撮影日記


2019年07月22日(月) 天気:雨

CASIO QV-10Aを活用するには

1991年にKodakが発売したKodak DCS 100は,世界ではじめて発売された,デジタル一眼レフカメラであるとされている。これは,Nikon F3にデジタル回路のユニットを接続したものであった。1992年にはNikon F-801を利用した一体型のデジタル一眼レフカメラ,Kodak DCS 200が発売されている。さらに,1994年には,パック式のハードディスクドライブ(PCMCIAカード型)を採用したKodak DCS 400シリーズも発売され,報道や印刷など業務の分野で,デジタルカメラが広く使われるようになりはじめた。
 一般の消費者向けの製品として,デジタルカメラが広く使われるようになったのは,1995年に発売されたCASIO QV-10以降のことである。

現在,これらの古いデジタルカメラ本体だけを入手しても,そのままでは使えないことが多い。デジタルカメラで撮影し,そのデータを利用するためには,乗り越えるべき壁が3つある。

1つ目は,電源の問題である。
 専用のバッテリーパックを利用する製品ならば,そのバッテリーパックを入手しなければならない。現行のデジタルカメラ等との互換性がない場合,メーカーからの純正品の供給は,とうに終了しているだろう。また,バッテリー専業メーカー等による互換製品も,すでに販売されていない可能性が高い。

2つ目は,記録メディアの問題である。
 現在でも入手が容易な,ある程度以上の容量をもつSDカードやCFカードなどが使えるとは限らない。

3つ目は,データ転送の問題である。
 撮影した画像データをコンピュータに取りこむとき,メモリカードリーダを使う方法がある。いま入手しやすいメモリカードリーダでは,古いタイプのメモリカードに対応していないとがある。また,メモリカードを使わずにカメラに内蔵されたメモリやハードディスクに記録されるタイプの場合は,専用の接続ケーブルやそれに対応した端子をもつコンピュータと転送用のソフトウェアが必要になる。

CASIO QV-10は,一般の消費者層にデジタルカメラの存在を知らしめることになった,歴史的に重要な製品である。翌年にマイナーチェンジされたため,CASIO QV-10そのものは,今となっては見かけることが少なくなった。私が入手できているものは,CASIO QV-10ではなく,マイナーチェンジされたCASIO QV-10Aである(2016年12月8日の日記を参照)。
 入手したものは本体のみなので,CASIO QV-10Aを実際に使うには(CASIO QV-10と同様に)大きな壁が立ちはだかる。
 まず,電源については,問題ない。CASIO QV-10Aは,単3乾電池4本で動作する。
 記録メディアについても,問題ない。CASIO QV-10Aは,内蔵されたメモリに撮影した画像を記録する。
 問題となるのは,データの転送である。

CASIO QV-10Aが発売された当時のパーソナルコンピュータには,USB端子がない。したがって,CASIO QV-10AにもUSB端子がない。CASIO QV-10Aのデジタル出力端子は,ステレオミニミニジャックを利用したものである。RS-232C等の規格に準拠していたとしても,配線がわからなければ,自作もできない。そもそも接続したところで,ファイルを転送するためのソフトウェアの自作は,私にはとても無理である。
 当時は,専用のパソコン接続ケーブルと転送ソフトウェアのセットが発売されていたが,いまとなっては入手できない状況だ。
 インターネットオークションなどを注意深く観察し,「よい出会い」を待つしかないのである。

「よい出会い」は,突然にやってきた。

CASIO QV-10Aで撮影した画像をコンピュータに転送するために必要な機器が,出品されていたのである。しかも,お手軽な即決価格が設定されており,レターパックを使うとのことで送料も安い。迷う必要など,どこにもない。

CASIO FD-10という,フロッピーディスクドライブである。
 これは,CASIO QV-10で撮影した画像データをフロッピーディスクに書きこんだり,フロッピーディスクに書きこんだ画像データをCASIO QV-10本体に書き戻したりするための製品である。

もちろん,電源アダプタ,CASIO QV-10本体との接続ケーブルも付属していた。取扱説明書もあるのだから,問題ない。
 ただし,心配な点もある。フロッピーディスクドライブという装置は,経年劣化で読み書きが不安定になりやすい。この製品は,大丈夫だろうか。

とりあえず,電源はONになった。

まず,フロッピーディスクの初期化を試みた。途中でエラーが出ることもなく,初期化は無事に完了。

これで,CASIO QV-10Aで撮影し,その画像を自分の目で評価できるようになるのだ。


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