撮影日記


2024年08月30日(金) 天気:曇時々雨

ローライフレックスを簡易的に調整する

大型で勢力が強い台風10号が,今日,広島に接近すると報じられている。週のはじめころは,水曜日あたりが大雨や強風のピークになると予想されていたが,進路の予想が少しずつ西にずれ,それにつれて広島への接近も遅くなってきた。そして今日は,JR在来線の全線,広島電鉄の電車や市内バスなど,アストラムラインを除いたほとんどすべての公共交通機関が計画運休で,終日運転を見合わせている。山陽新幹線も,広島駅から西側の区間が終日運休している。
 ところが,なかなか強い雨は降らない。風もあまり強くならない。夕方には大雨警報も発令されたが,結果としてあまり大雨にもならず,台風は過ぎ去っていった。ただ,線状降水帯などの豪雨災害はわりとピンポイントに発生する場合も多い。近隣の市町村では実際に大雨が降っていたところもあるし,同じ広島市内でもすこし場所が違えば,状況が大きく違ったりすることも珍しいことではない。

中判カメラでよくある形態の1つに,二眼レフカメラというものがある。撮影用のレンズが下に,ファインダー用のレンズが上に,縦に2つのレンズが並んでいる,縦長の外見をしている。ファインダーが上部にあって,それをおじぎするように覗き込んで撮ることになる。このような形態では,カメラを縦にしたり横にしたりして撮ることが困難であるが,二眼レフカメラのほとんどは,6cm×6cm判という,正方形の画像を記録するようになっている。縦位置も,横位置も関係ないのである。
 二眼レフカメラの代表的なものに,ドイツ製のローライフレックスというものがある。ローライフレックスというと,高価な二眼レフカメラというイメージをもたれるかもしれない。しかしそれは,F2.8という明るいレンズが装着された後期のものであり,比較的初期のものはかなり安価に入手することができる。わたしが入手しているローライフレックスは,30年くらい前に,海外通販で100ドルくらいで買ったものである(送料別)。シリアル番号によれば1945〜1949年ころの製造と思われるもので,F3.5のTessarレンズがついている,ROLLEIFLEX Automatというモデルになる。

ROLLEIFLEX Automatの大きな特徴として,フィルムを装填しクランクを巻き上げていけば,自動的に1コマ目で止まって撮影がはじめられる「オートマット機構」をそなえている点がある。このカメラで使う120ロールフィルム(いわゆるブローニーフィルム)は,遮光性の紙が巻かれていて,途中からフィルムが貼り付けられている。フィルムの裏にこの遮光性の紙が位置することから,この紙は裏紙とよばれている。カメラに装填するときに,このようにローラーの間にフィルムを通すわけだが,巻き上げていくと途中からフィルムのぶんだけ厚みが増すので,フィルムのはじまりが検知できるというものである。

また,巻き上げ動作とシャッターチャージが連動した「セルフコッキング」にもなっている。ピント調整は「レンズボード繰出式」で,セルフタイマーも内蔵されている。二眼レフカメラとしては,高機能なカメラである。ところが,この夏休みに久しぶりに使ってみようとしたところ,フィルムの開始がうまく検知されずに,フィルムを正しく装填することができなかった(2024年8月15日の日記を参照)。
 このカメラを入手したとき,オートマット機構についての気をつけるべき点があることを耳にした。発売当時のフィルムにくらべると現代のフィルムは薄いので,オートマット機構がうまくはたらかない,とのことである。そこで,使い終わった120フィルムの裏紙をこのようにフィルムを通すぶぶんにはさんでおけばよいとのことであった。こうすることによってフィルムのはじまりを検知して,撮影に使えるようになっていたのである。この夏休みに使おうとしたときには,この部分の調子が悪くなっていたようなのである。
 そこで,ここにはさんでおく裏紙を交換してみた。するとこんどは,フィルムのはじまりを検知するようになった。相当に細かな,厚さの変化を検知しているようである。とりあえずこれで,またしばらく,ROLLEIFLEX Automatでの撮影を楽しむことができそうである。ここにはさみこむ裏紙は,定期的に交換するようにするのがよいのだろう。

一方で,フィルム装填時に裏紙のスタートマークをあわせれば,あとは自動巻き止めになる「スタートマーク式」や裏紙に印字された数字を見ながらフィルムを送る「赤窓式」とよばれる二眼レフカメラには,操作ミスをしてしまう可能性もあるわけだが,オートマット式のような故障の心配がないのは大きな魅力である。


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