2015年06月03日(水) 天気:晴
「チェキ」フィルムをクラシックカメラで使える? 光線漏れとの果てしない戦い
昨日の日記の続き。
Yahoo!オークションに出品されていたアトム判(4.5cm×6cmの乾板)のカメラは,ちょっとした工夫によって「チェキ」のフィルムで撮影できるようになっているとのことだった。詳細はわからないが,そこには乾板ホルダらしきものも掲載されていた。さて,私のてもとにあるアトム判カメラVest Pocket TENAXでも,「チェキ」フィルムを利用した撮影はできるのだろうか?
まず,「チェキ」フィルムの構造を確認してみよう。
「チェキ」フィルムは,茶色い側が感光面となる。
「チェキ」カメラに装填してシャッターレリーズボタンを押すと,この茶色い面に露光される。露光されたフィルムはモーターで送りだされ,そのときにフィルムの端にある袋が破れて現像液が出てくる。現像液が広げられて処理され,反対側の白い面に像が浮かび上がるようになっている。
このような「チェキ」フィルムをクラシックカメラで使うとすれば,次のような手順が考えられる。
- 真っ暗な場所(暗室内あるいはチェンジバッグを利用)で,「チェキ」フィルムのカートリッジからフィルムを1枚だけ抜き出す。
- 抜き出した「チェキ」フィルムを,アトム判カメラで使えるホルダに装填する。
- フィルムを装填したホルダをアトム判カメラにセットして,撮影する。
- 撮影したら真っ暗な場所で,「チェキ」フィルムのカートリッジにフィルムを戻す。
- フィルムを戻したカートリッジを「チェキ」に装填し,レンズを塞いでシャッターレリーズ動作をさせる。
- 「チェキ」からフィルムが排出され,現像される。
「チェキ」フィルムがV.P.TENAX用の乾板ホルダに入れば,なんの問題もなく上記の手順で撮影できるはずである。
だが,これらを並べてみたところ,このホルダに「チェキ」フィルムはとても入りそうに思えないという現実をつきつけられる。
「チェキ」フィルムのほうが,ずいぶんと大きいものである。端を少し折る程度では,無理だろう。無理に折ったり切ったりして,フィルムの隅にある現像液を漏らさないようにも気をつけねばならない。
ところで私の手元にはこの乾板ホルダのほかに,パックフィルム用のホルダもあった。幅はまだフィルムのほうが大きいが,長さはピッタリである。
画面の端に沿って露光面側が外になるように折ってやれば,パックフィルム用ホルダに入りそうである。
折って入れた「チェキ」フィルムを押さえて平面性を確保するために,スチレンボードを利用することにした。
糊つきスチレンボードなので,そのまま遮光用に革を貼る。
このようにして撮影した結果は,これだ!
Vest Pocket TENAX, Dogmar 7.5cm F4.5, instax mini film
見事に光線漏れである。
ホルダの蓋の側はじゅうぶんに塞いだはずなのに,どうしたことか。
よく見れば,引き蓋の遮光材の一部がなくなっている。
こういうときは,35mmフィルムのパトローネが利用できる。パトローネを破壊し,フィルムの出てくるところに貼られている遮光材をはがして流用しよう。
少し短いのだが,じゅうぶんに利用できるだろう。
引き蓋部分の遮光材を貼りかえて,あらためて撮影した結果はこれだ!
Vest Pocket TENAX, Dogmar 7.5cm F4.5, instax mini film
これも見事な,光線漏れである。
この光線の漏れかたは,引き蓋の両端から漏れているものとしか思えない。考えが,甘かった。やはり短かったのだ。だが,この光線漏れさえ克服すれば,実用的に使えるようになりそうな手ごたえを得られた。
気を取り直して,遮光材を貼りかえた。さあ,もういちど試し撮りだ!と思ったが,先のコマがさいごの1枚だった。
また,「チェキ」フィルムを買ってくることにしよう。
これまで,V.P. TENAXで撮影するときは,暗室内で120フィルムをカットし,乾板ホルダにセットして利用するよりほかなかった。その方法でじゅうぶんな品質の撮影ができるのだが,乾板ホルダが1枚しかないので,1コマ撮影するたびに帰宅し,現像し,ホルダにフィルムを詰め替える必要があった。この方法では,光線漏れがあったときに,それを確認するだけでも大きな手間になる。
少々面倒ではあるがインスタントフィルムが使えると,その場で撮影結果が確認できる。「チェキ」フィルムを利用する方法は,きちんと確立しておきたいものである。
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