撮影日記 |
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2020年10月14日(水) 天気:はれKodak DCS 200は復活するか?Kodak DCS 200を保護することができた。 1990年代における初期のデジタル一眼レフカメラは,ほぼKodakの独壇場であったと言える。1991年に発売されたKodak DCS 100は,Nikon F3の裏蓋部分に撮像素子をおき,データを記録するユニットとケーブルで接続されたものだった。つづいて1992年に,Kodak DCS 200が発売される。これは,市販されたデジタル一眼レフカメラとして,はじめてデータ記録部とカメラ部とが一体化されたものである。そして,Kodakは2004年まで,多くのデジタル一眼レフカメラや,中判カメラ用のデジタルバックなどを出荷していった。
1994年に発売されたKodak DCS 460は,一体型のデジタル一眼レフカメラとしてはじめて,600万画素の撮像素子を使用したものとなった。同時に,150万画素撮像素子をもった下位モデルKodak DCS 420やDCS 410などもラインアップされ,これらDCS 4**シリーズの出荷台数は5000台以上とされている。 この数値は,Kodak DCSシリーズの設計にかかわったJim McGarvey氏が記録した文書("The DCS Story")に記されたものであるが(2019年11月4日の日記を参照),実際にインターネットオークション等で見かける製品のシリアルナンバーを観察すると,12000台くらいは流通しているのではないかと思われる(2019年11月3日の日記を参照)。 Kodak DCS 200は,いまとなってはかなり貴重な存在だと思うので,「動かなくてもいい」と考えて落札した。とはいえ,動くかどうかの確認は,ぜひしておきたい。 意外なことに,なかから出てきたものは,電池ボックスであった。単3型の電池を6本いれられるようになっている。電池を抜きやすくできているせいか,電池が腐蝕して内部を傷めたような跡はない。とりあえず,手元にあった電池を入れてみたところ,回路はまだ息をしているように思われる。 このように表示が乱れるのは,電池の電力が不足していることをあらわすものと考えられる(2016年1月14日の日記を参照)。あとで,じゅうぶんに充電したNi-MH電池を装填したところ,カメラは無事に起動した。 起動したのでカメラをレリーズしたところ,ハードディスクドライブが動き出したような音が聞こえてきた。ここまでの動きは,問題なさそうである。しかし,しばらくするとディスプレイにはE2のエラーが表示された(E2 indicates failure of the disk to start (*1))。残念ながら,内蔵されているハードディスクドライブが故障しているようである。 内蔵されているハードディスクドライブは80MBのものだが,SCSIタイプのため,Windowsパソコンなどで使われているIDEタイプのハードディスクドライブを流用することができない。ずっと以前に入手した,Libretto 20でハードディスクドライブのかわりにCFカードを使うためのアダプタ(2010年1月10日の日記を参照)が流用できれば,記録した画像を転送する問題も解消するのだが,もちろんこれも使えない。なお,SCSIタイプのハードディスクドライブのかわりにCFカードやSDカードを使うアダプタも売られているようだが,ちょっと試しに手を出すには,少々敷居の高い価格が設定されている。 残念だが,今のところは,ここまでだ。ちょうどあうハードディスクドライブとの「よい出会い」を期待することにしよう。それまで,復活に関しては塩漬けの案件となる。 さて,Kodak DCS 200と,Kodak DCS 4**とをくらべてみたとき,外見はよく似ている。しかし,細かいところはずいぶんと異なっている。 まず,先述のとおり,使用する電池が異なる。Kodak DCS 4**では8本のNi-Cd電池を組んだものが内蔵されていたのに対し,Kodak DCS 200では6本の単3電池を電池ボックスに装填して使うようになっている。"The DCS Story" (p.21)では「AA NiCd」と表現されているので,アルカリ乾電池ではなくNi-Cd電池の使用が想定されていたようである。また,Kodak DCS 4**ではデジタル部からカメラへ電源を供給するようになっていたが,Kodak DCS 200では,デジタル部とカメラ部の電池は独立している。 つぎに,組み合わせて使うカメラが異なる。Kodak DCS 4**ではニコンF90シリーズのカメラと組み合わせていたが,Kodak DCS 200ではニコンF-801シリーズのカメラと組み合わせて使う。Kodak DCS 4**ではニコンF90シリーズの特徴でもある10ピンターミナルとケーブルで接続するが,Kodak DCS 200はデータバック用の端子を利用してデジタル部とカメラ部とを接続する。 先述のように,内蔵のハードディスクドライブが故障しているため,撮影できる状況にはなっていない。復活への道は,まだ険しく,見通しもよくない状況である。その点は残念であるが,貴重な存在となっていると思われるKodak DCS 200を確保できたこと,そして,たまには実用しているKodak DCS 4**との相違点などが確認できたことについては,じゅうぶんに満足している。
*1 KODAK Professional DCS 200 Digital Camera User's Manual (6-42) (Eastman Kodak Company) |
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