撮影日記


2015年06月11日(木) 天気:雨

小さなパーツも保護しておけば,役に立つ日がいつかくる
キヤノンAV-1をタチハラフィルスタンド45に

中古カメラを扱うお店の店頭や,中古カメラを扱う通信販売サイトなどを眺めていると,どんな「付属品」があるか明確に示されていることに気がつくだろう。その付属品は,たとえばレンズキャップであったり,ストラップであったり,場合によっては元箱であったりする。そのような付属品は,なくても実際に使うにあたって,困ることはない。必要だとしても,代用品はいくらでも入手できる。あるいは,専用のクローズアップレンズ,バッテリーや充電器のように,それがないと実際の使用に困る場合もある。いずれにせよ,あとからその付属品だけを入手しようと思っても,うまい具合に見つからないことが多い。
 逆に,それらの付属品は,それだけでは使い道がない。フィルタやストラップであれば,ほかのカメラやレンズでも使えるが,なにかの機種に専用のものは,ほかに使い道のない場合も少なくない。しかし,そのような付属品を保護しておくと,それを活用できる本体が格安で入手できるチャンスがあるかもしれない。友人の1人は以前,ジャンクコーナーに大口径フィルタがあれば,必ず買うようにしていたという。いまはそのフィルタにあうレンズをもっていなくても,フィルタを買っておけば近いうちに,そのフィルタが必要な大口径レンズとの「よい出会い」が巡ってくるからだ,とのことだ。

数年前のこと,安かったので,私はこんなものを買っていた。

ホースマン「ビューカメラコンバータ」とは,乱暴に言ってしまえばアオリのできる蛇腹システムである。ただし,35mm判一眼レフカメラに交換レンズのようにとりつけるのに適した大きさでつくられている。これを使うことで,35mm判一眼レフカメラでも,大判テクニカルカメラのように自由なアオリ撮影が可能になる,というものだ。前世紀末ころに駒村商会から発売されていたが,メーカー希望小売価格は本体のみで¥198,000というなかなかのものである。それで使うためのローデンシュトック製レンズが用意されていて,そのメーカー希望小売価格は¥57,000 (80mmレンズ)から¥123,000 (180mmレンズ)というものだった。さらに,ビューカメラコンバータ本体に35mm判一眼レフカメラボディを取りつけるためのマウントが必要で,そのメーカー希望小売価格は¥9,000である(価格はいずれも,「写真・映像用品ショーカタログ No.28」(1998年)による)。マウントは,キヤノンEF,キヤノンFD,ニコンF,ミノルタα,ヤシカ/コンタックス,オリンパスOM,ペンタックスK,ライカR用のものが用意されていた。

私が救出していたものは,このうちキヤノンFD用のものである。キヤノンFD用だったから,安かったのかもしれない。ニコンF用のマウントもあったが,それなりの価格になっていた。
 キヤノンFD用以外のマウントは,「いまでも現役(キヤノンEF,ニコンF,ミノルタα,ペンタックスK)」のものだったり,「熱烈なファンの存在(ヤシコン,オリンパスOM,ライカR)」が想定できるものだったりするのに対し,キヤノンFDはそのような状況ではなさそうである。
 また,このような蛇腹を使ってレンズを接続するときは,絞り優先AEが使えるとなにかと便利である。しかし,FDマウント時代のキヤノンの35mm判一眼レフカメラはシャッター速度優先AEのものが主力商品になっており,絞り優先AEが使えるボディが比較的目立たない存在だった(あるいは,高級モデルだった)。そのような点も,キヤノンFD用のマウントが売れ残っていたことに影響を与えていそうに思う。
 ともあれ,マウントを入手していたのだが,これにあわせて使いたくなるようなカメラボディがなかった。使い道が見つからないまま,しばらくその存在を忘れてしまっていた。

最近になって,キヤノンAV-1という一眼レフカメラを救出した。キヤノンFDマウント機としては珍しい,絞り優先AE機である。しかも,絞り優先AE専用という割り切ったヤツだ。

絞り優先AE専用ということは,ラインアップの最下位に位置づけられた機種であろう。だからといって,フジカAX-1 (2015年4月19日の日記を参照)やマミヤZEのように露出計表示が簡略化されていたりしない。キヤノンAV-1の露出計表示は,シャッター速度を指針で示すものである。この点はニコンEMと同様のもので,使いやすそうである。
 このカメラの試運転で使うレンズをどうしようか考えたときに,ビューカメラコンバータ用マウントを救出し保護していたことを思い出した。
 このマウントを利用して,タチハラ フィルスタンド45にキヤノンAV-1を接続してみることにした。
 タチハラ フィルスタンド45のバック部の大きさにあわせて,板を切る。中央に穴を開けて,マウントをはめこむ。そして,ネジで固定する。

これをタチハラ フィルスタンド45に取りつけると,こうなる。

さらに,キヤノンAV-1を取りつけてみよう。

カメラボディの厚みの分だけ,通常のフィルムホルダよりも蛇腹を縮めて使わねばならない。タチハラ フィルスタンド45だと短いほうでは90mmレンズくらいまで使えるが,35mm判一眼レフカメラを取りつけて使うときだといせいぜい150mmレンズくらいまでだろうか。たぶん,使いやすいのは210mmくらいのレンズだろう。
 蛇腹を繰り出せるので,とくに接写をするのがおもしろそうである。アオリの効果も楽しめそうだ。TTLの絞り優先AEとなるので,蛇腹の繰り出しやアオリの影響を考えながら露出の決定をしなくてもすむ。
 絞り優先AE専用機は,低価格であることもあわせて,「初心者にもお手軽に使えます」という方向からセールスされてきたものと思う。少なくとも「お手軽に使える」点は,間違いないと思うところだ。
 さあ,これでなにを撮ろうか?

ホースマン ビューカメラコンバータ用マウントを保護していたからこそ,キヤノンAV-1を活用することができるようになったのである。別の見方をすると,すぐには役に立ちそうにないパーツであっても,保護しておけばいつか役に立つ日がくるのである。そういえば,たまたま安価に買えたのでフジGX680用のレンズを保護しているのだが,このレンズを活用できる日も,いずれやってくるのだろうか?


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