撮影日記


2015年06月02日(火) 天気:曇のち雨

「チェキ」フィルムをクラシックカメラで使える?
(クラカメ)
たしかめるには「まず買いより始めよ」

最近,Yahoo!オークションで,アトム判(4.5cm×6cmの乾板)のカメラのちょっと変わった出品があることを教えられた。出品者による出品物の説明によると,ちょっと工夫することで「チェキ」のフィルムで撮影できる,とのことである。ただしその工夫についての詳細は,語られていない。そのノウハウを含めての出品ということだろうか?
 ともあれこれまでも,大判カメラや中判カメラには,専用の「ポラバック」が用意されていて,サイズにあったインスタントフィルムでの撮影ができるようになっていたものだ。だから,「チェキ」フィルムを利用できる方法があってもおかしくない。

ディジタルカメラが普及して以降,カメラ店の店頭におけるフィルム売り場の占める面積が,ずいぶんと小さなものになってしまった。その少ない面積の大半は,カラーネガ,カラーポジ,モノクロなどの各種サイズをいちおう網羅している富士フイルムの製品が占めており,あとはわずかにコダックやイルフォードのモノクロフィルムが見られる程度というのが,現在のカメラ店におけるフィルム売り場である。
 10年くらい前であればまだ,フィルム売り場はそうとうな面積を占めていた。そこには,富士フイルムとコダックのカラーネガ,カラーポジ,モノクロフィルムがあり,35mmフィルムやAPSフィルム,ブローニーフィルムや大判シートフィルムもあった。イルフォードやフォマなどのモノクロフィルムや,DNPブランドのカラーネガフィルムもあったが,これらは35mmフィルムやブローニーフィルムが中心で,売り場の面積における割合は,あまり大きなものではない。富士フイルムやコダックのフィルムが目立っていたのは,種類の多さもあるが,大判シートフィルムが存在していたためである。これはとにかく,場所をとるのである。

そう考えてみると,売り場の多くを占めるのは,ポラロイドフィルムだったのかもしれない。ポラロイドフィルムは,とにかく種類が多い。カメラのシリーズごとに,違うフィルムが用意されているような印象を受けるくらいだ。だが,ポラロイド社は2008年夏に「インスタントフィルムの製造を終了する」ことを発表した(2008年7月17日の日記を参照)。そしてまもなく,店頭からポラロイドフィルムは姿を消した。それを待っていたかのように,カメラ店のフィルム売り場の面積は一気に縮小したのではないだろうか。
 インスタント写真には,撮影してすぐにプリントが得られるという大きなメリットがある。しかし,そのランニングコストは決して安いものではない。2008年の夏に買った「ポラロイド600」フィルムは,10枚撮りで2540円だ。1枚あたり254円というのは,ディジタルカメラのランニングコストと比較しようと思うことそのものが間違っているとしか言いようがない価格である。「撮影したその場ですぐに画像が確認できる」ディジタルカメラの普及と引き換えに,その役割を静かに終えたということになるだろう。
 その後,富士フイルムもインスタントフィルムのラインアップを大幅に縮小している。ついには,ピールアパートタイプの4×5判フィルムも終了した。

ところが,「チェキ」だけは元気なようである。

「チェキ」カメラの例 (instax mini 7)

「チェキ」は,1998年に富士フイルムから発売されたインスタント写真システムである。得られる写真は,従来の「フォトラマ」シリーズよりも小さなものであるが,そのかわりカメラが小型で携帯性に優れたものとなり,フィルムの価格も安く抑えられるという特徴があった。世間の「プリクラ」ブームに乗じる形で,人気商品になったようである。その後,ディジタルカメラの普及にあわせて人気が下火になった時期もあったが,最近,ふたたび人気が高まっていたという。いまでも安定して入手できるインスタントフィルムは,もはや「チェキ」のフィルムくらいである。
 小さいことが特徴の「チェキ」(instax mini)フィルムだが,全体の大きさは86mm×54mmで,画面サイズは62mm×46mmである。たしかにこの画面サイズは,6cm×4.5cmのアトム判のサイズにきわめて近いものである。「チェキ」フィルムをうまく使えるならば,私のてもとにあるアトム判カメラ,ゲルツ(C.P.Goerz)のヴェスト ポケット テナックス (Vest Pocket TENAX)を使える場面が,もっと増えるかもしれない。

アトム判カメラの例 V.P.TENAX (C.P.Goerz)

さっそく,ヨドバシ.comに「チェキ」フィルムを注文することにした。
 なにごとも実行するには,「まず買いより始めよ」である(笑)。
 10枚撮り1パックに2000円以上支払っていたポラロイドのフィルムや,ピールアパートタイプのフィルムにくらべれば,10枚撮り1パックを700円から800円くらいで買える「チェキ」のフィルムはたしかに買いやすいものである。


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