撮影日記


2020年06月21日(日) 天気:曇のち晴

よく晴れた部分日食の日

今日は夕方に,部分日食が見られた。前回は,2019年12月26日に起こっていたが,残念ながら雨天であり,太陽を姿を見ることはできなかった。その前,2019年1月6日の部分日食は,厚くかかった雲を通じて,太陽のかけた姿をかろうじて確認することができたので,1年半ぶりに日食を見ることができたのである。ただし,広島近辺で次に日食を見ることができる機会は,2030年までない。今回は貴重なチャンスであった。
 午前中は曇りがちな空模様であったが,日食が予報されている夕方までには,雲がずいぶんと薄くなっていた。絶好の,日食見物日和である。

日食は,ちょうど太陽の前を月が横切る現象である。このとき,月によって太陽が隠されるため,太陽が欠けて見えることになる。太陽が欠けて見えるとはいえ,それでも太陽の光は強烈であり,直接,太陽を見ると目を傷めるだけで,太陽が欠けた状態を見ることはできない。適切に太陽の光を弱める道具が必要であり,たとえば日食グラスというものが売られている。

カメラを使って日食のようすを撮影するときも同様である。適切な方法で減光しなければ,露出オーバーになるだけではなく,デジタルカメラであれば撮像素子を壊してしまう危険性がある。また,その状態でファインダーを覗くと,目を傷める危険性もある。
 減光のために,以前はまっ黒に露光させたカビネサイズのNEOPAN SSを使ったことがある(2009年7月23日の日記を参照)。その後,ND400という減光フィルタを入手したので,今日はこれを使うことにする。ND400は8 2/3段分の減光効果をもつフィルタである。しかし,太陽光の撮影にはこれでは足りない。さらに,3段分の減光効果のあるND8と2段分の減光効果のあるND4も併用する。要は,手元にあるNDフィルタを寄せ集めただけである。
 撮影用のレンズは,ニコンおもしろレンズの「どどっと400」(400mm F8)を使うことにした(*1)。このレンズを使用する理由の1つは,400mmというじゅうぶんに長い焦点距離をもっていることである。そして,開放F値がF8と明るくないので,太陽の撮影に好都合である。このレンズを使用する最大の理由は,フィルタ径が52mmであることだ。今回の撮影でもっとも重要なND400フィルタの径は58mmなので,これよりもフィルタ径の小さなレンズを使わなければならないのである。

52mm→58mmのステップアップリングを使って58mm径のND400を取りつけ,そこに58mm→72mmのステップアップリングを使って72mm系のND8を取りつける。これ以上のステップアップリングをもっていないので,77mm径のND4をパーマセルテープで止める。パーマセルテープは,万能である。
 このように減光用のフィルタを取りつけた「どどっと400」を使い,Nikon D300で撮る。

Nikon D300, Nikon amusement lens 400mm F8, ND400+ND8+ND4

ときおり薄い雲が太陽の前を横切るものの,全体としてよく晴れており,シャープな像を得ることができた。
 つぎに広島で日食が見られるのは,10年後のこととなる。梅雨の時期にもかかわらずよく晴れてくれたのは,ありがたかった。

*1 第五十四夜 ニコンおもしろレンズ工房 Part2(ぎょぎょっと20/どどっと400) (株式会社ニコン)
https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0054/index.html


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