2015年07月07日(火) 天気:雨
七夕は,「OM707」で撮ろう!
7月7日は「たなばた」とよばれ,天の川をはさんで位置する牽牛星と織女星とが1年に1度だけ会える日,とされている。「棚からバターが落ちてくる」日ではない。それは,「たなぼた」と混同しているのであろう。
カメラの名称で「7」がつくものは,いろいろなメーカーから発売されている。そのなかでも,「7」という名称の印象がとくに強いメーカーは,ミノルタではないだろうか。オートフォーカス一眼レフカメラのスタイルを確立させたMINOLTA α-7000以後,ミノルタのカメラで中心となる中級モデルは「7」がつくようになっている。それ以前には,宮崎美子が出ていたテレビCMが話題となったminolta X-7の印象も強い。minolta X-7は絞り優先AE専用一眼レフカメラで,当時のラインアップの最下位に位置する機種だったのだが,その後,絞り優先AEおよびマニュアル露出が可能なMINOLTA X-70やプログラムAEも使えるMINOLTA X-700などの上位モデルも発売されている。そうか,MINOLTA α-7000は,X-7,X-70,X-700のさらに上位モデルということだったのか?
ところで,オートフォーカス一眼レフカメラが登場したころ,「7」を名乗ったのはミノルタだけではなかった。オリンパスから,「OM707」というカメラが発売されていたのである。オリンパスのOMシリーズでそれ以前に発売されていた機種は,「1」「2」「3」「4」「10」「20」「30」「40」である。ここでいきなり「707」というのは,ミノルタの「7」人気にあやかろうとし,かつ,ミノルタをマネしたような印象を与えないような配慮だったのではないだろうか?と邪推してしまうのだが,実際にところはどうだったのだろう?
OLYMPUS OM-707は,MINOLTA α-7000とは違って,露出に関してはプログラムAE専用で,ピント調整はオートフォーカス専用となっている。「全自動で撮影できる最先端の使いやすいカメラ」という見方もできるが,一眼レフカメラのユーザ層は,少なくともその当時は「自分ではなにもできない使いにくいカメラ」として,その仕様を不満に感じていたのではないだろうか。そのせいか,あまりよい評価を聞くことがない。
MINOLTA α-7000は高い評価を得て,誰もが認める名機となった。OLYMPUS OM707は,そのような話題になることもなかったようだ。さらにOLYMPUSのファンからも,あまりよい評価を得られていないようである。そんな「かわいそうなカメラ」は,きちんと救出して保護してやらねばならない。そして,たまには使ってあげよう。今日は7月7日,「7」がたくさんつく日である。今日は「オリンパスOM707の日」として,OM707で撮ってみよう!
OLYMPUS OM707は,グリップ部を交換できる。そして,フラッシュを内蔵したグリップが選択できることを,セールスポイントの1つにしていた。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」を見れば,このカメラには「ストロボーグ」という愛称が与えられていたことがわかる。フラッシュを内蔵できることは,セールスポイントの1つというような位置付けではなく,最大のセールスポイントをいうべきもののようだ。なお,私は,中古カメラ店の店頭で,フラッシュを内蔵していないグリップを見たことがない。
フラッシュを内蔵させたグリップを取り付けたOLYMPUS OM707からは,とても横長の印象を受ける。
OLYPUMS OM707の上面にはダイアル類がなく,いたってシンプルである。モード切り替えがなく,プログラムAE専用となっている。
背面にあるレバーは,プログラムシフト(露光量を一定のまま,絞りやシャッター速度の値を変える機能)のためのものである。
OLYMPUS OM707用のレンズには,絞りリングもない。プログラムAE専用カメラでの使用が前提なのだから,それは当然であろう。そして,ピントリングもない。ピント調整は,完全にカメラにまかせなさい,そういうカメラなのである。ただし,被写体のコントラストが低い場合やその模様によっては,オートフォーカスではピントが意図したところにあわせられない場合がある。そのような場合には,カメラの「オートフォーカス(AF)」から「パワーフォーカス(PF)」に切り替えて,このレバーでピントリングを電動で動かし,ピントをあわせることができる。決して使いやすいものではないので,オートフォーカスではどうしてもピントをあわせられない場合に使う,緊急避難的な機能であるととらえるべきだろう。
ファインダー内には,シャッター速度(上側の数値)と絞りの値(下側の数値)が表示されている。難しいことを考えずに撮るためにプログラムAE専用にしたのであれば,「適正範囲内」と「手ぶれ警告」の表示だけあればじゅうぶんだと思うのだが,そこまでは割り切れていないようだ。
OLYMPUS OM707のレンズマウントの形状は,それまでのOMシリーズのものと共通である。そのため,OM707で従来のマニュアルフォーカスのOMレンズを使うことができる。その場合,もちろんピント調整はマニュアルフォーカスとなり,露出モードは絞り優先AEとなる。残念なことに,このときファインダー内にシャッター速度は表示されない。
ともあれ,今日はお気軽に撮ってみようと考えたが,あいにくの雨である。
牽牛と織女とが1年に1回しか出会えないように,私がOLYMPUS OM707を使うのは1年に1回くらいしかないはずなのだが,この天気では撮りにでかける気にならない。7月上旬というのは,少なくとも広島付近では梅雨である。どうしても,雨の日が多くなる。牽牛と織女にとって,出会えない年が多かったことだろう。いや,実はそうでもないかもしれない。もともと「七夕」は,旧暦の暦にもとづく行事である。国立天文台では,それを「伝統的七夕」としてアピールしている(*1)。今年(2015年)の「伝統的七夕」は,8月20日だ。「伝統的七夕」の日に,あらためてOLYMPUS OM707で撮ってみよう。
なお,さきほどから「OLYMPUS OM707」と書いてきたが,今年はその輸出モデルである「OLYMPUS OM77AF」を使うつもりである(2013年12月14日の日記を参照)。
*1 伝統的七夕について教えて (国立天文台)
→http://www.nao.ac.jp/faq/a0310.html
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