撮影日記


2024年10月01日(火) 天気:晴

ようやく咲いたヒガンバナ

「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので,先週になってから明け方は急激にひんやりとするようになってきた。それでもいまだに残暑は続き,よく晴れた日中は30℃近くまで気温が上がる。それでも,連日のように35℃あるいはそれ以上の暑さを経験したあとだと,30℃を下回ると涼しく感じるものである。本来は30℃近い気温はじゅうぶんに暑いはずなのだが,慣れというものはまったく恐ろしいものである。
 ひんやりとする日を過ぎたせいか,ようやくヒガンバナの花が咲きはじめた。10月になってからようやく咲いたのは,遅いといえば遅いのだが,この夏が例年になく暑い日が続いていたことを思えば,遅いといってもこの程度かという印象である。

いまさらであるが,マウントアダプタを1つ購入した。なにが「いまさら」なのかというと,フォーサーズ(4/3)カメラ用のマウントアダプタなのである。いわゆるミラーレスカメラのマイクロフォーサーズカメラではない,一眼レフカメラのフォーサーズカメラに,ニコンFマウントのレンズを装着するためのマウントアダプタである。

いまさら,こういうマウントアダプタを購入したのは,このレンズを,小さな撮像素子のカメラで使いたくなったからである。

このレンズには,医療機器を発売する「STORZ」の銘が入っており,モデル名らしい「593-T2」という文字も刻まれている。形状などから察するに,内視鏡に接続して撮影するためのレンズだと思われる。ピントリングには∞以外の目盛りはないが,おおよそ0.35mの最短撮影距離から無限遠まで連続的にピントの位置を調整できる。また,焦点距離を70mmから140mmまで連続的に変化させることができる。これらのスペックだけをみれば,「望遠マイクロズームレンズ」とよんでもよさそうなものである。これを入手したとき,店頭では「オリンパスOM用」として売られていた(2006年3月30日の日記を参照)。内視鏡システムといえばオリンパスというイメージがあったので,この種の製品はどれもすべてがオリンパスのカメラにあわせていても不思議はないと思っていたものだ。しかしのちに,このレンズはTマウント交換式であることがわかった。その後はもっぱら,ニコンFマウントにつけかえて使うようにしている。
 このレンズは本来,ライカ判のフィルムカメラで使うことを想定していたはずだが,実際にライカ判のカメラに装着して使うと,焦点距離を短い側にすると四隅がケラレるようになる。いわゆるAPS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラで使っても,もっとも短い70mmにすると,やはり四隅がケラレる(2016年5月12日の日記を参照)。

レンズの先端には,内視鏡へ接続する部分があり,この穴が狭いものになっている。焦点距離を変えるときのレンズの動きを観察すると,焦点距離が短いほうに動かすとレンズが手前に下がる(レンズの先端から見ると,奥に引っこむ)ようになっている。そのために四隅がケラレすようになるわけで,レンズそのもののイメージサークルが小さいわけではないようだ。ともかく,ライカ判サイズで撮影するカメラでは,長焦点側のほうしか使えない。

ケラレの影響を受けない,小さなサイズで撮影するカメラで使えば,焦点距離が70mmから140mmの全域を使うことができる。撮影倍率の微妙な調整なども自由にできるようになる。撮像素子の小さな,フォーサーズカメラで使うべきレンズだと判断した。
 一眼レフカメラのフォーサーズカメラは,結果としていわゆるミラーレスカメラのマイクロフォーサーズカメラに移行したといえる。デジタルカメラでは,液晶モニタをファインダーのかわりに使えるならば,カメラが一眼レフ形式である必要がない。そのことは,はじめてRICOH DC-3というデジタルカメラを使ったときに理解したつもりである。ただ,当時のデジタルカメラでは,まだ時期尚早だったかもしれない。当時のデジタルカメラに搭載された液晶モニタは明るいところでよく見えず,反応が遅くて動く被写体を追いかけにくく,バッテリーがすぐに消耗するような状況だったので,液晶モニタを見なくてすむ一眼レフ形式が都合よいと思っていただけである。ともかく,一眼レフカメラがいわゆるミラーレスカメラに変化していくことは,デジタルカメラとして当然の流れであろう。
 OLYMPUS E-300は,一眼レフのフォーサーズカメラのシリーズにおける,エントリーモデルである。そのために,不満に感じるところも多々ある。もっとも腹立たしいのは,ファインダーの見え具合の悪さである。ともかく,狭い。
 フォーサーズ規格の画面は,縦横比が4:3であり,見慣れたライカ判の3:2よりも横幅が短いため,ともかく狭いのである。そのうえ,ピントの山が見えにくい。一方で,OLYMPUS E-300はキットレンズの写り具合も含めて,得られる画像は鮮やかに感じられ,そこは魅力的である。だから,使い心地はよくないものの,なにかこのカメラでなければという使い道を見つけたいのであった。あっさりと見捨ててしまうのは,惜しい。

OLYMPUS E-300, KARL STORZS 593-T2

まずは,ようやく咲きはじめたヒガンバナで試し撮りである。マウントアダプタを使って取りつけたKARL STROZ 593-T2レンズでの撮影結果は,妙に眠い感じの画像であった。JPEG記録した画像であるが,AFFINTY PHOTOで少し補正をしてみたものである。

OLYMPUS E-300, KARL STORZS 593-T2

レンズを望遠側にすると,ファインダー内の画像はほとんど中心付近の円形しか見えない。だけど,記録される画像にケラレなどなく,周辺まで良好である。もっともイメージサークルの中心しか使っていないはずなのだから,それは当然であろうか。
 それにしても,やはり「このファインダーは,ヒドイ」とは言いたい。
 オリンパスのフォーサーズカメラは,「撮像素子が小さいわりには,レンズもボディも大きい」と批判的に語られることがある。実際に,小さい撮像素子を採用したのだから,もっともっと小型化に注力してくれていてもよさそうな気がするが,実際に手にすると小さすぎてもかえって使いにくいものであり,OLYMPUS E-300は使いやすいほどよい大きさであると感じる。このカメラは,いにしえのハーフサイズ一眼レフカメラであるOLYMPUS-PEN Fシリーズと同じような「横に振れるミラー」を使用しており,カメラの上面にペンタプリズムがはみだしていない。そのため,カバンへのおさまりも悪くない。

ただ,ライカ判サイズ(あるいはそれ以上のサイズ)のフィルムカメラに慣れてきた身としては,小さい撮像素子のカメラは,もっと小さくあってほしいと思うのであった。それであれば,ファイだーの見え具合などは,ガマンできるかもしれない(ガマンできないかもしれない)。


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