひっぱり,SPINNER 360°を回転させる。

Lomography SPINNER 360,ACROS 100

ここは,極座標変形する前のもとの写真のほうが,広い視野が写っていることがわかりやすくてよさそうだ。

まだ,「こんなのが撮れますよ」というレベルで,パノラマ写真ならではの光景が撮れていない。もう少しいろいろな場所を撮ってみる必要がありそうだ。


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