2018年05月23日(水) 天気:雨
名レンズ タムロン52B
あくまでも個人的な印象で語るが,かつてタムロンやシグマなどの「交換レンズメーカー」のレンズは,ニコンやキヤノンなどの純正レンズにくらべて,低く見られる傾向があった。もし,性能がまったく同じであるならば,タムロンやシグマという「カメラに詳しい人しか知らない」ブランドの製品よりも,ニコンやキヤノンという「多くの人が知っている」ブランドの製品を選ぶのは当然のことだろう。一般の消費者に交換レンズメーカーブランドを選んでもらうためにはおもに,純正レンズにくらべて大幅に安価な製品を発売したり,純正レンズにはラインアップされていないような製品を発売することになる。
そのような状況のなかで,タムロンが発売したTAMRON SP 90mm F2.5は,いたずらに低価格や数値上のスペックを追求したようなものではなく,独自の高性能を追求したレンズとして知られるようになる。
このレンズは雑誌等での評価も高く,ずっと以前に実際に愛用している人からしばらく借りて使ったこともあるが,ピントがあったところのシャープさにくわえて,ピントがあっていない場所がとろけるようにボケて写る点が,とても魅力的に思えたものである。そのころの私はニッコールレンズをそろえることを優先していたので,まずは,Ai Micro-NIKKOR 200mm F4を買い,つづいてAF Micro-NIKKOR 105mm F2.8Sを買った。TAMRON SP 90mm F2.5が見せてくれる「とろけるようなボケ」は得られないが,なにより写りがシャープであり,いわゆる望遠マクロレンズなのでそれなりにボケてくれる。私自身にとっては,十分な性能であった。
最近になって,TAMRON SP 90mm F2.5の「とろけるようなボケ」を再確認したくなった。
中古カメラ店を覗くときにも意識していたが,古いレンズであり流通する数が減ってしまっているのだろうか,意外とみかけなくなっている。
TAMRON SP 90mm F2.5には2種類(52Bと52BB)あり,鏡胴のデザインは大きく異なるが,どちらも6群8枚構成で1/2倍までの撮影に対応している。ただし旧型(52B)は等倍撮影のためにテレコンバータの使用が想定されているのに対し(*1),新型(52BB)は専用のエクステンションチューブの使用が想定されている(*2)ので,光学系にもなんらかの変更がくわわっているのであろう。なお,等倍撮影に対応するようになったTAMRON SP 90mm F2.8 (72B,72E)は9群10枚構成となり(*3,*4),そのせいか「とろけるようなボケ」がやや弱くなったように感じた。ただしこれも,ほんの少し借りて使っただけの印象である。
ともあれ,52Bでも52BBでもよいから,TAMRON SP 90mm F2.5を入手しようと考えたのである。
中古カメラ店のほか,インターネットオークションも気にかけるようにしていた。しかし,同じようなことを考える人がほかにもいるのだろう。出品があってもそれなりに競合者があらわれて価格があがり,(専門店で購入するなら納得できるが)見ず知らずの個人から購入するには躊躇してしまう。
そんなとき友人が,「同じものが複数あるから」と言って,1本を譲ってくださった。
まずは,この場をお借りして,厚く御礼を申しあげたい。
譲ってくださったレンズは,旧型の52Bのほうである。本来は新型の52BB専用であるが,エクステンションチューブもつけてくださったので,等倍撮影にも対応できる。とても,ありがたいことである。
さっそくカメラにつけて,ファインダーを覗く。
TAMRON SP 90mm F2.5は,ファインダーを覗いただけで「これは,きれいに写りそうだ」と思わせてくれるレンズの1つだと思う。
とりあえず,今夜はもう遅い。
*1 SP 90mm F2.5 (52B) (株式会社タムロン)
→http://www.tamron.co.jp/data/a2-lens/52b.htm
*2 SP 90mm F2.5 (52BB) (株式会社タムロン)
→http://www.tamron.co.jp/data/a2-lens/52bb.htm
*3 SP 90mm F2.8 MACRO 1:1 (72B) (株式会社タムロン)
→http://www.tamron.co.jp/data/a2-lens/72b.htm
*4 SP AF 90mm F2.8 MACRO 1:1 (72E) (株式会社タムロン)
→https://www.tamron.co.jp/data/af-lens/72e.htm
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