撮影日記 |
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2017年08月17日(木) 天気:一時雨のち晴れ「F2.8」は明るいレンズ? FUJI Silvi F2.8で夜を撮るFUJI Silvi F2.8は,2002年12月に発売され,2007年5月に出荷を終了した(*1)コンパクトカメラである。製品名の「F2.8」は,搭載されたレンズが「F2.8」という明るいものであることをアピールしている。コンパクトカメラに搭載されるレンズは,ズーム比が3倍から4倍程度のものが一般的になってきた。それでいて,カメラ本体をコンパクトにかつ安価におさえる必要がある。そのため,コンパクトカメラに搭載されるレンズは,長焦点側がF10より暗いものも一般的になり,「暗黒ズーム」とよばれることもある。FUJI Silvi F2.8が発売された時期のコンパクトカメラでは,広角側でもF5.6〜F8程度しかないものも珍しくなく,感度ISO 400ないしISO 800のフィルムを使うことが前提になっているとしか思えない。 FUJI Silvi F2.8を,よく眺めてほしい。 多くのカメラでは,シャッターレリーズボタンは右手側に設けられている。シャッターレリーズボタンが左手側に設けられているカメラは,例が少ない。有名なところでは,Exaktaのシリーズがあげられる。マミヤプレスにグリップを取りつけると,左側に取りつけたグリップでシャッターレリーズ操作をおこなうことになる。京セラ「サムライ」シリーズには,「左利きの人向け」として,左右が逆になったモデルが用意されていたことがある。その他,オプション品等で左手でのシャッターレリーズ操作ができるようになっていたカメラもあるが,ともかく珍しい存在である。 一般向けカメラでは,望遠側がどれだけ長焦点であるかをアピールするものが多かったように思う。それに対してFUJI Silvi F2.8は,長焦点側のアピールをしておらず,「超広角レンズ」「明るいレンズ」をアピールしている。これは,左右に2つ設けられた自分撮り用のシャッターレリーズボタンとあわせて,「自撮り」という流行にアピールしたものであるようだ。 私は「自分撮り」の趣味はないし,もしそういう写真を撮っても,ここで公開するようなことはしない。だから,「明るい超広角レンズ」を意識して撮ってみる。 FUJI Silvi F2.8, SUPER EBC FUJINON 24-50mm F2.8-5.6, ACROSもっとも広角側では24mm F2.8だから,これだけ明るい被写体ならば,手持ちでもじゅうぶんである。 FUJI Silvi F2.8, SUPER EBC FUJINON 24-50mm F2.8-5.6, ACROSときどき,ピントをはずしてしまうコマがあったが,ボケかたはなめらかであり,好感がもてるものになっている。 FUJI Silvi F2.8, SUPER EBC FUJINON 24-50mm F2.8-5.6, ACROS「F2.8」という「明るさ」を意識して,このような夜景ばかり撮ってみたが,感度ISO 100のフィルムとの組みあわせでは,さほど暗所に強いといういうわけでもない。そもそも,フラッシュが内蔵されたばかりのころのコンパクトカメラでは,F2.8というレンズはあたりまえに使われてきた。もちろん,35mmないし38mmくらいの単焦点レンズであるが。そして,それ以前のコンパクトカメラでは,F1.9やF1.7という明るさのレンズもあたりまえにつかわれてきた。だから,F2.8程度の明るさでよろこんでいてはいけないのである。 FUJI Silvi F2.8, SUPER EBC FUJINON 24-50mm F2.8-5.6, ACROSその明るさを利用すれば,夜になって人通りが途絶えた商店街のアーケード通りで,翌日の開店を待つマネキンの表情もストレートにとらえられるのだ。 さて,この駒川商店街には,まだ1件のDPE店が営業を続けている。このすぐ周辺には大手のチェーン店もないから,いわゆる残存者利益を得られているという状況であろうか。使用期限があまり長く残ってはいないが,業務用フジカラーフィルムを5本900円で買えるお店は,貴重な存在である。
*1 Silvi F2.8 (富士フイルム株式会社)
*2 Silvi F2.8:特長 (富士フイルム株式会社) |
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