撮影日記


2024年10月03日(木) 天気:小雨

小雨のなかのヒガンバナ

先日,使ってみたOLYMPUS E-300というデジタルカメラに対しては,「コダック製のCCDを使っているから,コダックブルーが魅力的である」とする評価を見かけることがある。言うまでもないが,デジタルカメラでJPEG出力される画像がどのようなものになるのかは,その撮像素子だけに依拠するものではない。カメラに内蔵された画像処理のソフトウェアがどのような処理をするかという影響が大きいことは,よく知られているはずである。OLYMPUS E-300から出力される画像については,たしかに鮮やかに感じられることがある。それを表現するには,「コダックブルー」という言葉ではなく,「オリンパスブルー」というほうが,その現象をいくらかは適切に表現しているのではないだろうか。
 それにも関わらず,「コダックブルー」がどうのこうのという,先のような評価が出てくることには,いろいろな理由が考えられる。理由の1つに,「コダック」という名称に対しての,ロマンのようなものがあるのではないだろうか。コダックは,かつては写真の技術的な発展に大きくかかわってきた存在である。しかし,経営上の問題が起こって,かつてのような勢いが感じられなくなっている。そこにロマンのようなものを感じる人があるのだろう。これをあえて口悪く表現すると,「コダックと言いたいだけだろう」ということになるのかもしれない。
 しかし,「コダックブルー」という表現を強く否定する意見を見かけることは少ない。そこにはそれなりの,根拠らしきものが存在するためである。世界で初めて市販されたデジタル一眼レフカメラとされる1991年のKodak DCS 100では,1280ピクセル×1024ピクセルのM3という撮像素子を使っていた。そのつぎのKodak DCS 200では,1012ピクセル×1512ピクセルのM5という撮像素子,1994年のKodak DCS 460では2036ピクセル×3060ピクセル,つまり600万画素のM6という撮像素子を使っていた。このように,撮像素子自体の改良も進んでいたのである。1998年〜1999年のKodak DCS 520,620,560,660では,M15やM16という撮像素子に進化した。これら進化した撮像素子は,従来のものより青の感度が優れていることがアピールされていた。おそらくはこれが,「コダックブルー」という表現のもとになったのではないだろうか。
 「コダックブルー」という表現を否定する意見を見かけることが少ないのは,こういう一定の根拠があるからという事情もあるだろうが,そんなことにこだわってもつまらない争いにつながるだけだから,あえて相手にしないというケースもあるとは思う。

今日は,「コダックブルー」の根拠になる以前の撮像素子を使った,Kodak DCS 460で撮ってみよう。

Kodak DCS 460, AF Zoom-NIKKOR 28-100mm F3.5-5.6G

小雨が降っているが,傘をささなくてもがまんできる程度の降り方である。強い影ができず,べったりとした写りになってしまっている。Kodak DCS 460で撮影した画像データは,いわゆるRAWデータなので,花の赤色と背景の緑色とがそれぞれはっきりする程度に調整を試みた。色が変に偏らず,彩度がいたずらに高くなりすぎないようには,気をつけたいところである。

Kodak DCS 460, TAMRON SP 90mm F2.5 (52B)

この日記でも何度か紹介しているが,Kodak DCS 460には高感度モードが隠れている。カメラ本体の感度設定をISO 800以上にすると,ISO 3200相当の感度で撮影ができてしまうのである。もちろん,カメラ本体の感度設定をISO 3200にしておくと,ほぼ適正な露出が得られる。ただ,ISO 3200に設定しても,レリーズするたびに,感度の設定が本来のISO 80に戻ってしまう。また,高感度モードで撮影したときは色のノイズがすさまじいものになる。だからこの機能は,用意してみたものの,実用にならないとして封印されたのではないかと思っている。高感度モードに入ってしまうのは,いわゆる隠しコマンド的なものなのかもしれない。もしかすると,ソフトウェアのバグによるものなのかもしれない。

Kodak DCS 460, AF Zoom-NIKKOR 28-100mm F3.5-5.6G

この高感度モードは当然のように,昼間の屋外の風景を撮るのには適さないである。

Kodak DCS 460, AF Zoom-NIKKOR 28-100mm F3.5-5.6G

← 前のページ もくじ 次のページ →