2018年08月29日(水) 天気:晴
「ラジオ用天気図用紙」を買いに気象庁へ
今日は,都内で仕事がある。ただ,その前に,私用ではあるが,ちょっと立ち寄っておきたいところがある。そのため,宿泊場所を神田に選んだのである(2018年8月28日の日記を参照)。
首都高速の下の,川端緑道というところを通って,目的地へ向かう。
Nikon D5000, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR
昨夜,最終電車が終わったころでも,まだ人の姿はあった。一夜明け,通勤の時間帯を過ぎたいま,表通りを歩く人はあっても,この緑道を歩く人はあまりいない。
緑道には,かつての武家屋敷の跡であることを示す碑が見られたり,「アーバンエコファーム」(ビニルハウスのようななかで,周辺のビルからの排水等を利用して野菜などを栽培しているとのこと)といったおもしろそうな試みが見られたり,時間のつぶせそうな場所である。
Nikon D5000, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR
東京管区気象台の「旧 植物季節観測用標本」のソメイヨシノを見て,かつては,この場所にあるこの木を見て,サクラの開花を宣言していたんだな,などと思いをはせるのもよいだろう。
Nikon D5000, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR
ということで,気象庁へ到着。
目的は,気象庁庁舎内の書店で,「ラジオ用天気図用紙」を購入することである。
「ラジオ用天気図用紙」は,ラジオで放送されている「気象通報」放送を聞いて,そのデータを書きこんで天気図を作成するための用紙である。
最近は,Webで天気図のほか,気象衛星画像,AMeDASや気象レーダのデータなどがお手軽に参照できるようになっている。海上や高山であって,小さな機器1つで入手できる。
だから今さら,ラジオを聞いて天気図を書くような需要は,ほとんどないだろう。「気象通報」の回数は,大きく減った。私が知るかぎり,かつては,NHK第2放送で1日3回,ラジオたんぱ(現在の「ラジオNIKKEI」)で1日2回の放送があった。いまはNHK第2放送で16:00から,その日の12時発表分の内容が放送されているのみである(*1)。季節によっては,ラジオたんぱでは700mb等圧面の高層気象通報が放送されていたこともあったのだから,じつに寂しくなったものである(*2)。
それに伴うように,書店から「ラジオ用天気図用紙」の姿も消えた。
7月28日の夜から7月30日の朝にかけて,日本列島に接近した台風12号は,「逆走台風」とよばれた。
日本列島に接近する台風は,日本のはるか南方海上で発生後,西あるいは北西方向に進む。沖縄付近で進路を北あるいは北東に変え,日本列島付近を西から東へ通り抜ける。なかには発生後,まっすぐ北上するものがあったり,日本の南海上で迷走するようなものがあったりするが,日本列島に接近した台風は最終的に,西から東へ通り抜けていく。
ところがこの台風12号は,小笠原諸島付近から北上し,関東・東海地方から,近畿・中国地方を通って,九州へ通り抜けていった。日本列島付近における台風の一般的なコースとは,まったく逆の動きをしたのである。
だから,「逆走台風」である。
台風のこのような動きが予想されるようになったころから,この台風の動きを記録しておきたくなった。そのためには,天気図を書いておくのがよい。しかし,もう何年も「ラジオ用天気図用紙」を買っておらず,家のどこかに残っているのかどうかもわからない。
だから,購入しようと考えた。
しかし,売っていないのである。書店では取り寄せできなくなっているようなので,amazonを覗いてみた。そこでは,本来の価格よりも大幅に高い値付けのされた「中古品」が出品されているのみである。
もしや,「ラジオ用天気図用紙」の発行が終了してしまっているのだろうか?
さがしてみたところ,気象庁の庁舎内にある書店に,在庫があることがわかった。通信販売もしてくれるようだが,送料が少々高く感じる。そんなときに東京へ行く予定が出てきたので,この機会に買いに行くことを決めたのである。
その書店へ行くためには,気象庁の庁舎に入れてもらわねばならない。
入り口で用紙に名前を書いて,守衛さんから入館証をもらわねばならない。用紙に記入するのは名前のほか,目的(今回は「書店」という選択肢にマルをつけた),所属,電話番号が必要である。今回はあくまでも私用なので,会社名を書くわけにはいかない。そういう場合は,所属ではなく住所を書くように,とのことであった。
*1 気象通報 (日本放送協会)
→http://www4.nhk.or.jp/P2590/
現在,気象通報の放送は,NHK第2放送ラジオで1日1回だけである(20分間)。16時から,12時発表のデータを放送している。
以前は,9時10分(6時発表),16時(12時発表),22時(18時発表)のように,NHK第2放送ラジオで1日3回の放送があった。
天気図用紙として,データ記入欄があるが地図の範囲が狭い「1号用紙」と,データ記入欄がなく地図の範囲が広い「2号用紙」とがあった。
*2 気象通報〜安全を守るラジオの役割 (ラジオNIKKEI)
→http://www.radionikkei.jp/60th/date/20140602/
私がよく天気図を書いていたころ,ラジオたんぱ(現在のラジオNIKKEI)でも,5時30分(3時発表)と12時20分(9時発表)のデータが放送されていた。
早朝の放送は,「風力」ではなく「風速」で放送され,範囲が日本沿岸地域に限られるものであった。それに対し,お昼の放送では,通報範囲が観測地,船舶からの報告も,2号用紙で書ききれないような広い範囲のものだった。いずれも放送時間が短いため,通報がかなり早口であり,聞きながら書き込むのはそうとうな慣れが必要である。
このほか,いわゆる夏山シーズン,冬山シーズンなどには,早朝の気象通報とつづけて,700mb等圧面の高層気象通報も放送されていた。専用の「3号用紙」が発売されていたが,私は見たことがない。私が使っていたのは,岳(ヌプリ)書房というところから発売されていた用紙である。
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