2013年07月06日(土) 天気：晴
恐れ入谷の鬼子母神
朝顔市に群れる望遠レンズたち
「鉄道空白地帯」という言葉がある。その周囲にくらべて，鉄道が利用しにくい状況にあるところを指すようである。もっとも，駅から何km以上離れている必要があるか，といったような定量的な定義があるわけではないようだ。
東京都台東区の千束という地域も，「鉄道空白地帯」とよばれることがある。今回は値段の安さに惹かれてこの地域に宿泊することにしたのだが，もっとも近そうな東京メトロ日比谷線の入谷駅までも2km弱の距離がある。浅草駅へも2kmほど，そのほかJRの鶯谷駅や南千住駅も徒歩で行けなくはない距離だが，2km以上はある。近くを「つくばエクスプレス」の線路が通るが，浅草駅から南千住駅まで，途中の駅はない。まあ慣れれば，適宜，都バスを併用すればいいのだろうけど。
入谷駅にも浅草駅にも2kmくらいあると，日々の通勤や通学には不便であろうが，たまに旅行で訪れる者の立場から見れば，入谷鬼子母神にも浅草寺にも，ふらふらっと歩いて行ける便利な場所だとみなすことができるというものだ。入谷鬼子母神(*1)というものがどこにあるどんなものかはよく知らなくても，古くから「恐れ入りました」と言うべき場面で「恐れ入谷の鬼子母神」というダジャレ的な言い回しがされることがあるので，その名前だけはだれにでもよく知られているものと思う。
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さて，その入谷鬼子母神の周辺ではちょうど今日から，多数の朝顔業者などが露店を出す「入谷朝顔まつり(朝顔市)」(*2)がはじまるという。昨夜は，JRの鶯谷駅に着き，そこから宿泊場所まで歩いたので，道路(言問通り)の両脇に屋台が設けられ提灯が飾られるなど，準備がすすめられているようすは眺められた。さて，実際に露店が営業を開始するとどんな雰囲気になるのだろうか。お散歩がてら，そのようすを見物しに行くことにした。会場は規模が大きいので，一通り眺めて回るだけでも，それなりの時間がかかったものである。
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関係者の方には申し訳ないが，残念なことに私には，「朝顔まつり」の楽しみかたがわからなかった(^^;
アサガオを買い求める人なども多くてにぎやかだし，一面に並べられたアサガオの鉢が独特の雰囲気を放っているのはおもしろい。しかし，アサガオのバリエーションはいろいろあるようだが，どこのお店も扱っているものはほとんど同じようである。さらに価格も統一されているようで，お店による差がわからないから，見くらべてもおもしろくない。なにより，明日は仕事を終えたら最終の「のぞみ」に駆けこまねばならないのでアサガオを買って帰るわけにはいかないという事情があり，それがさらに見物をつまらないものにしてしまっている。宅配便で送ってもらうことも可能なのだが，それはちょっと味気ない。
ともあれ，「朝顔まつり」はそもそも「朝顔市」なのであり，「見る」ための場ではなく「買う」ための場であるということについて，私の認識が不足していたのは間違いない。
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買わずに見るだけではいまひとつもの足りないと感じた朝顔市だが，カメラをもっている見物者も決して少なくなかった。まあ，私もカメラをもっていた見物者の1人なのだが(笑)。並べられた鉢植えのアサガオに向けられたカメラの多くは，いわゆるコンパクトディジタルカメラやスマートフォンなどの携帯電話機なのだが，それらに負けないくらいの数の，一眼レフのディジタルカメラの姿が見られた。ご高齢の方が多く使っているように見えたそれらの一眼レフのディジタルカメラには，同じような大きめのズームレンズがつけられている。ディジタルカメラだと，フィルムにくらべてかなりの高感度に設定して撮影することも可能だし，大きめのズームレンズには手ブレ補正機構が内蔵されていることも珍しくない。だから人ごみのなかで，三脚を使わなくてもきちんと写すことができるのだろう。混雑するなかで写真を撮ろうとする人たちにも恐れ入谷の鬼子母神だが，それを容易に実行できるようにしてしまうカメラの進歩も，恐れ入谷の鬼子母神なのである。
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＊１ 入谷鬼子母神 （台東区）
→http://www.city.taito.lg.jp/index/kitemite/abouttaito/kanko/shiseki/shitayahokubu/iriyakishimojin.html
＊２ 入谷朝顔まつり （下谷観光連盟・入谷朝顔実行委員会）
→http://www.kimcom.jp/asagao/
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撮影日記