2017年01月28日(土) 天気:晴
寄れるは正義! Caplio RXを忘れ去るのはもったいない
CASIO QV-10の発売以降,ディジタルカメラは一般の人に広く知られるようになった。一般向けのコンパクトディジタルカメラは,モデルチェンジのたびに撮像素子の画素数が増えていった。そして2000年ころからは,一般的なL判から2L判くらいのプリントにはじゅうぶんな300万画素をこえるものも発売されるようになった。ディジタルカメラの高画質化と普及にともなって,フィルムを使うカメラはしだいに使われなくなっていく。出荷はしだいに減少していき,2008年2月より「カメラ映像機器工業会」が公表するデータ(*1)から「銀塩カメラ」の生産・出荷のデータが消えた(2011年7月19日の日記を参照)。
いま,フィルムを使うカメラをおいやったコンパクトディジタルカメラは,携帯電話やタブレット端末に内蔵されたディジタルカメラ機能の性能があがるのにつられるように,出荷を減らしている(2016年12月30日の日記を参照)。折れ線グラフの傾きは,盛者必衰の理をあらはす。おごれる新機種も久しからず,後継機発表までの夢のごとし。高き物も遂にはジャンク、数年前のコンパクトカメラに同じ。
かつて,「中古カメラブーム」というものがあった。ブーム以前からもてはやされていた高級機にくわえて,一部の普及機も注目されるようになったが,あまり古くない普及機はかえって注目度がさがっていたように感じていた。ピッカリコニカや初期のキヤノン・オートボーイなどが,中古カメラ店のジャンクコーナーにひしめきあっていた。そこはいつしか,ズームレンズ内蔵コンパクトカメラが多く占めるようになり,最近はコンパクトディジタルカメラの存在が目立つようになっている。
普及型コンパクトカメラが見捨てられ忘れられてしまわないように,積極的に救出し保護してきたが,いまはその対象をコンパクトディジタルカメラにも広げなければならなくなっていることに,もっと多くの人が気づくべきである。。
これまでに何度か,気になるものが含まれているコンパクトディジタルカメラのジャンク品セットを入手したことがある。Canon Q-PIC (RC-250)は,そのようにして入手したものの1つである(2016年2月20日の日記を参照)。あくまでもジャンク品のセットだから,入手したものにはとても復活させられそうにない故障品も含まれているが,目当てとしたもの以外の機種もいろいろと集まってくる。
RICOH Caplio RXも,そのようにして「ついで」にやってきたコンパクトディジタルカメラの1つである。ただ,これを入手したときの「目当て」の機種はなんだったか,それはよく覚えていない。
RICOH Caplio RXは,2004年3月26日に発売された(*3)。300万画素をこえる撮像素子をもち,ライカ判の28mmレンズに相当する範囲をカバーする「広角ズームレンズ」を搭載していることがセールスポイントになっている。単3型乾電池2本でも動作するようになっている点は,個人的に高く評価したい。電池とメモリカードを入れたところ,なんの問題もなくスムースに動作する。外見もあまり傷んでいないので,一山ナンボのジャンク品扱いされるのは忍びないところであるが,いまさら300万画素程度では魅力も失われたということか。だから私はディジタルカメラ,とくに画素数が年々増えていっていた当時のコンパクトディジタルカメラを「消耗電気製品」と揶揄してきたのである。だが,いまはそういう時代ではない。人びとから忘れられてしまう前に,救出し保護しなければならない。「消耗電気製品」などと見下してきて,ほんとうにスマンかった。
さて,実際に使ってみると,RICOH Caplio RXはじつに快適であることに気がつく。スペック表の「撮影距離」(*4)を参照してもらいたい。「マクロ撮影範囲 約0.01m〜∞」とある。0.01mとは1cmである。つまり,ほとんどレンズに接触するくらいまで,被写体に近寄れるということだ。「テレマクロ撮影範囲 約0.13m〜∞」とあるので,レンズを望遠側にすると最短撮影距離は10cmより長くなるが,それでもふつうの撮影ではじゅうぶんに短いものである。
RICOH Caolio RX
最短撮影距離1cmというのは,RICOH DC-3でも実現されていた(2016年9月25日の日記を参照)。「最短撮影距離 1cm」というのは,リコーのディジタルカメラとしての「こだわり」だったのであろうか。
RICOH Caolio RX
ともあれ,被写体との距離を気にしなくてもよい,というのはストレスなく快適に撮影を楽しめる。
RICOH Caplio RXはやや背が低く,細長く感じるボディである。これが,じつに持ちやすい絶妙な大きさで,シャッターレリーズ操作もおこないやすい。
だから,近距離の被写体だけでなく,遠景も撮りやすい。
RICOH Caolio RX
しかし,初期設定ではこのように,画面内に日付が写しこまれるようである。このころはまだ,フィルムを使うカメラで画面内に日付を写しこむことがふつうにおこなわれていたから,ディジタルカメラにも同じような機能が求められていた,ということだろう。
RICOH Caolio RX
300万画素というのが物足りないと感じるかもしれないが,画面内に光源が入ってくるような条件でも,それなりにきちんと写ってくれる。もしお手元に,ずっと使わずに放置されているRICOH Caplio RXがあるならば,久しぶりに使ってあげてはいかがだろうか。そして,ジャンクコーナーの隅で寂しく埋もれているのを見つけたら,救出し保護することを検討していただきたいものだ。
そのまま忘れ去られてしまうには惜しい,そんな機種の1つだと思う。
*1 銀塩カメラ/カメラ用交換レンズ生産出荷実績表 2008年2月分(一般社団法人 カメラ映像機器工業会)
→http://www.cipa.jp/stats/documents/j/s_200802.pdf
*2 デジタルカメラ統計 (一般社団法人 カメラ映像機器工業会)
→http://www.cipa.jp/stats/dc_j.html
*3 Caplio RX / デジタルカメラ (リコーイメージング株式会社)
→http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/dc/past/caplio/rx/spec.html
*4 Caplio RX カタログ (株式会社リコー)
→http://www.ricoh.co.jp/pdf/34181156/Caplio_RX.pdf
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