撮影日記


2013年05月21日(火) 天気:はれ

ディスプレイに蘇る
広島県産業奨励館のある風景

夕方,平和公園に立ち寄ってみると,原爆ドームのまわりに足場が組まれていた。先週(5月13日)から作業がはじまったようで,耐震対策の検討を目的とする調査のためらしい(*1)。

そんな原爆ドームの対岸を歩いていると,こんな案内板があらわれた。

「スマートフォンで浮かび上がる 広島県産業奨励館」と,書いてある。「広島県産業奨励館」とは,「原爆ドーム」が現役の建物だったころの名称だ。1915年に「広島県物産陳列館」として建てられた後,「県下の物産品の展示・販売のほか、博物館・美術館としての役割も担って」きた施設である(*2)。さて,この案内板によれば,「AR dome」というアプリをダウンロードすることで,CGで描かれた「広島県産業奨励館」の姿を現在の風景に重ねあわせることができるらしい。AR(拡張現実)技術とよばれるものだな。これは,広島市立大学(*3)と広島市が共同でおこなっているプロジェクトとのこと。「お試しください」と書いてあるからには,さっそくやってみよう。

まず,アプリをダウンロードするのだが,私が利用しているスマートフォンの回線は,IIJmioの「ミニマムスタートプラン」という低速だが廉価な接続サービスである(2013年05月15日の日記を参照)。どれくらい低速かというと,最大200kbpsというものだ。一昔前のISDNやアナログモデムによる接続にくらべれば速いのだが,数MBのデータの転送にはそれなりに時間がかかるというものである。
 時間はかかるが無事にダウンロードおよびインストールが完了し,アプリを起動する。ところが画面には「Loading...」という表示がいつまでも続く。ダウンロードやインストールに失敗しているのか?と心配になるが,「Loading...」の間,ほかのボタン等が機能しない。エラーが発生したのかと,ますます心配が強くなったころ,ようやくアプリが起動する。
 起動すれば,指定のマーカーにスマートフォンのカメラをかざすことで,画面のなかに「広島県産業奨励館」のCGがあらわれる。マーカーが画面からはずれるとそのCGも消えてしまうので,CGがあらわれているときに「LOCK」する。そうすれば,画面内で「広島県産業奨励館」のCGの拡大・縮小や回転が,自由におこなえるようになる。CGを適当に調整したら,スマートフォンのカメラを「原爆ドーム」のほうに向けてみよう。現在の「原爆ドーム」に「広島県産業奨励館」のCGが重なれば,「広島県産業奨励館」のある風景が,現在に蘇ったことになる。

上の画像のうち,1枚目から3枚目はスマートフォンで撮影したものだ。そして4枚目は,従来の携帯電話機で撮影したものである。そう,通信料金を安くおさえるために「スマホとガラケーの2台持ち」をしているからこそ,こういう「スマホの画面をガラケーで撮影する」ということが可能になるのだ(笑)。
 もっとも,「AR dome」を楽しむには,画面の小さなスマートフォンではなく,もっと画面の大きなタブレット端末を使うほうがいいかもしれない。
 また,処理速度が遅い端末だと,「AR dome」の起動に時間がかかって,「ちょっと試してみよう」という気にならないかもしれない。その点が,ちょっとだけ「おしい」。だが,おもしろいアプリなので,時間に余裕があればぜひ試してみるといいだろう。せっかくこの「撮影日記」を読んでくださったのだから,さっそくアプリをインストールして準備を済ませてから,平和公園に行ってみてはどうだろうか。

*1 原爆ドームの壁の調査について (公益財団法人広島観光コンベンションビューロー,2013年5月13日)
http://www.hiroshima-navi.or.jp/news/2013/05/398138.php

*2 原爆ドーム (広島平和記念資料館)
http://www.pcf.city.hiroshima.jp/virtual/VirtualMuseum_j/tour/ireihi/tour_38.html

*3 AR dome (広島市立大学大学院情報科学研究科知能工学専攻画像メディア工学研究室/コンピュータグラフィックス研究室)
http://www.ime.info.hiroshima-cu.ac.jp/~ar-dome/


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